「子どもの喘息」治療法と家庭内対策をアレルギー専門医がわかりやすく解説

アレルギー専門医・南部光彦先生に聞く「子どもの喘息」 後編 ~受診時に伝えるポイント・治療法・家庭内対策~

小児科専門医・アレルギー専門医:南部 光彦

室内環境を整えて喘息の発作を防ぐ

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──喘息の発作を予防するために、家庭でできることはありますか?

南部先生:タバコは発作の原因になるので禁煙を心がけましょう。香水や線香など、刺激となるものは使わないようにすることも大事です。アレルギーがある場合は、発作を引き起こすアレルゲンをできるだけ取り除きましょう。特に重要なのがダニ対策。ダニの死骸やフンは、多くの喘息患者さんのアレルゲンになっているからです。

ダニを減らすためには布団の手入れが欠かせません。布団にはダニの餌となる人間のフケや垢が多く、また温度も湿度も繁殖に適しているため、ダニが生息しやすい環境なのです。ダニを完全に取り除くことは難しいですが、布団の丸洗いと高熱乾燥は効果的です。

なかなか布団の丸洗いはできないという方は、ダニの繁殖を少しでも防ぐために布団乾燥機を使ったり、天日干しをしたりしましょう。また、ダニのフンや死骸がアレルゲンになりますので、布団に掃除機をかけることが重要です。1m四方あたり20秒かけるイメージで、前後に往復させながらゆっくりかけてみてください。しっかり対策をしておくと、喘息の発作が出にくくなります。

室内環境で注意することとは?

──室内環境で注意したほうがよいことはありますか?

南部先生:掃除しやすいように部屋を散らかさないこと。また、ダニが増えにくいように、床にはカーペットや絨毯を敷かないほうがよいでしょう。ソファーはビニールや革製のほうがいいですね。お子さんがベッドやソファーの上で飛び跳ねると、ダニアレルゲンが舞い上がるので、注意をしてあげることも大事です。

──湿度が高いと喘息が楽になると聞いたことがあるのですが。

南部先生:喘息の症状を抑えるためには湿度は高いほうがよいですが、一方で部屋の湿度が高くなるとダニやカビが増殖しやすくなるため、湿度は50~60%くらいが最適ですね。

――喘息があっても運動は普通にできますか?

南部先生:治療によってしっかり炎症が抑えられていれば発作は出ませんので、運動をしても大丈夫です。喘息があるからといって、運動を制限する必要はありません。ただ、もし運動によって症状が出るようでしたら、治療の見直しをしたほうがよいかもしれません。その際は医師に相談してみてくださいね。

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後編では、喘息の治療方法や対処法、また家庭でできる予防法について教えていただきました。

南部先生はさらに喘息の予防について「大切なのは、規則正しい生活を送ること。早寝早起きをして、栄養バランスのとれた食事をとりましょう。外でお友達と仲良く遊ぶことも大切です」といいます。

よく食べ、よく眠ることで喘息の予防にもつながります。お子さんの様子をよく観察して、家族ぐるみで対策していけるといいですね。

取材・文/安藤梢

子どもの喘息は全2回。
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なんぶ みつひこ

南部 光彦

Mitsuhiko Nanbu
小児科専門医・アレルギー専門医

なんぶ小児科アレルギー科 院長。小児科専門医・アレルギー専門医。 京都大学医学部を卒業後、京都大学医学部附属病院、兵庫県立塚口病院(現・兵庫県立尼崎総合医療センター)の小児科に勤務。米国アイオワ大学への留学を経て、1995年に天理よろづ相談所病院へ。小児科部長、小児アレルギーセンター長を務める。 2017年になんぶ小児科アレルギー科を開設。『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020』の統括委員会委員。 https://nambu-cl.jp/

なんぶ小児科アレルギー科 院長。小児科専門医・アレルギー専門医。 京都大学医学部を卒業後、京都大学医学部附属病院、兵庫県立塚口病院(現・兵庫県立尼崎総合医療センター)の小児科に勤務。米国アイオワ大学への留学を経て、1995年に天理よろづ相談所病院へ。小児科部長、小児アレルギーセンター長を務める。 2017年になんぶ小児科アレルギー科を開設。『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020』の統括委員会委員。 https://nambu-cl.jp/

あんどう こずえ

安藤 梢

Kozue Ando
医療ライター

医療ライター。 病院や医師の取材を中心に、医療系の雑誌、Web、広報誌、企業のオウンドメディアなどで、インタビュー&ライティングを担当。 https://and-kozue.com

医療ライター。 病院や医師の取材を中心に、医療系の雑誌、Web、広報誌、企業のオウンドメディアなどで、インタビュー&ライティングを担当。 https://and-kozue.com