「いつものノリ」のはずだった
事の発端は、担任からの電話から1週間前の週末にさかのぼります。中学校に入って新しくできた友人5人との初めての友人宅でのお泊まり会。息子は数日前からそわそわしていて、親としても「友だちができてよかった」と安心していた矢先のことでした。
お泊まり会当日の深夜。親の目が届かない部屋の中で、中学生男子たちのテンションは最高潮に達していたのでしょう。誰かが「これやったらウケるんじゃね?」と言い出し、ふざけ合いの延長で、息子は下着姿にされたと言います。
そして、その“面白い瞬間”を残そうと、友だちがスマホで録画をしていました。
きっと息子を含め、その場にいた全員が「いつものノリ」のつもりだったのだと思います。
誰かが嫌がっていたわけでも、泣いていたわけでもない。笑い声が響き、自分たちはただふざけて楽しんでいるだけだと感じていたのでしょう。けれどその無防備さが、あとになって自分たちを追い詰めることになるとは、誰も想像していなかったはずです。
下着姿の動画が拡散されたかもしれない恐怖
事件が起きたのは、そのお泊まり会から数日後のことでした。
参加していたメンバーのひとりが、そのときの動画を学年のグループLINEで共有したのです。
投稿した本人に、悪意があったわけではなかったのかもしれません。純粋に「お泊まり会、すごく楽しかった」という気持ちを仲間内で共有したかっただけだったのでしょう。あるいは、ほかの同級生への軽い自慢のつもりだったのかもしれません。
しかし、動画に映っていたのは、はしゃぐ子どもたちの姿と、ズボンを下ろされて下着姿になった息子でした。
息子本人は笑っていたのかもしれません。けれど、見る人が見れば、それはただの悪ふざけではすまされない光景です。息子が「屈辱的な扱いを受けている」ように感じた生徒もいたようで、
「……これ、まずくない?」
と数人が担任に相談し、事態は一気に学校の問題へと発展しました。担任からの電話を切ったあと、私は震える手で改めて息子に聞きました。
「動画に何が映ってるの? 全部話して」
けれど息子は、たいして焦る様子もなく、「みんなで踊ってはしゃいだり、“ズボン下ろし”したり……かな?」と言ったのです。
その様子を見て、私はさらに怖くなりました。
息子は「大丈夫。パンツ(下着)は穿いていたし」と説明していましたが、本当のところはどうだったのか……。
動画は、もうグループLINEの外にも広がってしまっているのではないか……。
何より怖いと思ったのは、目の前にいるわが子が、ことの重大さをまだ十分にわかっていないように見えたことでした。
一度SNSに流れてしまったら、もう自分たちの手では止められません。たとえ元の投稿を削除しても、誰かが保存していれば、それで終わりではないからです。
息子の知らないところで残り続け、時間がたってからまた広がるかもしれない。将来になって、思いがけない形で誰かの目に触れる可能性だってあります。
私が震えたのは、目の前の出来事そのものより、その先に何が起こるかわからない怖さでした。

















































































