わが子の下着姿動画がグループLINEに…中学生の“悪ノリ”が招いたSNSトラブル

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「いつもやっていること」の中に潜んでいた危うさ

子どもたちは、悪意がないまま、ふざけて動画を拡散してしまうことがある。その現実を、目の前で突きつけられたような気がしました。

「あなたは嫌じゃなかったの?」

私は息子にそう聞きました。すると息子は、スマホを見せながら笑ってこう答えたのです。

「別に。お泊まり会、面白かったし。それに面白いことがあったら、誰かがそれを録画することなんて、いつものことだから……。ほら、友だちだってSNSに下着姿で踊っている動画を、自分で上げているんだよ」

「でも、あなたが自分で投稿するのと、友だちに投稿されるのとは違うよね。やめてほしいとは思わないの?」

「うーん。仲良いし大丈夫じゃない?」

誰のことも疑っていないのは、悪いことではないのかもしれません。

しかし、もし自分にトラブルが降りかかるかもしれないと想像できていないのだとしたら──私はその無防備さが怖くなりました。

「じゃあ、もしこの動画がもっと広がって、知らない人たちまで見ることになっても、『ただのノリだった』で済ませられる?」

「…………」

「その動画がSNSに出回って、一生消せなくなっても?」

「…………」

息子の顔から、さっきまでの笑みが少しずつ消えていきました。

何気なく流した動画でも、一度ネットに載ってしまえば、自分ではもうコントロールできない。親から言葉にして伝えたことで、息子はようやく本当の怖さを理解したようでした。

家庭の中にもあった“温度差”

息子が寝たあと、帰宅した夫に経緯を説明しました。すると夫は鼻で笑ってこう言いました。

「昔からよくあっただろ、ズボン下ろしなんて。俺だってあったし、男子のノリだよ」

「でも、それをグループLINEで共有されたんだよ。何とも思わないの?」

「良いか悪いかで言えば悪いことかもしれないけどさ。学校がそこまで対応する必要あるのかな。それぞれの親が注意すれば済む話なんじゃないの?」

想像以上に軽く受け止めている夫の言葉に、私は戸惑いました。

夫の様子を見ているうちに、自分が大げさに騒いでいるだけなのではないか、という気持ちまで湧いてきました。

夫にとっては「昔からある男子の悪ふざけ」でも、私にはそうは思えません。

昔と違うのは、今は「その場のノリ」が「その場」だけで終わらないことです。

スマホで簡単に記録され、軽い気持ちで共有され、本人の知らないところで広がっていく。

私が怖かったのは、まさにデジタルの拡散力でした。夫に話して安心するどころか、かえってモヤモヤだけが残り、その夜私はなかなか眠れませんでした。

学校が重く受け止めた理由

翌日、学校から連絡があり、「今回の件は『重大な案件』として学校全体で対応する」という説明を受けました。

学校から生徒たちには、今回の件が場合によっては「児童ポルノ」とみなされる可能性があること、たとえ本人にその場で拒否の意思がなかったとしても、わいせつな画像や動画の拡散は性的ないじめと判断されるおそれがあることなどが伝えられたそうです。

また、お泊まり会に参加していた生徒や、グループLINEで動画を見たり保存したりした生徒を集め、動画の内容や経緯について聞き取りが行われました。

先生からは、「今は楽しい出来事のように思えても、あとから取り返しのつかないことになるかもしれない。将来、重大なトラブルや犯罪につながらないよう、止められるうちに止めたかった」という話があったと聞きました。

学校の対応を聞くなかで怖かったのは、グループLINEで共有された動画を、自分のスマホにダウンロードしていた生徒が数人いたことです。

普段から興味のある動画を保存するような感覚で、今回の動画も同じように保存してしまったようでした。

該当する生徒はスマホを学校に持参し、先生の立ち会いのもとで動画データを削除しました。学校側はスマホのゴミ箱の中まで、完全に消去されていることを確認したそうです。

そして関わった生徒同士で謝罪の場が設けられ、その後、全校集会も開かれました。

全校集会では個人の名前を伏せたうえで今回の出来事が共有され、全校生徒に対して指導と注意喚起が行われたと聞いています。

表面上は収まっても、不安は消えなかった

これで終わりじゃない……
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