無資格アラフォーママの「スキマバイト」挑戦記 15年ぶりホール業務・宅配便の荷物仕分け… やってみてわかった“仕事ができる人“とは?

コクリコサポートエディターズ:紫木 かなえ

15年ぶりの飲食バイトで学んだこと

勤務日当日。早めに身支度を整えて、18時からの勤務に間に合うように出かけました。ひとりで夜の繁華街を歩くことすら久しぶりで、居酒屋の案内のお兄さんに声をかけられただけで声を出して驚いてしまうほどでした。こんなに緊張していて、果たしてバイトが務まるのでしょうか。

学生時代以来、約15年ぶりのホール業務です。テーブル番号を覚えたり、ビールをこぼさないように運んだり……久しぶりの緊張と不安から開始5分で帰りたくなりましたが、貴重な4時間、せっかくなので楽しもうと気持ちを切り替えると、見える世界が変わりました。

板前さんと話して料理の勉強

勤務先の天ぷら屋さんでは、カウンター越しに板前さんの調理の様子がうかがえました。

少し余裕がでてくると、板前さんのこだわりに気がつくようになりました。調理の仕方はもちろん、盛り付けの角度や、お皿のセンス、塩の使い分けなど、至るところで「プロの仕事」を感じます。

海老が丸まらないようにする切り方や、野菜が転がらないようにたくさん切り続ける方法など、家でも実践してみたい技がたくさん繰り出されていました。学生のときは気づかなかったことが、主婦になり料理が日常となったことで、プロの調理場での華麗な技に感銘を受けるようになっていたのです。

好奇心から、下ごしらえのポイントや、保存方法などについて普通に質問をして会話ができていた自分にも驚きです。(学生のときは学生バイト同士でしか話せないようなタイプだったのに……。知らぬうちに社交性と図太さも身につけていたのかもしれません)

飲食店での素行の見直し

もうひとつ、飲食店のホール業務で勉強になったことは“客としての素行”です。「ビール早く持って来いよ」と高圧的な口調で注文したり、テーブルの上を激しく散らかしたままお帰りになられたりと、いろいろなお客様がいました。

そのようなお客様たちの振る舞いを見ているうちに、自分も無意識にそうしてしまっていないか不安になってきました。まさに“人のふり見て我がふり直せ”です。それ以降、外食先では店員さんの目を見て注文をし、ほほえみ、御礼を伝え、片付けやすいようにお皿をまとめ……と過剰かもしれませんが、店員さんに気持ちよく働いてもらえるように意識するようになりました。

スキマバイト2回目! 宅配便の荷物の仕分けに挑戦

荷物仕分けのために購入したグリップつきの手袋。本当にすべらない! 必需品でした。
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次に挑戦したのは、初体験の宅配便の荷物の仕分け業務です。

採用人数も多く、どのような流れで仕分けられているのかが気になって応募してみました。

こちらの仕事も応募ボタンを押すとすぐに採用が決定。朝6時~10時の4時間で、時給1,200円+交通費500円(合計5,300円)という条件でした。

業務内容はシンプル…でも楽ではない

その日は30名ほどのスキマバイターがいました。半分が体育会系の大学生、半分が20代から60代と、属性はさまざま。女性は全体の4割ぐらいいました。

任された仕事は、コンテナから荷物を取り出し、仕分けるというシンプルな業務です。

シンプルだからといって、ラクチンというわけではありません。作業は、半分屋外の集荷所でおこなわれており、天候の影響を受けやすい環境です。

荷物の分類は冷凍・冷蔵・普通とわかれており、さらに時間指定もあります。ひとつひとつにストーリーが感じられる大切なお荷物ばかりです。間違えないよう細心の注意を払うことも求められます。

ドライバーさんの姿にキュン

無作為に積まれた荷物は、たくさんのスキマバイターの手によって住所ごとに分類され、それぞれのカートに積まれていきます。

その過程では、荷物を取り上げる人、住所を読み上げる人、取り上げた荷物を中継ぎで受け取る人、丁目ごとのカートに積みなおす人と、ひとつの荷物がバトンのようにわたされトラックまで運ばれていきます。(「あとは任されよ」といった感じで、トラックに荷物を詰み込んだり、ルートを確認したりしているドライバーさんの姿が、飛行機のパイロットのように見え、キュンとしたのは秘密です)

画像はイメージです。  写真:Adobe Stock

バイトして気づいた“仕事ができる人”とは

荷物の仕分けの仕事では、おもしろいほどに“仕事ができる人”と“できない人”の差が目立ちました。

私が感じた「仕事ができる人」の共通点は、“自発的に動ける人”でした。

ひとりめは、リーダーシップをとり、ほかの人の2倍早く動いていた50代くらいの男性。大きな声でハキハキと元気よく周りに声をかけ、荷物を丁寧なのにスピーディーにまわしていて、見ていて気持ちがよかったです。

ふたりめは、影ながらできることをこなしていた30代の女性。空になったカートや台車を片付けたり、発泡スチロールやメモ用紙のゴミを拾ったり、指示されなくても機転をきかせて常に動いていました。

一方で、友人同士で応募したらしい10代の女性たちは私語が多く、ほかのスタッフには無愛想。荷物も雑に扱っていて“また一緒に働きたい”とは思われにくいかもと感じました。

私が利用したスキマバイトでは、勤務先とワーカーがお互いに評価しあう相互評価の仕組みがあります。あまり働きぶりがよくないと、勤務先からよくない評価をもらってしまい、次に採用されにくくなったりすることがあるかもしれない、と老婆心ながら心配になりました。

「一緒に働く人」の重要性を痛感

私は普段在宅で仕事をしているので、久々に対面&チームで働くという経験をしましたが、あらためて痛感したのが“一緒に働く人の重要性”です。

気持ちよく仕事をしている人がいると、そのいいムードは周りに波及します。実際に私も上記の男性を見て、明るい返事だけはしようと意識するようになりました。

逆に、ひとりでも後ろ向きな人がいると、その人のことを気にしてしまい作業が遅くなってしまうこともあります。

人間同士で働くからこそ、自分で考え行動できるかがいかに重要かを感じられるとてもいい機会でした。母としても、子どもには勉強だけではなく、周りを見て動ける人になってほしいとあらためて実感しました。

日本の素晴らしい宅配システムへの感謝

ドライバーさんに荷物を託し、朝6時から10時の業務が終了しました。毎朝こんなにも多くの人が携わり、冷蔵や冷凍、時間指定と細かく管理してくださっている物流業界。実際に現場を体験すると、“翌日配送”は魔法なのではないかというほど素晴らしいことだと、宅配システムの水準の高さに驚いています。

あたり前ではないことに感謝をしたいと思えた経験でした。

帰り道にカフェに寄り、いつもより贅沢な時間を満喫しました。(時給1.5時間分が一瞬で消える……。)

日々挑戦! 違う角度を体験することで見える景色が変わる

今回のスキマバイト挑戦では、2日間で8時間働き、1万800円のバイト代をもらうことができました。でも、得たものはそれだけではありません。

子育てに家事に、慣れた仕事に……そんなあたり前の日常を少し変えるだけで、日々の家事で工夫できる点や、生活を支えてくれている職業の方々への感謝など、こんなにも世界が違って見えるのかと大袈裟なほど、何かのスイッチを入れてくれたスキマバイト。

また機会があったらチャレンジしてみたいと思います。次は引っ越し業者でのアルバイトや、資格を取得して保育園の補助や介護の仕事もやってみたいです。

またアルバイトでなくても、地域交流であったり、ボランティアであったり、まだまだ踏み入れていない世界はたくさんあります。子どもの挑戦に負けないくらい自分も挑戦し続けたいと思います。

※注釈がない記事内写真は撮影:紫木かなえ

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しき かなえ

紫木 かなえ

Kanae Shiki
AnyMaMa(エニママ)ライター

AnyMaMa(エニママ)ライター兼コクリコ・サポート・エディター 神奈川県在住の男の子のママ。営業・人事・企画などを東京・北海道・九州・アメリカで経験。2020年にハワイで男児を出産し、現在はフリーランスとして記事制作やディレクションに従事。 AnyMaMa:https://anymama.jp/  Twitter:https://twitter.com/AnyMaMaJP

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