イヤイヤ期にも人気の「鬼から電話」に続く “コロナ禍人気アプリ”は「べたぼめおっちゃん」!

約9年のロングヒットアプリ「鬼から電話」に迫る 第2回「コロナ禍で注目の『ネクスト鬼から電話』的アプリ」とは?

ノリノリのハイテンションで大絶賛する「ほめおっちゃん」。そのほめっぷりは大人も思わず笑ってしまうほど。
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現在、シリーズ累計2000万DLを記録している子育てサポートアプリ「鬼から電話」。前編では、2012年のリリース秘話から、時代の変化と共にアップデートを繰り返してきたロングヒットアプリの人気の理由を探りました。
➡︎鬼から電話の魅力に探った、第1回『誕生・開発の経緯と爆発人気の理由』を読む

後編となる今回は、大人のみならず子どもも我慢を強いられたコロナ禍で、「鬼から電話」にはどんな変化があったのかをお聞きしました。コロナ禍から生まれた新たなコンテンツやアプリも紹介します。

コロナ禍で「鬼から電話」とは正反対の“ほめちぎりアプリ”が誕生

リリース当時から、ずっと右肩上がりで数字を伸ばしてきた「鬼から電話」でしたが、新型コロナウイルスのために日本中が右往左往していた2020年春、若干の変化があったそうです。

「在宅ワークをする方が増えた頃なので、具体的には2020年の5月くらい。それまでずっと伸ばしていたDL数、起動数、再生率が、少し鈍化したんです。原因を分析して、それまでとはアプリの使われ方が変わったという見解に行き着きました。

ユーザーが『鬼から電話』を使う状況は、急いでいるときが多い。以前は、そんなときにパッと行動を促進させられる点が役立っていました。ですが、コロナ禍でなかなか外に出かけられない。ということは、親も叱る必要がなくなったのではないかと。
また、『子どももこの情勢を頑張って耐えている』という親の心理が働き、アプリ自体の利用を控えるユーザーが増えたのだと考えています」(佐々木代表)。

ご自身のなまはげやラジオ体操の経験をアプリ開発のアイデアにいかしたというメディアアクティブ株式会社の代表・佐々木孝樹さん。
ZOOM取材にて

そこで、「鬼から電話」とは真逆のアプローチで開発し、2020年11月にリリースされたのが、新アプリ「ほめおっちゃん」です。愉快なおっちゃんが、「残さず食べる」「歯磨き」「早寝」など、子どもの「できた!」をとにかくほめまくってくれます。

「鬼から電話」に次ぐ看板アプリになるだろうとの予想どおり、現時点で10万DLを記録。「ほめられるために頑張ってる」「普段嫌がることもやってくれるので、楽しみながら習慣になってくれたら」など、行動促進につながったという声も届いています。

「ほめおっちゃん」には、「鬼から電話」にはない、ある楽しみがあることも大きなポイント。親との約束を守った子どもはおっちゃんからスタンプがもらえ、それを集めると、抽選でプレゼントが当たるのです。

「私の地元では、小学生が夏休みにラジオ体操をする文化がありまして、早起きしてラジオ体操に参加するとスタンプがもらえ、そのスタンプをためると、ノートやお菓子がもらえたんです。当時のスタンプをためるワクワク感や、プレゼントをもらう喜びを、どうにかアプリで表現して、子どもの行動促進、習慣化につなげられないかと考えていました」(佐々木代表)。

これまで、毎月抽選で贈っていたプレゼントは、現在変更の方向で調整中。せっかく約束を守ってスタンプを集めたのに、抽選によって子どものやる気を削いでしまうのでは? と引っかかったのだといいます。今後は、どんな少額の物でもいいので、スタンプを集めた子全員にごほうびを贈ろうと考えているそうです。

過剰なほどほめてくれる「ほめおっちゃん」。「日本は、家族間でほめ合うことを恥ずかしがる傾向にありますよね。それも打破したかったんです」と、佐々木代表。
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“癒やし系”“かわいい系”が伸びたコロナ禍

コロナ禍から生まれたコンテンツ、コロナ禍で起動数(実際の利用数)を伸ばしたコンテンツはまだまだあります。
「鬼から電話」アプリ内で、2021年母の日企画と題し、期間限定リリースされた山崎育三郎さんのコンテンツもその1つ。子どものしつけというより、頑張っているお母さんへの労いを目的としたコンテンツです。既存のコンテンツとは系統が違ううえに、有名俳優のキャスティングも初の試みでした。

「在宅ワーク中のお母さんから、『子どもに加えて旦那の世話で大変』『毎日疲れます』という声が届きまして。こんな時期だからこそ、頑張っているお母さんに癒やしを届けようと企画しました」(佐々木代表)。

ほかには、在宅ワークの増加に伴い、ご近所トラブルが増えていると知り、部屋でうるさくしてはいけないと諭す「うるさいオッサン」をリリースしたところ人気に。
2019年11月にリリースした「手洗いうがい対策 鬼ふうじん」は、当初は冬の時期に向けた風邪・インフルエンザ予防のコンテンツでしたが、その後、新型コロナウイルスが感染拡大したことで需要が伸び、ユーザーの目につきやすい「鬼から電話」アプリ内のTOP画面に配置するという、まさにコロナ禍を反映した対応を取りました。

「アマビエや動物が登場する、優しくてかわいいコンテンツの数字の伸びは予想外でした。それも、コロナ疲弊したユーザーの心情の表れだったのかなと思います」(佐々木代表)。

関西弁のオッサンが、「部屋で走り回ったり、ジャンプしたりしたらダメ」と言い聞かせる。「こっちはしたくもない在宅ワークしてるんやで」と、本音がポロリ
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総括! 子どもに対してもっとも効果を発揮する使い方とは?

ユーザーのどんな困り事もサポートできるよう、常時80~90個ものコンテンツを配信している「鬼から電話」。おすすめの使い方、こう使うとより効果的だという方法はないのでしょうか?

「こう使ってほしい」というマニュアルや縛りのようなものは、設けたくないと佐々木さん。そこには、「育児に正解はない」という考えが大前提にあるからだと語ります。

「教育方針は千差万別です。一番重要なのは、子どもの個性や状況に合わせて、適切なアドバイス、行動促進ができるかどうか。『鬼から電話』は、2~6歳に効果があるとうたっていますが、それも子どもの個性や状況を見誤れば、まったく効果を発揮しない場合もあります」(佐々木代表)。

「効果的な使い方というわけではありませんが」と断って、佐々木さんが教えてくれたのは、アプリ「鬼から電話DX」。
ここまでたっぷり触れてきた「鬼から電話」は、簡単な操作性を重視したアプリですが、その姉妹アプリの「鬼から電話DX」(無料)は、コンテンツ内のキャラクターに自分の録音音声を載せることができ、ユーザーが自分仕様にカスタマイズできるのが特徴です。

「『〇〇ちゃん、お片付けしないとダメでしょう』『トマトが残ってるよ』というように、自分の名前を呼ばれたり、親しか知らない秘密情報を言われたりしたら、子どもでもドキッとしますよね。録音音声をボイスチェンジできるので、鬼だけじゃなく、ゾンビやフランケンシュタイン、プリンセスや赤ちゃんなどに代理で話させることができます。『鬼から電話』と使い分けているユーザーも」(佐々木代表)。

また、アプリの開発会社の代表らしからぬ、こんなことも。

「子どもにアプリを使う前に、一度ご自身だけで再生して見てほしいです。コンテンツの中には、皆さんからヒントを頂いてアップデートした、子どもをやる気にさせる言葉のかけ方や、叱るだけじゃない表現など、子どもへの接し方のヒントがたくさんあります。アプリを使わずとも、日常でぜひ参考にしていただきたいです」(佐々木代表)。

「鬼から電話DX」での録音やボイスチェンジの手順は簡単。ユーザーも楽しみながら、子どもの困り事に対処したい。画像提供:メディアアクティブ

怖がらせるだけのアプリと思われがちですが、リリース当初から一番の狙いを子どもの行動促進に定め、ユーザーに寄り添ったコンテンツをアップデートし続けてきた「鬼から電話」。
ユーザーが子どもの個性や状況をしっかり把握した上でコンテンツを選び、的確なタイミングで使うことこそ、「効果的な使い方」だといえるでしょう。

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