中学受験 地味にハードな「魔の5年生」の実態 受験に伴走したママ教育ジャーナリストが明かす
リアル中学受験伴走レポ #2 ~地味にハードな「中だるみ警戒期」の魔の5年生と新6年生2月~夏休み前まで編~
2024.05.29
教育ジャーナリスト:佐野 倫子
2024年2月、長男くんの中学受験の伴走終えた、教育ジャーナリスト・佐野倫子さんが語る「令和の中学受験伴走」連載2回目。
今回は、落とし穴に注意したい⁉ 5年生の時期と、そして受験まで1年を切った6年生の前期(新6年生の2月~夏休み前まで)における親のミッションと「心がけること」を語っていただきました。
(全3回の2回目。1回目を読む)
佐野倫子(さの・みちこ)
東京生まれ、早稲田大学卒。航空業界・出版社勤務を経て作家・教育ジャーナリストに。著書は『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)。男子2人を育児中。
目次
5年生には思わぬ落とし穴が!?
教育ジャーナリストの佐野倫子です。
私は2024年2月に、長男の中学受験を終えましたが、少々後悔していることがあります。
それは5年生の時期に「中だるみ」をしてしまったこと。
東京都心では数年前、大手進学塾SAPIXのいくつかの校舎で、生徒数が定員を超え、低学年で入塾を締め切るという事態が起きていました(現在ではほとんどの校舎で解消されています)。我が家から徒歩数分の校舎も当分締め切るという話を聞き、長男も2年生の秋に入塾しました。
家庭教師や個別指導は利用しませんでしたが、公文や算数の先取り塾に入れてみたりと、SAPIX以外にも地道な勉強は続けていました。しかし、順調かに見えた5年生のとき、思わぬ落とし穴があったのです。
それは、親子で中学受験にちょっと飽きてしまった、ということ。このころは勉強のルーティンも確立されてきていて、私も仕事が忙しい時期。子どもに勉強計画を完全に任せるようになっていました。しかし、ここでふんわりサボったことが、後々響いてきたのです。
理科の暗記に苦しむことに……
というのも今思えば、毎週行われる理社の単元テストにもっとコミットするべきでした。「今日の小テスト、範囲のページは暗記した?」など尋ねてはいましたが、「大丈夫!」という言葉に安心していましたし、60点でも「次は真面目に頑張ってよ~」と言うくらいでつめが甘かった。
それが積もり積もってボディブローのようにきき、6年生の最後の最後まで、理科の暗記に苦しみました。
「あのころは塾にもちょっと飽きちゃったんだ、2年生から通うのは長すぎたよ。あと、理社は直前期でつめこめるっていうけど、あれは噓だな。3ヵ月ではなんともならない。5年生くらいからコツコツやるにかぎるよ」とは息子の弁。
どうか皆さんは、親子でチェックしながらいい勉強習慣を築いてください。また、これから入塾を考えられている親御さんは、低学年から塾に行くことのメリット・デメリットについても改めて考えてみてください。
5年生の伴走・5つのポイント
そんな私の反省と、伴走を終えた家庭へ取材をして聞かれた声をもとに、5年生の親タスクについてまとめてみました。
5年生「親の伴走ポイント」とマインドセット
・算数の比に代表される、中学受験の重要単元オンパレード学年。毎週取りこぼしがないように丁寧に宿題や復習を。ある程度親が管理するのが良
・適切なタイミングで模試を選び、子どもの傾向や特徴を親がつかむように努力する
・さまざまな手を尽くしても子どもが勉強に取り組む様子がない場合、すっぱりと高校受験に切り替える選択肢を持つ
・教材の整理や間違えた問題の集積には親が少しずつ取り組み、効率のいい方法を模索しておく
・5年生の夏休みは勉強も大事だが、同時に旅行や自然体験など、小学生らしいことにも注力を
5年生はバランスの取り方が大事
伴走を終えた私が難しいと感じたのは、5年生のバランスの取り方です。というのも、5年生で習う内容は、それまでと比べて格段に本格化。私も毎週、「きついね……」と、ママ友とLINEで弱音をはいていました。
さらに、小学生を育てる母親として、5年生のうちから受験一色にしてしまうことは避けたい、という心理もあります。子どもをできるだけ遊ばせてあげたいし、眠る時間もしっかり確保してやりたい。旅行や習い事も5年生だとまだ続けている人がほとんどです。
それでも塾のカリキュラムはあれもこれもと詰め込んできますから、積み上げるべきポイントと気分転換のタイミングに頭を悩ませることになります。
また、このころになると「あまりにも自分の子は中学受験に向いていないのでは……!?」と感じることがあるでしょう。
思ったよりも上がらない成績と対峙して、子どもに負荷をかけすぎてしまうのは避けたいですよね。中学受験から撤退して、高校受験に切り替えるのもあり、と腹を括っておくこともおすすめします。
親子ともに無理して続けるだけが正解ではありません。受験時期を切り替えるのもひとつの選択であると思うようにしましょう。
前受け校を含めて実際に足を運んでおこう
また5年生では、自宅から通える範囲のいいなと思っている学校、1月の前受け校を含めて学校に足を運ぶのがおすすめです。
偏差値はお子さんの平均偏差値の前後10くらいで、男女別学、共学、進学校、大学附属校などさまざまなタイプの学校を見てください。我が家は3年生から文化祭など楽しいイベントを狙っていき、トータルで10校ほど説明会やイベントに足を運びました。
このうち母だけで行ったのが5校、息子も一緒に行ったのが5校。塾が主催するオンライン説明会や、大規模な合同説明会なども利用して、見学する学校を絞っていくと効率アップが図れるでしょう。
さて、こんな調子で親の采配の見せどころともいえる5年生を終えると、いよいよ、本番ともいえる6年生の時期がスタートします。