「Chat GPT」丸投げはNG……「子どもの言語能力を伸ばす」驚きの活用方法があった!

文章の専門家・山口拓朗さんに聞く 小学校低学年の子の語彙力と表現力を上げるための親の取り組み #3 話題のChatGPTを活用する方法

ChatGPTを上手に活用して言語能力を高められる

─────ChatGPTを子どもの作文に取り入れるのは、ダメじゃないんですね?

山口さん:昔は一つの価値観をみんなで共有し、一つの常識に従ってみんなで生きていく時代でした。

今は価値観も多様化し、選択肢も増えました。あらゆるものが細分化されて、常識も素早く変わっていく時代です。

もはや変化するのが当たり前で、一つの価値観の中で生きていくのを手放さないと、ついていけない時代となっています。変わらないままでいると生きづらい世の中なのです。

新たに出てきたツールは、親が率先して触っておくくらいの意識がないと、時代に取り残されてしまいます。

目まぐるしく変わっていく情報化社会を生き抜くには、時代の流れについていく柔軟な思考が必要です。そして過去の常識を手放す勇気を持ち、新しいものに書き換えていくアップデートが重要となるのです。

将来は、このような類いのツールを、使いこなせる人と使えない人とで二極化してくると考えられます。フワッとしか聞けない人と的確に質問できる人とで、引き出す答えが変わるからです。

語彙力、コミュニケーション力、理解力など、ツールを使う側の言語能力の違いで、AIの出す答えに差が出ます。

ChatGPTは便利なツールですが、しっかりした思考活動をしていかないと使えない。結果的に格差は広がり、生産性にも違いが出てくることでしょう。

─────ツールを使うのも、人間の能力が試されるんですね。

山口さん:どんな時代が来ても、作文で鍛えられる「考える力」は、生涯にわたり活かせます。

考える力は対応力を深め、対応する力は言語力でついていく。人は言葉で物事を考えます。言葉を使いこなすことで、判断力、決断力もアップして、問題解決する力もついてきます。

親子インタビューで言葉のキャッチボールを繰り返すと、語彙力とコミュニケーション力、相手を理解する力も育ちます。

「共感」「受容」「安心」「喜び」「信頼」「癒やし」など、親子の信頼関係を強めるうえで必要なすべてが、インタビューに詰まっているのです。

これからの世界はどうなっていくか考えると、新しく登場した便利なツールは、大人が積極的に使って、情報活用能力を伸ばしていったほうがいいです。自分では思いつかなかったアイデアがもらえることもありますから。

本を読む・会話するなどして、多くの言葉のシャワーを浴びると、理解語彙が増えます。理解することが増えると、さらに理解語彙が増えていく好循環が起こります。そこからはアウトプットしてどんどん使える言葉を増やしていけます。

見て、聞いて、会話して、書き出して、どんどん語彙力と表現力を伸ばしていってほしいと願います。

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テクノロジーを上手に使いながら語彙力と表現力を伸ばしていく方法は、いかにも現代らしいやり方です。新しい言葉を知り、一つの言葉がほかの言葉に置き換えられるとわかると、言葉の先は広がっていきます。

繰り返し使うことで、言葉は自分のものになります。言葉を使いこなすためのアウトプット手段として、積極的に作文を書いていきましょう。

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山口拓朗(やまぐち・たくろう)
文章の専門家。伝える力「話す・書く」研究所所長、山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、ライター&インタビュアーとして独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴がある。現在は執筆や講演を通じて実践的なノウハウを提供。『魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう 親子で取り組む作文教室』(日本能率協会マネジメントセンター)のほか、『「うまく言葉にできない」がなくなる言語化大全』(ダイヤモンド社)にある言語化トレーニング法が話題になっている。

取材・文/石牟礼ともよ

文章の専門家・山口拓朗さんに聞く、小学校低学年の子の、語彙力と表現力を上げるための親の取り組み「作文のススメ」の連載は、全3回。
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