「Chat GPT」丸投げはNG……「子どもの言語能力を伸ばす」驚きの活用方法があった!

文章の専門家・山口拓朗さんに聞く 小学校低学年の子の語彙力と表現力を上げるための親の取り組み #3 話題のChatGPTを活用する方法

ChatGPTとやりとりして作文に役立てる。 写真:石牟礼ともよ
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2022年11月に公開されたChatGPTは、質問するとAIが受け答えをし、自然な会話が文章で楽しめる対話型のAIチャットサービスです。パソコンでもスマートフォンでも、インターネット環境があれば、誰でも無料で使えます。

ただし、利用規約上の年齢制限があります。13歳以上18歳未満の場合には保護者の同意が必要とされ、小学生が利用するのは推奨されていません。ここでは、小学生のお子さんをお持ちの保護者の方がお使いになる前提で、話を進めていきます。

作文の課題が出たとき、保護者の中には、「ChatGPTに作文を書いてもらおう」と考える人が出てきてもおかしくありません。果たしてそれでいいのでしょうか。

これから言葉を習得していく小学生のお子さんを持つ保護者は、どのようにChatGPTを活用していけばいいか、という点についてお聞きしました(全3回の3回目。1回目2回目を読む)。

◆山口拓朗(やまぐち・たくろう)
文章の専門家。伝える力「話す・書く」研究所所長、山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、ライター&インタビュアーとして独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴がある。現在は執筆や講演を通じて実践的なノウハウを提供。『魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう 親子で取り組む作文教室』(日本能率協会マネジメントセンター)のほか、『「うまく言葉にできない」がなくなる言語化大全』(ダイヤモンド社)にある言語化トレーニング法が話題になっている。

ChatGPTに作文を書いてもらえる?

─────作文が苦手・面倒だから、ChatGPTに書いてもらおうと考えることもありえます。学習にChatGPTを使うことについて、どう思われますか?

山口拓朗さん(以下山口さん):ChatGPTは、確かに作文を書いてくれます。出てきた文章を「子どもっぽく」「個性的に」と指示すれば、本当にそれらしく書いてくれちゃう。そうなると、子どもの語彙力は育たず、考える力を使わなくなるのが安易に想像できます。

だから、作文を丸投げしてしまうのはよくありません。

子どもにとって必要なのは、作文に書く内容を作ってもらうのではなく、語彙力や表現力を高めるために活用することです。悪者扱いするのではなく子どもの語彙力や作文力を伸ばすために、親自身が工夫して使うことをおすすめします。

ChatGPTは、言葉の意味を調べるようなインプットに使うと、逆に語彙力を伸ばすことができます。

例えば「海はなぜしょっぱいの?」とChatGPTに聞けば、そこそこいい答えを出してきます。返ってきた答えの内容が、難しすぎてわからないときには、「小学生がわかる言葉で」と指示すれば、かみ砕いた文章で返してくれます。

まず考えられる利用法は、昔、親御さんたちが百科事典で調べたような感覚で、「わからないことを聞く」方法です。親が知識を得て理解することで、子どもたちに適切に伝えてあげることができます。

─────そういう使い方なら、辞書やGoogle検索よりも用途が広がりそうですね。どんな指示を入れるかで、答えてくれる内容も変わってきますか?

山口さん:ほかの検索機能と大きく違うのは、双方のコミュニケーションができる点です。

ただし、こちらの指示や質問の内容次第で、欲しいアウトプットが出てこない場合があります。欲しい答えが返ってくるように情報を与えられるかどうかも、重要なポイントです。

ChatGPTを使いこなすには、親自身の言語能力も磨いていく必要があるのです。

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