子どもの不登校で親ができる4つのこと 2000人以上に指導した「先生の先生」が解説

小学校現役教諭・庄子寛之先生と考える子どもの不登校 #2 不登校の子どもと学校に対して、親の向き合い方と親自身もすべきこと

小学校教諭:庄子 寛之

もし、子どもが学校に行きたくないと言ったら?  写真:アフロ

現役小学校教諭・庄子寛之先生に聞く、子どもの不登校との向き合い方。1回目では、「なぜコロナ禍に不登校の児童・生徒は増えたのか?」について、その原因と特徴についてお話しいただきました。

2回目では、コロナ禍とは関係なく学校とうまくやっていけない子どもへ、親として何ができるのか、についてです。

もし自分の子どもが「学校に行きたくない」と言ったら、あなたはどうしますか? 無理に行かせる? 理由を尋ねる? 原因を探す? どう対応するのが正解なのでしょうか?

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庄子寛之
(しょうじ・ひろゆき)

東京都公立小学校指導教諭。道徳教育や人を動かす心理を専門とする。学級担任をするかたわら、「先生の先生」として全国各地で講演を行っている。担任した児童は500人以上、講師として直接指導した教育関係者は2000人以上にのぼる。

原因がよくわからない不登校と教員の現状

──2020年の文科省の調査で、不登校児が増えた理由の一つとして新型コロナウイルスの影響が挙げられています。しかし一方で、学校とうまくやっていけない、学校に行けないという、従来不登校と言われている子どもたちもいまだ存在しています。

庄子寛之先生(以下、庄子先生):昔は、友達にいじめられたとか、先生に嫌なことを言われたとか、不登校の原因がもっと明確だった気がします。しかし最近、原因がよくわからないという不登校児が増えています。

例えば、「無気力が原因」だとしても、なぜ無気力なのか本人もよくわかっていないんですね。

もちろん突き詰めていけば、小さな理由はたくさん出てきます。でもそれは、学校に行かない理由をがんばって探しているからに過ぎなくて、意外に当たっていないことが多いんです。にもかかわらず、親御さんは「子どもがこういう理由で行きたくないと言っています」と学校に電話してしまう。

でもそれが本当の理由とは限らないので、先生との関係が悪くなって、「あの親は要注意」などというレッテルも貼られてしまうこともあるんです。

──親にとっても試練ですね。

庄子先生:お父さん、お母さんにしてみれば、「子どもが学校に行けないくらいつらいと言っているのだからきっと何か理由があるのだろう」と、理由を見つけようとして、どんどん子どもを追いつめてしまう。そういうことがきっかけに親子関係までも悪化していきます。

ですから、そういう原因探しはできる限りやめたほうがいいんです。もし子どもが原因を言ったとしても、本当にそれが原因かどうかはわかりません。お父さん、お母さんに問い詰められて、そう答えているだけかもしれませんから。

ちょっと話が脱線するかもしれませんが、昨今話題になっている教員不足も、実は子どもの不登校に大きく関係しているんです。

実は、教師が多忙だといわれる原因の多くは保護者対応にあります。自分の子どもが不登校になれば、お父さん、お母さんが学校に連絡したくなる気持ちはよくわかるのですが、なかには度を越しているというくらいの方も……。もちろん、学校に連絡してくるのは、不登校のお子さんの保護者に限ったわけではないのですが。

また、最近はタブレットがあるので、学校に来なくても個別に指導できることもあって、タブレット対応の指導に追われ、ますます教員が多忙になるという負のサイクルが生まれています。実際に病気になってしまう教員も少なくありません。

そうなると、他の教員がフォローに入らなくてはなりませんから、学校全体が多忙になってしまうのです。

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