学校に行かない選択 「不登校問題」に直面したママ4人が明かしたリアルエピソード

「不登校からの新たな道」と「学校との向き合いかた」を語り合った白熱座談会を緊急記事化

写真:AdobeStock

文部科学省の調査によると、2021年度に不登校とされた小中学生は24万4940人となり、調査開始からはじめて20万人を超えました。今や小中学生の39人に1人が不登校だとされています。

また、「不登校傾向」にある子どもたちも含めると、その数はさらに増加する可能性があります。

そこで、今回は実際に不登校を経験されたママ(Aさん・Bさん・Cさん)から不登校になった原因、元養護教諭のママ(Dさん)からは学校へのかかわりかたなど、リアルなエピソードをうかがいました。

オンライン授業でもOKなのになぜ学校に行かないといけないの?

不登校の原因や状況は個人によって異なります。

一斉授業の学校教育に違和感を覚えたり、コロナ禍のオンライン授業で学校に行く意味を見失ったりする子どもたちも多く、従来の教育に疑問を持つ保護者も増えてきています。

今回お話を伺ったAさんは、息子さん(当時小学校2年生、現在小学校3年生)から「学校に行く意味」を問われたのだそう。

「どうして家でも勉強できるのに学校に行かなければならないの?」

コロナ禍でオンライン授業を経験した息子さんからの問いに、Aさん自身もうまく返答することができず、1年間くらいだましだまし登校させていました。

そして2年目の秋に行われた学芸会が大きな転機となったのです。息子さんにとって、なぜ大きな会場で知らない人たちの前で発表するのか? という疑問や嫌悪感。週1回登校を続けて学芸会を終えると、息子さんに残ったのは達成感などではなく、やっと終わった……という解放感だけでした。

それをきっかけに、だましだまし登校させることが難しくなり不登校になったといいます。

仕事をしていたAさんは本格的に息子と向き合おうと決意し、仕事を退職されました。そして現在は、学校と子どもが繫がるようにと母子登校を始めています。

「息子は見た目はとても元気です。しかし、心のどこかで自分の存在を忘れられてしまうのではないか……という不安もあるようです。勉強が嫌いなわけではなく、静かな環境で勉強したい! なぜみんな同じことをしないといけないのか? ということに違和感があったようです」

母子登校をしてみて変化はあったのでしょうか。

「友達と遊びたい! というようになりました。まだ2年生なのでどんなふうに心境が変化するかはわかりませんが……」

Aさん親子は、学校に行って授業を受けるということを目標にするのはやめ、学校に行くことで社会とつながるパイプを持つということを目標にしようと思っているそうです。そのパイプが途切れないようにとママが寄り添い、見守っています。

自宅学習の成果をどうやって学校に伝えるか? ママと子どもの二人三脚

子どもの行き渋りや不登校でママたちが悩む1つに、自宅学習の様子や子どもの頑張りをどうやって学校に伝えるか? という問題があります。

ママと子どもの二人三脚で乗り越えたBさんの話を聞きました。

「娘がゴールデンウィークを境に学校に行かなくなりました。この1年間で登校できたのは1学期に1回程度。コロナ当初でオンライン学習がまだ確立されていないとき、どうやったら自宅学習の成果を評価してもらえるのか? と悩みました」

どうやって学校に評価をお願いしたのでしょうか?

「体育、音楽などもできるかぎり取り組み、学習している姿を動画で撮影し、そのQRコードを提出しました。図工は教材を取りに行き、完成した作品を私が学校に持参しました」

自宅学習の成果の方法を試行錯誤するママの熱意が伝わります。

学校やさまざまなコミュニティとのかかわりかた

子どもが不登校になった場合、保護者と学校は、十分な連携や協力関係が必要となります。

元養護教諭だったDさんは、不登校児が多い学校で子どもたちのケア・サポートをしてきた経験があります。当時の不登校に対する学校の取り組みなどを教えていただきました。

「『まずは、学校まで行こう!』と教室には行けなくても保健室で過ごす、1時間でもいいから学校で過ごすなど、いくつかのステップを踏みながら、登校を促していました」

ほかにも、異年齢のかかわりを持つようにして友達と遊ぶことを目標にする、学校に来ることで生活リズムを整える、などのさまざまな取り組みを行ったと言います。

子どもによっては、プレッシャーを感じやすい子もいます。子どもが学校で過ごす時間に安心感を持っていられるかどうかがいちばん大事だとDさんは言います。

学校も、不登校の子どもが安心できる環境はなにかということを家庭といっしょに考えていく必要があると思います。学校行事やクラブ活動など、子どもの自己肯定感を高められるいろいろな機会を提供できるのが学校の良さではないでしょうか。

学校でしか得られないものもありますが、現在は、学校外にもさまざまなコミュニティがあります。

「フリースクールなど不登校になったときの支援がもっと広がればいいなと思っています」とDさんは語ってくれました。

不登校からの脱却! しかしコロナ禍の影響や長期休暇による弊害も

付き添い登校から毎日ひとりで登校へと状況が好転したものの、コロナ禍・長期休暇などで中断すると、また振り出しに戻るケースもあります。小学3年生のお子さんを持つCさんにお話をうかがいました。

「おそらく息子は分離不安のタイプなのかな、と思います。入学してすぐにコロナで長期休みとなり、家族といる安心した環境が長く続いた結果、学校に足が向かわなくなりました」

約2週間休んだときに、学校側から放課後登校を提案されたそうです。

放課後登校は、先生と一対一で行うものだったので安心できました。そして、学期の最初は休みがちだったものの、母子登校をして徐々に通常の授業も受けられる日が増えてきました。しかし、ある弊害が生じます。

「慣れてきたタイミングで、私は仕事を始め順調に息子も学校に登校していたのですが、2年生の終わりに転勤が決まり、3年生で転校をすることになりました。それでも、休まず登校できていましたが……。長期休暇明けに、今度はまったく行かなくなりました」

頑張れば行けるんじゃないのか、と思っていたCさん。

当時は、大人の都合で息子さんを見ていたとのこと。息子さんの意思を尊重するようにしたところ、今では息子さんのほうから体育の時間は行く! というような意思表示ができるようになりました。

「元気で楽しく過ごす」がいちばん大事

子どもがいざ不登校になると、子どもに何と声をかければいいのか? どう接すればいいのかと悩むことも多いかもしれません。

腫れものに触るように接するのはちょっと違うし……そんなときはどうすればいいのでしょうか。

お子さんへの接しかたで気をつけていること・工夫していることはありますか?

Bさんは「私自身も行き渋りや不登校を経験していたので、無理に行かせても意味はないと感じていました。途中からでも行きたくなったらママと行けばいいし、帰りたくなったら学校に言えばママが迎えに行くよ、と娘には話しています」

Cさんは「今は様子を見ながら、どうしたいのかな? と子どもに寄り添う形をとっています。そうすることで、子ども自身が元気になるということがわかりました」

今回は、行き渋りや不登校のお子さんを持つママたちから貴重なお話をうかがいました。

学校へ行くことだけがすべてではなく、休んでいる間も子どもが元気でいてくれることがいちばん大事と口々にママたちは語ります。

コクリコラボのアンケートでも、どうしても学校へ行かなくてはならないという意識は薄くなっていることがわかりました。

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「担任以外の相談できる大人がいたら、登校できる子もいるのかもしれない」

「画一的な学校の体制を変えていかなくてはいけないのかも……。これまでの学校の在り方、教育の在り方を考えるチャンスになった」

「学校以外のところでも、いろいろな人とつながって、子どもたちが安心できる場所ができたらいい」

など、さまざまな意見が出ました。

子どものために奮闘するママに感動

「私の経験が今悩んでいるどなたかのお役に立てれば……」と快くお話をしてくださった4人のママ。

それぞれ葛藤を抱きながらも何とかして前に進もうとする姿や子どものために尽力する姿に心を打たれました。また、子どものために試行錯誤する姿は見習いたいとも思います。

さまざまな意見や経験・解決への方法を聞くことで、「もしも同じ立場に自分自身がなったとき、子どもや学校とどう向き合えば良いのか?」ということを深く考える機会にもなりました。

この記事がより多くのママのお役に立つことを願っています。

※この記事は、「コクリコラボ」
「小学生の不登校」リアルな実態とイメージを大調査
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のための座談会をもとに構成したものです。

取材・文/通山きみこ・林まき子(AnyMaMa エニママ)

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