「作文が苦手な子ども」を伸ばす親子インタビューで親がすべき「3つの質問」 専門家が〔例文付き〕で伝授

文章の専門家・山口拓朗さんに聞く 小学校低学年の子の語彙力と表現力を上げるための親の取り組み #2 子どもの表現力を引き出す「親子インタビュー」

『魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう 親子で取り組む作文教室』(日本能率協会マネジメントセンター)が小学校の先生にもわかりやすいと好評の山口拓朗さん。 写真:石牟礼ともよ

書く素材がそろった次は、作文に落とし込む

─────実際に作文を書いていくときには、どうしたらいいでしょうか?

山口さん:インタビューして出てきたことを、そのまま書かせるのも味になります。でも、いきなり書けないというお子さんには「テンプレート」を使うと書きやすくなります。

料理のレシピと同じで、作文も順番がわかっていると書きやすいのです。テンプレートは文章の流れを示したガイドのようなものです。

「①メッセージ→②理由→③未来」の順に書いていくと、文章がまとまりやすくなります。

作文を書くときのお子さんへのインタビューは、次の3つの質問をしてガイドしましょう。

質問1:メッセージを決める質問
質問2:理由を見つける質問
質問3:未来を見つめる質問


作文にするときのテンプレートをご紹介します。

お題1:わたしの大好きなもの(こと)

質問例1メッセージ:あなたの好きなもの(こと)はなに?
→①メッセージ:わたしは走ることが大すきです。

質問例2理由:どうして走ることが好きなの?
→②理由:なぜかというとあせをかくと気持ちがいいからです。

質問例3未来:走ることで、どんな夢を叶えたい?
→③未来:次の運動会ではリレーでいちばんになりたいです。

お題2:わたしは○○に行きたい

質問例1メッセージ:行きたい場所はどこ?
→①メッセージ:わたしはディズニーシーに行きたいです。

質問例2理由:どうしてそこに行きたいの?
→②理由:なぜかというとダッフィーに会いたいからです。

質問例3未来:そこに行ったら何をしたい?
→③未来:ダッフィーに会ったらだきついていっしょに写真をとりたいです。

お題3:わたしの将来の夢

質問例1メッセージ:将来の夢はなに?
→①メッセージ:わたしは、しょうらいお医者さんになりたいです。

質問例2理由:どうしてその夢をもったの?
→②理由:なぜかというとケガをしている人や、病気で苦しんでいる人を助けてあげられるからです。

質問例3未来:夢が叶ったら何をしたい?
→③未来:お医者さんになったら日本で一番しゅじゅつがうまくなって、たくさんのかんじゃさんをなおしてあげたいです。

イメージがつかめましたか?

作文には2種類あります。自分の経験したことを書くものと、経験していないことを想像して書くものです。

料理を作るときのレシピのように、質問するときから流れがわかっていると、作文にしやすいです。

テンプレートに書く中身は、その子なりの個性です。事実だけを並べるのではなく、何を感じたか、どう思ったかについても、インタビューして引き出してあげてください。

─────親と子が交代しながら、楽しくインタビューをすることで、言葉が育まれていくのがわかりました。

第3回は話題のChatGPTの活用について、お話しいただきます。

─◆─◆─◆─◆─◆─◆─

山口拓朗(やまぐち・たくろう)
文章の専門家。伝える力「話す・書く」研究所所長、山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、ライター&インタビュアーとして独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴がある。現在は執筆や講演を通じて実践的なノウハウを提供。『魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう 親子で取り組む作文教室』(日本能率協会マネジメントセンター)のほか、『「うまく言葉にできない」がなくなる言語化大全』(ダイヤモンド社)にある言語化トレーニング法が話題になっている。

取材・文/石牟礼ともよ

文章の専門家・山口拓朗さんに聞く、小学校低学年の子の、語彙力と表現力を上げるための親の取り組み「作文のススメ」の連載は、全3回。
1回目を読む
3回目を読む
※公開日までリンク無効

24 件