「作文が苦手な子ども」を伸ばす親子インタビューで親がすべき「3つの質問」 専門家が〔例文付き〕で伝授
文章の専門家・山口拓朗さんに聞く 小学校低学年の子の語彙力と表現力を上げるための親の取り組み #2 子どもの表現力を引き出す「親子インタビュー」
2023.12.08
書く素材がそろった次は、作文に落とし込む
─────実際に作文を書いていくときには、どうしたらいいでしょうか?
山口さん:インタビューして出てきたことを、そのまま書かせるのも味になります。でも、いきなり書けないというお子さんには「テンプレート」を使うと書きやすくなります。
料理のレシピと同じで、作文も順番がわかっていると書きやすいのです。テンプレートは文章の流れを示したガイドのようなものです。
「①メッセージ→②理由→③未来」の順に書いていくと、文章がまとまりやすくなります。
作文を書くときのお子さんへのインタビューは、次の3つの質問をしてガイドしましょう。
質問1:メッセージを決める質問
質問2:理由を見つける質問
質問3:未来を見つめる質問
作文にするときのテンプレートをご紹介します。
お題1:わたしの大好きなもの(こと)
質問例1メッセージ:あなたの好きなもの(こと)はなに?
→①メッセージ:わたしは走ることが大すきです。
質問例2理由:どうして走ることが好きなの?
→②理由:なぜかというとあせをかくと気持ちがいいからです。
質問例3未来:走ることで、どんな夢を叶えたい?
→③未来:次の運動会ではリレーでいちばんになりたいです。
お題2:わたしは○○に行きたい
質問例1メッセージ:行きたい場所はどこ?
→①メッセージ:わたしはディズニーシーに行きたいです。
質問例2理由:どうしてそこに行きたいの?
→②理由:なぜかというとダッフィーに会いたいからです。
質問例3未来:そこに行ったら何をしたい?
→③未来:ダッフィーに会ったらだきついていっしょに写真をとりたいです。
お題3:わたしの将来の夢
質問例1メッセージ:将来の夢はなに?
→①メッセージ:わたしは、しょうらいお医者さんになりたいです。
質問例2理由:どうしてその夢をもったの?
→②理由:なぜかというとケガをしている人や、病気で苦しんでいる人を助けてあげられるからです。
質問例3未来:夢が叶ったら何をしたい?
→③未来:お医者さんになったら日本で一番しゅじゅつがうまくなって、たくさんのかんじゃさんをなおしてあげたいです。
イメージがつかめましたか?
作文には2種類あります。自分の経験したことを書くものと、経験していないことを想像して書くものです。
料理を作るときのレシピのように、質問するときから流れがわかっていると、作文にしやすいです。
テンプレートに書く中身は、その子なりの個性です。事実だけを並べるのではなく、何を感じたか、どう思ったかについても、インタビューして引き出してあげてください。
─────親と子が交代しながら、楽しくインタビューをすることで、言葉が育まれていくのがわかりました。
第3回は話題のChatGPTの活用について、お話しいただきます。
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山口拓朗(やまぐち・たくろう)
文章の専門家。伝える力「話す・書く」研究所所長、山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、ライター&インタビュアーとして独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴がある。現在は執筆や講演を通じて実践的なノウハウを提供。『魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう 親子で取り組む作文教室』(日本能率協会マネジメントセンター)のほか、『「うまく言葉にできない」がなくなる言語化大全』(ダイヤモンド社)にある言語化トレーニング法が話題になっている。
取材・文/石牟礼ともよ
文章の専門家・山口拓朗さんに聞く、小学校低学年の子の、語彙力と表現力を上げるための親の取り組み「作文のススメ」の連載は、全3回。
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