「作文が苦手な子ども」を伸ばす親子インタビューで親がすべき「3つの質問」 専門家が〔例文付き〕で伝授

文章の専門家・山口拓朗さんに聞く 小学校低学年の子の語彙力と表現力を上げるための親の取り組み #2 子どもの表現力を引き出す「親子インタビュー」

親子インタビューで、今まで見えていなかった子どもの素顔がわかる。 写真:アフロ

「親子インタビュー」をすると、頭の中にある言葉を取り出すほかに、自分の言葉で考える力がつくといいます。一人で黙々と考えるよりも、たくさんのことを相手に伝えようとするからです。

では、実際にどのようにインタビューをして、作文に落とし込んだらいいのでしょうか。

『魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう 親子で取り組む作文教室』著者の山口拓朗さんに、例文を上げながら、詳しくお話しいただきます。(全3回の2回目。1回目を読む)

◆山口拓朗(やまぐち・たくろう)
文章の専門家。伝える力「話す・書く」研究所所長、山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、ライター&インタビュアーとして独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴がある。現在は執筆や講演を通じて実践的なノウハウを提供。『魔法の質問で「コトバの力」を伸ばそう 親子で取り組む作文教室』(日本能率協会マネジメントセンター)のほか、『「うまく言葉にできない」がなくなる言語化大全』(ダイヤモンド社)にある言語化トレーニング法が話題になっている。

親子インタビューにはメリットがいっぱい

─────子どもへのインタビューは、語彙力と表現力のほかに、考える力とコミュニケーション力も育てる、というお話でした(#1を読む)。ほかにインタビューするメリットはありますか?

山口拓朗さん(以下、山口さん):インタビューをすると、頭の中の引き出しから、書く素材を取り出すことができます。

素材は「体験」が生み出します。「本を読む」という体験が、読書感想文を書く素材となるし、「川や海へ行って泳いだ」という体験が、夏休みの作文の素材となります。

子どもは目で見たこと、聞こえた音、触った感覚、食べて感じた味、においなど、五感をフル稼働させています。体験は重要なインプットとなります。

そのときは言葉にならなくても、子どもは体験を通して多くの素材をインプットし、質問されることでアウトプットできるのです。

インタビューは子どもの思考を広げ、自由な発想で考える練習となります。じっくり向き合って話すと、ちょっとした表情の変化やしぐさなど、非言語の情報も同時に読み取れます。

すると、聞いた言葉だけでなく、非言語からも相手を理解し、とっさの変化を見抜く能力も磨かれます。

私は子どもの書く文章には、必ずしも結論を出さなくてよいと考えています。それでもインタビューを繰り返すことで、言葉の結びつきを理解し、結論を出していけるようになります。

筋道を立てて考える論理的思考も養われ、文章力以外にもいろいろな能力アップにつながるのです。

─────文章は深いですね。

山口さん:本をたくさん読んだり、親とよく話をしたりする子は、割とすんなり体験を文にしていけます。普段から、インプットとアウトプットが適度に行われているからです。

しかし、そういう背景のないお子さんは、体験があっても文が書けないことがあります。そんなときに助かるのが、「親子インタビュー」なんです。

手始めに、知的好奇心をそそるような、子どもが疑問に思ったことや興味を持ったことを、親子で話すといいです。

子どもが少しおかしなことを言っても突き放さず、「どうしてだろうね?」と一緒に考えます。親は子どもの思考を自由に広げてファシリテートしていくのが役目です。

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