「作文が苦手な子ども」を伸ばす親子インタビューで親がすべき「3つの質問」 専門家が〔例文付き〕で伝授

文章の専門家・山口拓朗さんに聞く 小学校低学年の子の語彙力と表現力を上げるための親の取り組み #2 子どもの表現力を引き出す「親子インタビュー」

体験の少ない子には「もしも質問」で対応

─────子どもの記憶に深く残るような体験を、充分させてあげられないご家庭では、どうしたらいいですか?

山口さん:体験が少ないお子さんには、「もしも質問」がオススメです。「もしも○○だったらあなたはどう思う?」と想像してもらうのです。

「もしも、この国の王様だったら?」
「もしも、100万円を自由に使っていいと言われたら?」
「もしも、サッカーのプロ選手だったら?」など

「もしも」と聞くだけで、素材集めができます。「もしも質問」は、子どもがゲーム感覚で発想を楽しめるようになる、いい練習になります。

作文にするときには、こんなふうに書いていきます。

お題:もしもわたしが○○に変身したら

  の中には質問の答えを入れます。

わたしは     になりたいです。
なぜかというと      だからです。
変身したら         がしたいです。

書き込み例はこちらです。

質問例1:変身したいものはなに?
→わたしはおひめさまに変身したいです。

質問例2:どうして変身したいと思ったの?
→なぜかというときれいなドレスを着て、たくさんのほう石をつけて、いつでもかわいくいられるからです。

質問例3:○○に変身したら、何をしたい?
→どうせなら、山の上にあるおしろで、王子様といっしょにくらしたいなあ。

子どもの想像力は、常識にとらわれないので面白いです。どんな答えを言っても否定せず、「へえ、おもしろいね」と応じていくことが大切です。子どもが語りたいことを深く聞いてあげると、その子らしい素材がたくさん出てきて、味のある作文になっていきます。

自由に発想して自由に考えていく力は、将来、判断や決断する力につながります。親がインタビューする目的は、子どもの思考を広げることです。自由な発想で思考の幅を広げていける子は、問題解決する能力も身につきます。

─────親は子どもの話に、興味を持って聞いてあげるといいんですね。

山口さん:慣れてきたら、親が質問するばかりでなく、インタビュアーを交代してみましょう。子どもから親に質問させるのも、コミュニケーション力アップに効果的です。

答える側から質問する側になると、主導権が子どもに変わります。「はい」か「いいえ」だけで答えられる質問だと、インタビューもすぐに終わってしまうし、同じ質問ばかりではつまらない。

続けるうちに質問にもバリエーションが増えてきて、やりとりが楽しくなってきます。こうして身につけたコミュニケーション力は、最終的に生きる力にはね返ってきます。

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