小学校高学年の「問題」が解決? 若手経営学者が伝授する「七転八起の四角形」が子どもを救う

経営学者・岩尾俊兵先生に聞く、「6歳から学べる経営」 #3 高学年の問題を解決する「七転八起の四角形」

慶應義塾大学商学部准教授:岩尾 俊兵

経営学者の岩尾俊兵先生。東京大学初の経営学の博士としても話題を集めました。

慶應義塾大学商学部准教授・岩尾俊兵先生に聞く、「6歳からの経営学」。

岩尾先生は、「経営の考え方を学べると、自分の人生も経営できる」。だからこそ、これからを生きる子どもたちに経営を学び、身につけてほしいといいます。

前回では、小学校低学年の学校生活でよく起こる問題を、岩尾先生が考え出した「問題解決の三角形」を使って解決する方法を教えていただきました。

3回目では、小学校高学年になると増えてくる、どうしようもならない出来事に対処できる考え方を、「七転八起の四角形」を通して教えていただきます。

(全4回の3回目。1回目を読む2回目を読む

岩尾俊兵(いわお・しゅんぺい)
慶應義塾大学商学部准教授。平成元年、佐賀県生まれ。父の事業失敗のあおりを受け高校進学を断念。中卒で単身上京。陸上自衛隊、肉体労働等に従事した後、高卒認定試験(旧・大検)を経て、慶應義塾大学商学部卒業。東京大学大学院経済学研究科マネジメント専攻博士課程修了、東京大学史上初の博士(経営学)を授与される。

高学年の問題解決方法は「七転八起の四角形」を使う

──前回に続いて、今回は高学年の子どもたちへ向けての問題解決方法を教えていただきます。

岩尾俊兵先生(以下、岩尾先生):高学年生へ向けての解決方法は、以下の「七転八起の四角形」を使います。

資料提供:岩尾俊兵

岩尾先生:これは経営学者のピーター・ドラッカー氏の考え方をもとに、僕が小学生でもわかるコンセプトに変えて、フレームワークを変えて作った四角形です。

ドラッカー氏は、誰かの強みで、他の誰かの弱みを打ち消すことを繰り返すと、人があつまったときにもっとすごいことができるようになる。それがマネージメント(=経営)だと、一生かけて言っています。

さらにそれは出来事にもあって、ある出来事にも必ずプラスとマイナスがあり、それに対して別の出来事を自分で次の一手として打つとします。それによって、プラスでマイナスを消してあげれば、どんな出来事もプラスに変えられます。「七転八起の四角形」は、それをわかりやすくした図です。

この「七転八起の四角形」は、今現在の、目の前の人との解決はもちろんのこと、自分ではどうしようもない、すでに起きてしまった過去の出来事との折り合いをつけるときにも役立ちます。

起きてしまった出来事がプラスに転じる

岩尾先生:では、実際に小学生から出た問題を、小学生と一緒になって「七転八起の四角形」に当てはめて、解決した実例で説明していきます。
        
Cちゃんは、親友のDちゃんと喧嘩してしまいました。これが四角形左上の(1出来事・起こったこと)です。
喧嘩は嫌なことに違いないのですが、喧嘩して良かったことを無理やり見つけて(笑)、左下(2出来事のプラスの側面・良かったこと)に書きます。ここでは「Dちゃんがどんなことで怒るのかが理解できた」という意見が出ました。

右下の(3出来事のマイナスの側面・悪かったこと)は、「Dちゃんに嫌われてしまったかも」ということでした。
では、この3の部分を打ち消すにはどうしたらいいかを考えてみましょう。3の部分に集中して、他に余計なことは考えません。そうして思いついた打ち手を右上(4出来事への対処・マイナスを取り除く方法)に書きます。ここでは「まずは謝る」「その後はこういうことをされたら嫌なんだって分かったから同じことはやらないようにする」という意見でした。
さて、四角形が出来上がりました。

こうして、喧嘩する原因は今後避けられるようになったし、Dちゃん以外のことも同様に考えられるようになったので、今後は友達が増えるかもしれない。この喧嘩というマイナスは、意外といい点があったなと考えられるようになります。
これが、起きてしまったどんな出来事もプラスに転じられる「七転八起の四角形」、これもひとつの経営なんです。

「どんな出来事も、この四角形を用いればプラスに転じることができます」(岩尾先生)。

中学受験に失敗した事例

岩尾先生:次に、中学受験で志望校に落ちてしまったという事実を、この四角形で考えた例を紹介します。

受験で落ちたという事実は、もう自分では解決できません。そういった問題とどう向き合うかを、こんなふうに考えられはしないでしょうか。

資料提供:岩尾俊兵

岩尾先生:小学生の間に起きるあらゆること、困ったときや悩んだときに、この四角形に当てはめて考えれば、自然に経営マインドが身につきますので、子どもたちにはぜひ大人になる前に、この考え方を獲得してほしいなと思っています。

経営はポジティブなもの

──岩尾先生のお話を聞いていると、「経営」がとってもポジティブなものに聞こえてきます。

岩尾先生:そうなんです。本来なら世の中の経営は「金儲け」ではないし、「奪い合い」でもないんです。

1000年前の平安時代や、鎌倉時代の人たちが、今の私たちの生活を見たら、きっと月の上に住んでいる神様の生活だと思うでしょう。

遠くの人とスマホで会話して、誰でも空を飛んで遠くに移動できて、夏でも涼しいだなんて、まるで魔法使いですよね。そんな生活を誰もがしている。肉も魚も食べているし、当時の王侯貴族より豊かな生活をしているわけです。

「子どもたちには、経営を通して、未来は創造できるものだと思ってもらいたいんです」(岩尾先生)

岩尾先生:人間の経済成長は、無限であり得るんです。そのためには、いろいろな人の力を借りながら、新しい価値を作り出していかなくてはならない。その新しい形の価値を「みんなで分配する」というような、ピーター・ドラッカー氏的な経営の話をしているので、ポジティブに受け止めてもらえるのだと思います。

「いい学校に行って、いい会社に行って」という考え方は、奪い合いの発想です。定員は必ず決まっていますから。それに小学生が自分の行く学校を自分で作るということはできませんよね。

でも子どもたちにその先の未来で、自分で大学や会社を作ってやろう! と発想し、価値は創造できるものだと思ってもらいたい。そのための6歳からの経営の学びなのですから。

――――◆―――◆――――

最終回となる次回4回目では、自分で作る「価値の創造」について引き続き、岩尾先生に教えていただきます。

撮影/日下部真紀
取材・文/浅妻千映子

岩尾先生の6歳からの経営学は全4回。
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(※4回目は2023年10月23日公開。公開日までリンク無効)

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いわお しゅんぺい

岩尾 俊兵

Iwao Shumpei
慶應義塾大学商学部准教授

慶應義塾大学商学部准教授。平成元年佐賀県有田町生まれ。父の事業失敗のあおりを受け高校進学を断念。中卒で単身上京。陸上自衛隊、肉体労働等...