人気イラストレーター北岸由美さん 夢の絵本デビュー! 20ページ試し読み

「イラストを描くのと、絵本を描くのは、まったく違う体験でした」

ネコやウサギなど、かわいい動物のイラストで人気の北岸由美さん。

どの絵も、ていねいに細やかに描かれていて、お話のワンシーンのよう! いままで絵本を出していなかったなんて、ふしぎです。

そこで、2021年4月27日(火)から絵本の原画展を開催する、東京・表参道のギャラリー・ドゥ-・ディマンシュでお話を伺いました。
北岸 由美
Yumi Kitagishi

イラストレーター。東京都内で愛猫とともに暮らす。作家として個展やSNSで作品を発表するほか、幼児・児童向けの媒体、広告や製品デザインなど、幅広いジャンルで活躍中。
好きな本は「のばらの村の物語」シリーズ(作:ジル・バークレム)や『わたしのワンピース』(作:にしまきかやこ)、『カラスのパンやさん』(作:かこさとし)、「11ぴきのねこ」シリーズ(作:ばばのぼる)など。いまでもときどき読み返すくらい「ムーミン」シリーズ(作:ヤンソン)も好き。
--かわいいベレー帽ですね!

「これは、香港のマッシュルームというアパレルブランドが作ったものなんです。刺繍で、わたしのイラストをこんなにきれいに再現してくださって、とてもうれしかったです。わたしも今日着ているんですけれど、ブラウスやTシャツにもイラストを使ってくださっています」

--成田空港のガラスのドアに絵をお描きになったり、インスタで毎日、小さなイラストをアップしたり。ほんとにいろいろな活動されてますよね。

「毎朝、起きたらまずは1枚描いて、インスタにアップするようにしていました。楽しみにしてくださる方がいってくださったので、続いてしまいました。ご自分の誕生日はどんな絵になるか楽しみにしていました!という方もいらして」
365日をテーマにした小さな小さなキャンバス絵。

「お誕生日や記念日のプレゼントに人気みたいです。毎日描いていて気付いたのですが、どの日もだれかにとって大切な日。明るい気持ちになれる絵にしたいなと思っています」

運がよければ、個展や、ギャラリー・ドゥ-・ディマンシュさんで購入することができます。

「お話を作るのって、難しい」

「いつか絵本を出したいなあという夢はありました。

絵本を作りたいと思うきっかけになったのは、ジョン・バーニンガムさんの作品です。高校生の頃、保育学科のクラスだったので、実習室にジョン・バーニンガムやエリック・カールなど海外作家の本がそろっていて、海外の絵本の色彩世界にとても影響を受けました。

でも、1枚の絵でお話を表現するのは好きなのですが、長いお話を考えるというのが、なかなかできなくて。

今回手がけた『ねこねこほいくえん おさんぽカー』は、児童書作家の石崎洋司さんがお話を書いてくださったので、文章を読みながら、『こんな風かな』と想像しながら楽しく描くことができました。

はじめは、おさんぽカーってどんなかな?って、子どもたちがいないときに、近所の保育園に置いてあるものを見に行って、スケッチしたりしました」

--とくにお気に入りのシーンはありますか?

「ショッピングセンターのところかな。断面図になっているんですけれど、ドールハウスみたいって思いながら楽しく描きました。『のばらの村のものがたり』シリーズが好きなんですが、特に、木のおうちの断面図がたまらなく好きなんです。だからかな(笑)」
北岸さんお気に入りのショッピングセンターの断面図のラフと仕上がった原画。

ラフは鉛筆、仕上げはアクリルガッシュで。

「主人公の3人が、ショッピングセンターの中で、それぞれ楽しんでるところを入れました。アイスクリームは、実際にフレーバーの種類を考えたりして、楽しかったです」
いたずらのかぎりをつくした3人が、グロサリーでつまみ食いをしているシーン。パンもハンバーグも、ドーナツも、みんなおいしそう!

「描いているうちに、おなかがすいちゃいました(笑)」
北岸さんお気に入りの黒ネコのマルちゃん。

「ココアだと思ったら、コーヒーで。苦くって、泣いてるところです(笑) イラストだとこんな表情を描くことはあまりないので、新鮮でした」

「名前がついている子を描いたのは、はじめてかも」

--北岸さんのイラストレーションは、動物の絵が多いですよね。

「動物は小さいときから好きでした。人とコミュニケーションをとるのが苦手だったので、無表情に見える動物は安心できたのかもしれません。絵本も、動物が出てくるものが好きでしたね。

でも、最近、ネコを飼いはじめて一緒に暮らすようになったら、ネコも表情があるんだなあって(笑)見返し(表紙の裏)のとらねこのいろんなポーズは、うちのハンくんを参考にしています」

--今回の絵本の主人公は、北岸ファンとしては、おなじみのネコちゃんですね。マルちゃん、ココちゃん、メイちゃんという子ネコたち、描いてみていかがでしたか。

「考えてみたら、いままで名前がついている子を描いたことはなかったかも! 

白ネコをたくさん描いているんですけれど、名前はつけていないので、名前を聞かれたら『しろねこ』って答えてるくらいです。イラストは、見た人が好きな名前をつけてかわいがってくれたらいいなと思っていることもあるかもしれません」
いつもいっしょにいる「しろねこ」。お友だちのぬいぐるみ作家の人に作っていただいたのだそう!
--いちばんお好きな動物は、やっぱりネコですか。

「ワニもけっこう好き。今回は、キャッシャーで登場してくれて、うれしかったです。それと、ブルドックってあまり描くチャンスがないので、今回、ブル子先生を描くのが楽しかったです。保育園の先生っぽい服にしてみました!」

--逆に描くのに苦労されたシーンはありますか。

「子ネコたちが商品のふりをするシーンを石崎先生がお書きになったんですけど。『子ネコがバッグになるのはできそう。でも、ティッシュケースのふりをするって、どんな風に描いたらいいんだろう』ってけっこう悩みました。

それから、同じキャラクターを何度も描くことっていままでなかったので、途中でメイちゃんの洋服が替わってしまったことに気づかなかったり、マルちゃんのしっぽの先の柄を忘れちゃったり。ずっと同じにするのって大変なんですね。今度描くときも、きっと細かいところを描き込んでしまうと思うので、自分でも気をつけなくっちゃ(笑)」
手前のミケネコが、メイちゃん。奥の白ネコが、ココちゃん。お洋服も細かいから、統一するのが大変!
ーーあらためて原画を拝見しましたが、ほんとに細かいところまで丁寧に描かれていて、いつまででも見ていたくなっちゃいますね!

「ありがとうございます。描き込むのが好きなので、どんどん描いてしまうんです。

一枚絵ならいいのですが、絵本は文章も入るので、意識して、読みやすく文字が入るようにあけておくようにするのがひと苦労でした。

絵本でうまくあわさっているか、ご覧になっていただけたらうれしいです」

   

思っていたよりも絵本作りは大変だった、と北岸さん。でも、またぜひ挑戦したいです、と笑顔で語ってくれました。次はどんな絵本を描いてくださるのか、楽しみですね!

北岸由美さんサイン会のお知らせ 
終了いたしました)

2021年4月29日(木・祝)13時~
東京・谷中のひるねこBOOKSさんで、北岸由美さんのサイン会​があります。予約制なので、お店に問い合わせてくださいね。ひるねこBOOKSさんは、この4月22日にお引越しオープンしたばかり! かわいい展示や厳選された本がいっぱいの楽しいお店です。

原画展のお知らせ
(終了いたしました)

2021年4月27日(火)~5月16日(日) 
東京・表参道にあるギャラリー・ドゥ-・ディマンシュで『ねこねこほいくえん おさんぽカー』の原画を見ることができます! フランスの雑貨や小物などをたくさん揃えている、隠れ家のような素敵なギャラリーです。
原画で見るのもまた格別ですね!(ギャラリー・ドゥ-・ディマンシュ)
『ねこねこほいくえん おさんぽカー』
文:石崎洋司 絵:北岸由美 装丁:坂川朱音

北岸由美さんの手がけたはじめての絵本。

20ページ試し読み!

せっかくのお天気なのに、気軽にお出かけもできない毎日。20ページ試し読みできるようにしてみました。
マルちゃん、ココちゃん、メイちゃんといっしょに、おさんぽカーで冒険してね!

マル、ココ、メイちゃんがじーっと窓から見ているのは・・・
『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より

お話のはじまり。マルちゃん、ココちゃん、メイちゃんが、おさんぽカーをおしながら、ほいくえんをそーっとぬけだします。
『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より

『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より

たいへん! おさんぽカーに乗った3びきを待っていたのは、ものすごい下り坂でした!
『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より​

ショッピングモールで、いたずらざんまい! ココちゃん、うさぎちゃんの写真撮影に割りこんじゃだめよ。
『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より

『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より

『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より

たいへん! ブルコ先生がさがしにきてしまいました! さんびきが、なんのふりをしているか、さがせるかな?
『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より

『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より

『ねこねこほいくえん おさんぽカー』より