【初の全ページ試し読み】絵本『にじいろの さかな』【期間限定】

子どもの社会性と心を育てるベストセラー絵本。日本語版30周年を記念し、期間限定web初公開(2025年11月23日まで)

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タレントの藤本美貴さんも子育てで愛用していた、絵本『にじいろの さかな』特別公開!

キラキラのうろこをもつ特別なさかな「にじうお」と、海の仲間たちの冒険と友情の物語「にじいろの さかな」シリーズ。

じぶんの大事にしているキラキラのうろこをお友達にもわけてあげることができるかな? という子ども社会にも起こりうる物語は、「子どもの社会性と心を育てる絵本」としてシリーズで世界で3000万部、日本で150万部以上の大ベストセラーとなりました。

1995年に日本語版の1巻が出版され、今年で30周年を迎えます。

そちらを記念し、初の全ページ試し読みを公開。

タレントの藤本美貴さんもご自身の子育てで愛読されていて大きな話題を呼んだ『にじいろの さかな』。

1ヵ月の期間限定ですのでぜひこの機会にいかがでしょうか。
*全ページ公開は2025年11月23日23:59に終了します。
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子どもの心と社会性を育てる絵本『にじいろの さかな』

『にじいろの さかな』 作/マーカス・フィスター 訳/谷川俊太郎
 あおく ふかい とおくの うみに、 1ぴきの
さかなが すんで いた。 なみの さかなじゃ ない。
うみじゅう さがしても、 こんなに きれいな
さかなは いなかった。 にじのように、 さまざまな
いろあいの、 あおと みどりと むらさきの うろこ。
その なかに きらきら かがやく ぎんの うろこ。
あおく ふかい とおくの うみに、 1ぴきの さかなが すんで いた。 なみの さかなじゃ ない。うみじゅう さがしても、 こんなに きれいな さかなは いなかった。 にじのように、 さまざまな いろあいの、 あおと みどりと むらさきの うろこ。 その なかに きらきら かがやく ぎんの うろこ。
 ほかの さかなたちは めを みはった。 そして、かれを
にじうおと よんだ。
「おいでよ、 にじうお。 いっしょに あそぼう!」
 だが、 にじうおは ただ すいすい とおりすぎるだけ。
へんじも せず、 とくいに なって、 うろこを きらきらさせて。
ある ひ、 ちいさな あおい さかなが あとを
おって、 よびかけた。
 「にじうお、 まってよ! おねがいだから、 きみの
その きらきらうろこを 1まい おくれよ。
すごく すてきなんだもの。 それに、 きみには
そんなに たくさん あるんだもの。」
「ぼくの この とくべつな うろこを くれだって?
いったい だれさまの つもりなんだ?」
 にじうおは さけんだ。
「とっとと あっちへ いけ!」
 びっくりして、 あおい さかなは およぎさった。
どう して いいか わからず、 ともだち みんなに
その はなしを して まわった。 それからは、 だれひとり
にじうおに かかりあおうとは しなく なった。
にじうおが くると、 みんな そっぽを むく。
 めも くらむような きらきらうろこも、 だれにも ほめて
もらえなければ、 なんの やくに たつだろう?
にじうおは、 うみじゅうで いちばん さびしい ひとりぼっちの
さかなに なって しまった。
 ある ひ、 にじうおは なやみを ひとでに うちあけた。
「ぼくは こんなに きれいなのに、 どうして だれにも すきに
なって もらえないんだ?」
「そんな こと おれに わかるもんか。」と、 ひとでは いった。
「でも さんごしょうを こえて、 ふかい ほらあなへ いって
みな。 かしこい たこに あえるよ。
あの ばあさんなら、 きみを たすけて くれるかもな。」
 にじうおは ほらあなを みつけた。 なかは とても
くらく、 なにも みえなかった。 すると とつぜん、
ふたつの ぎらぎら ひかる めが にじうおを とらえ、
くらやみから たこが あらわれた。
「おまえを まって いたよ。」
 ひくい こえで たこは いった。
「なみが おまえの ことを はなして くれた。
こう するが いい。 きらきらうろこを 1まいずつ、
ほかの さかなに くれて やるのじゃ。 それで おまえは、
いちばん きれいな さかなでは なくなるが、
どう すれば しあわせに なれるかが わかるだろう。」
「でも……。」
 にじうおは いいかけた。 だが、 たこは とっくに
まっくろな すみの くもの なかに きえて いた。
 ぼくの うろこを くれて やる? この きらきらする
きれいな うろこを? とんでもない。 うろこが なくて、
どう やって しあわせに なれるって いうんだ?
 とつぜん、 だれかの ひれが にじうおに そっと さわった。
ちいさな あおい さかなが もどって きたのだ!
「にじうお、 たのむから おこらないでね。 ちっちゃな うろこ
1まいだけで いいんだ。」
 にじうおは ためらった。 ちいさな ちいさな きらきら
うろこを 1まいだけか。 かれは おもった。 まあ いいさ、
1まいだけなら、 おしくも ないだろう。
 にじうおは ちゅういぶかく、 いちばん ちいさな 
うろこを はがして、 ちいさな さかなに やった。
「ありがとう! ほんとに ありがとう!」
 ちいさな あおい さかなは ぷくぷく はしゃいで、
きらきらする うろこを じぶんの あおい うろこの
あいだに くっつけた。
 にじうおは、 ふしぎな きもちに おそわれた。
ながい あいだ、 にじうおは ちいさな あおい さかなが、
あたらしい うろこを きらきらさせて、 みずの なかを
いったり きたり するのを みつめた。
 ちいさな あおい さかな、 うろこを きらめかせて うみを
ひゅーんと すっとんで いったので、 にじうおは すぐに ほかの
さかなたちに とりかこまれて しまった。
 だれもが きらきらうろこを ほしがった。
 にじうおは、 つぎから つぎへの うろこを わけた。 そして
うろこを あげれば あげるほど、 うれしく なった。 まわりの
うみじゅうが きらきらして くると、 なんだか にじうおは、 ほかの
さかなと いっしょに いるのが、 すっかり たのしく なって きた。
 とうとう かがやく うろこは、 たった 1まいだけに
なった。 にじうおは いちばんの たからを みんなに あげて
しまった。 それなのに、 にじうおは とても しあわせ。
「おいでよ、にじうお。 いっしょに あそぼう!」
 みんなは よんだ。
「いま いくよ。」と、 にじうおは いって、 ぱしゃぱしゃと
しあわせそうに ともだちの ほうへ およいで いった。

子どもの心を育てる学びがいっぱい「にじいろの さかな」シリーズ(全9巻)はこちら!

『にじいろの さかな しましまを たすける!』作/マーカス・フィスター 訳/谷川俊太郎
いつもと違う新しいお友達のことを受け入れられる?

シリーズ2作目。キラキラのうろこを無事お友達にわけることができて、楽しく仲間に囲まれている主人公の「にじうお」。そこに、仲間に加わりたいと「しましま」がやってきた。でも、「しましま」はキラキラのうろこを持っていないので仲間に入れてもらえない。そこに突然サメがあらわれて……。「にじうお」たちは「自分たちと違っている」お友達をどうやって受け入れていくのでしょうか。
『にじいろの さかなと おおくじら』作/マーカス・フィスター 訳/谷川俊太郎
とげとげした言葉が相手を傷つけてしまうことがある

シリーズ3作目。主人公の「にじうお」とその仲間たちの近くに「おおくじら」がやってきた。「おおくじら」は体はおおきいけれど、「にじうお」たちを食べようとか、意地悪をしようといったことはまったく考えていなかった。ただ、「にじうお」たちのキラキラのうろこをうっとりと眺めているだけだった。ところが「にじうお」たちは誤解をしてしまい、「おおくじら」との関係はどんどん険悪に。どうする、「にじうお」!?
『こわくないよ にじいろの さかな』作/マーカス・フィスター 訳/谷川俊太郎
勇気を出してみたら、怖かったものがひとつ、乗り越えられるかもしれない

シリーズ4作目。「こぶうお」がひどい病気になってしまった。助けるのに必要なのはとある貴重な薬草。でもその薬草があるのは「悪魔の谷」と呼ばれて誰も近寄らないところ。怖い怪物がたくさんいるらしい。「にじうお」と「ちびあお」は怖かったけれど、「こぶうお」を助けたくて旅に出た。「悪魔の谷」で「にじうお」たちが見た、怪物たちの正体とは……!
『にじいろの さかな まいごに なる』
お友達に自分が欲しかったものをわけてあげられる?

シリーズ5作目。ある日「にじうお」はきれいな小石集めに夢中になるうちに、お友達の「しましま」からはぐれて嵐に巻き込まれてしまい、気づいたらまったく知らないところに来てしまった。そこで出会った「ほたてがい」に「しましま」のいるところに連れて行くと言われてついていったものの……。
『にじいろの さかな うみの そこの ぼうけん』作/マーカス・フィスター 訳/谷川俊太郎
じぶんらしさはじぶんだけのもの

シリーズ6作目。主人公「にじうお」のキラキラのうろこが海の底に落ちてしまった! 海の底の生き物たちと一緒に探してもなかなか見つからない。そんななか「おおくらげだこ」がたくさんのキラキラを吹いて「にじうお」をキラキラにしてくれた。でも「にじうお」は言う。「ぼくは ただ、じぶんの うろこを みつけたいだけなんだよ。」 にじいろシリーズでキラキラ率No.1! キラキラが好きなお子さんにもおすすめです。
『ゆっくり おやすみ にじいろの さかな』作/マーカス・フィスター 訳/谷川俊太郎
どんなときにも愛されていることが伝わる

シリーズ7作目。「にじうお」が小さかったころの、寝かしつけてくれるお母さんとの心温まるお話。もしじぶんにこんな大変なことが起こったらどうする? と問いかける「にじうお」に、どんなことがあっても、「にじうお」を守るよ、と愛情たっぷりに答えるお母さん。「にじいろの さかな」シリーズの中でも、低年齢から読み聞かせやすい一冊です。
『まけるのも だいじだよ にじいろの さかな』
お友達との遊びのなかで、時には譲ってあげることも大切。特に自分より小さな子たちにはね

シリーズ8作目。主人公の「にじうお」はお友達の魚たちとかくれんぼをしていた。でもどういうわけか、すぐに見つかってしまうし、じぶんが鬼になったときは見つけられない。そのことに腹を立てる「にじうお」。仲間の「あかひれ」に諭された「にじうお」は……。
『にじいろの さかなと おはなしさん』作/マーカス・フィスター 訳/谷川俊太郎
まわりを不安にさせるような嘘はついてはいけないよ

シリーズ9作目。新しく仲間になった「ウンベルト」。みんながびっくりして不安になるようなことをいろいろと言ってくるけれど、どうやら本当の話じゃないみたい。しかも本人は言ったそばから自分が言ったことを忘れているようだ。そのうち誰も「ウンベルト」のことを信じなくなって……。現実社会でも起こりうることを、子どもにも理解できる物語に。

マーカス・フィスター

Marcus Pfister
絵本作家

1960年、スイスのベルンに生まれる。高校卒業後、ベルンの美術工芸学校の基礎科に入学。その後、グラフィック・デザイナーとして、1981年から1983年までチューリッヒで働く。カナダ・アメリカ・メキシコを旅行ののち、帰国後はフリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍している。 おもな作品に「ペンギンピート」シリーズ、「うさぎのホッパー」シリーズ、「にじいろの さかな」シリーズなどがある。 1993年、ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞した『にじいろの さかな』をはじめとする「にじいろの さかな」シリーズは、世界で3000万人の読者に迎えられた大ベストセラーとなっている。 HP:http://www.marcuspfister.ch/

1960年、スイスのベルンに生まれる。高校卒業後、ベルンの美術工芸学校の基礎科に入学。その後、グラフィック・デザイナーとして、1981年から1983年までチューリッヒで働く。カナダ・アメリカ・メキシコを旅行ののち、帰国後はフリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍している。 おもな作品に「ペンギンピート」シリーズ、「うさぎのホッパー」シリーズ、「にじいろの さかな」シリーズなどがある。 1993年、ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞した『にじいろの さかな』をはじめとする「にじいろの さかな」シリーズは、世界で3000万人の読者に迎えられた大ベストセラーとなっている。 HP:http://www.marcuspfister.ch/

たにかわ しゅんたろう

谷川 俊太郎

Shuntaro Tanikawa
詩人

1931年、東京に生まれる。1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』(東京創元社)を刊行。以後、詩、絵本、翻訳、作詞など幅広く活躍。1962年には「月火水木金土日のうた」で第4回日本レコード大賞作詞賞を、また1975年には『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞を受賞している。1988年野間児童文芸賞、1993年萩原朔太郎賞を受賞ほか、受賞多数。 絵本作品に『ことばあそびうた』(福音館書店)、『マザー・グースのうた』(草思社)、『これは のみの ぴこ』(サンリード)、『もこ もこもこ』(文研出版)、『まり』(クレヨンハウス)、『わたし』(福音館書店)、「ことばとかずのえほん」シリーズ(くもん出版)他多数の作品がある。『スイミー─ちいさな かしこい さかなの はなし─』(作:レオ゠レオニ、好学社)や「にじいろのさかな」シリーズ(作・絵:マーカス・フィスター、講談社)など、翻訳作品も多数。 写真:所靖子(絵本ナビ)

1931年、東京に生まれる。1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』(東京創元社)を刊行。以後、詩、絵本、翻訳、作詞など幅広く活躍。1962年には「月火水木金土日のうた」で第4回日本レコード大賞作詞賞を、また1975年には『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞を受賞している。1988年野間児童文芸賞、1993年萩原朔太郎賞を受賞ほか、受賞多数。 絵本作品に『ことばあそびうた』(福音館書店)、『マザー・グースのうた』(草思社)、『これは のみの ぴこ』(サンリード)、『もこ もこもこ』(文研出版)、『まり』(クレヨンハウス)、『わたし』(福音館書店)、「ことばとかずのえほん」シリーズ(くもん出版)他多数の作品がある。『スイミー─ちいさな かしこい さかなの はなし─』(作:レオ゠レオニ、好学社)や「にじいろのさかな」シリーズ(作・絵:マーカス・フィスター、講談社)など、翻訳作品も多数。 写真:所靖子(絵本ナビ)