“日用品の買い出しはフェリーに乗って”が離島の日常

島にはスーパーやコンビニ、本屋など、一般的なお店はありません。買い出しは、石垣島までフェリーで渡ります。驚いたのは、「船積み」の仕組みと、物価の高さでした。

船積みとは、石垣島の大きなスーパーで買い物をして申し込むと、荷物の箱詰めと、竹富島行きのフェリーに乗せるまでをしてくれるサービス。追加料金もかかりません。船積みのおかげで、離島住民は石垣島でほぼ手ぶらでいくつかの店舗をハシゴして買い物ができます。

その代わり、島に戻ってフェリーから荷物を下ろし、自宅まで運ぶのは各自で。買い物量はいつもダンボール数箱に及ぶため、台車を使って車に運びます。子どもたちが一緒のときは、張り切って台車を押してくれ、フェリーに乗るために並んでいる観光客の方々からのほほえましい視線をいつも感じます。自宅へ戻ってから大量の荷物をまとめて片付けるのは、何度やってもなかなか大変です!

竹富港から見える海(左)。ここからフェリーに乗り、石垣島へ向かう。港で船積みの荷物を台車で運ぶ我が子(右)。一緒のときは張り切って台車を押してくれる。  写真提供:片岡由衣

竹富島の人が買い出しに行くのは週に1度か、もっと少ない人が多いようです。船積みは受け付けの時間が決まっているため、時間を逆算して、船に乗って買い出しへ向かうのです。子どもの学校に必要な文房具や洋服も、石垣島で購入するので、買い忘れのないよう気をつけます。急に「なわとび壊れた〜」と子どもに言われて、「今日買い出しに行ったのに! もう少し早く言って〜」なんてこともしょっちゅう。

石垣島の物価については離島ということで想定内だったものの、牛乳が250円、卵も200円以上します。全体的に都会の1.5倍ほどする価格にやはり驚きました。スーパーは、石垣島産の塩や砂糖、トロピカルジュースなどが並び、楽しい時間でもあります。

気軽に買い物に行けないことと、物価の高さから、自炊やお菓子作りの回数が増えました。料理はあまり得意ではないので、毎日ヒーヒー言いながらなんとか作っています。

近所の方からドラゴンフルーツをいただきました(左)。野菜やフルーツ、ときにはタコをいただいたことも。子どもたちとサーターアンダギーをたまに作ります(右)。竹富島の方言では「さたくんこ」と呼びます。  写真提供:片岡由衣

コロナ禍での島暮らし

2019年の秋、第3子の娘が、保育所に入りました。島には幼稚園がなく、保育所しかありません。私が「求職中」の立場で申請を出したところ、すんなりと入所が決まったのです。昼間一人の時間ができたのは、3人の子育てをしてきた約10年の間で初めてのこと。

「パートに出ようかな? 」「何か趣味を始めようか」「今後も転勤があるかもしれない。また社会とのつながりがほしいかも」など、私自身の働き方や生き方のことについて、少しずつ考えるようになりました。

家事の合間をぬって、ビーチで一人ボーッと海を眺めると悩んでいた気持ちがほぐれる。  写真提供:片岡由衣

2020年春、世の中は新型コロナウィルスによる閉そく感がただよってきました。多くの人が身動きできずもどかしそうにしているのを見て、「こういう閉そく感を、私は島に来てから少し感じてきたのかもしれないなあ」と、気づきました。島に来てからというもの、趣味や人と会う予定があまりなく、子どもたちと過ごす日々でした。のんびりはしていたけれど、昼間一人でいると頭の中でぐるぐる考え事ばかりをしていたように思います。

でも、そんな暮らしをしていたから、コロナで急に「外出禁止!」と言われても暮らしが大きく変わらなかったのかもしれません。1回目の緊急事態宣言(2020年5月)のとき、竹富島ではお店がほとんど休業。フェリーの数も減り、年間50万人も来ていた観光客がほぼいなくなりました。島には300人強の島民しかいません。そのため、子どもたちとサイクリングをしたり、誰もいないビーチで泳いだり走ったりしていました。

島に来てから、習い事やお出かけは減りました。しかし、子どもたちは、工作やお絵描き、積み木遊びなど、創作の時間が増えたように思います。私も自分や家族と向き合う時間が増え、周囲の楽しいところ、おもしろいところへ目を向けよう! と、もともと子どもとの日常を記録していたSNSにより力を入れました。

「竹富島で暮らしている人の発信は見かけないので珍しい」と興味を持ってもらえ、こうして書く仕事をするように。ピンチはチャンス! 大きな環境の変化に戸惑いがありましたが、そのおかげで今があるのかもしれません。ただ、子どもたちの祖父母や親せきとはコロナ禍になってから会えていません。早く、気兼ねなく会える日が来ることを願うばかりです。

庭でつんだハイビスカスなどを使って、娘とお友達がおままごとをしていました。私が家のことや仕事をしていても、子どもたちはそれぞれ好きなことをしています。  写真提供:片岡由衣

島暮らしから学んだこと

・人との何気ない雑談は心の栄養

・子どもたちは順応性が高い一方、大人は慣れるのに時間がかかる

・お菓子作りやお花でのおままごと 簡単に物が手に入らない環境で工夫する意欲が増した

・ピンチはチャンス。余白の多い暮らしだから得られるものがあった

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かたおか ゆい

片岡 由衣

かたおかゆい ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を...