本の1%が印象に残れば大成功 「悪口ゲーム」で子どもの読書コンプレックスをなくす

作家・書評家 印南敦史さん「読書ゲームメソッド」#2 ~読書の悪口ゲーム~

作家・書評家:印南 敦史

「本よ! お前が嫌いだ!」など、本への不満を言い合う読書の悪口ゲームとは?  写真:アフロ
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「子どもが本を読もうとしない」「本を勧めても興味を示さない」「どうしたらもっと本を読んでくれるのだろう」

子どもと読書の問題で、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

「子どもが本を読まないからといって、《子どもは本が苦手》と決めつけるのは早いですよ」と、作家の印南敦史(いんなみ・あつし)さんは語ります。

子どもの読書状況を否定的にとらえることなく、親子で楽しく本が読める家族になる「読書ゲームメソッド」を提案する、印南さん。

その第1ステップはなんと、《読書の悪口ゲーム》だと言います。本を好きになってほしいのに、悪口を言うってどういうこと? 一体どのようなゲームなのか、詳しくお話をうかがいました。

※全4回の2回目(#1を読む)

本を読めない自分を家族で認め合おう

「大人も子どももみんな、読めなかったり、読むのが遅かったり、記憶できなかったりする、《読書に対するコンプレックス》を抱えていると思います」(印南敦史さん)

このコンプレックスが、読書という行為をハードルが高く、難しいものにしている一因です。

「読書ができない自分=劣っていると考えがちなのですが、そんなことはありませんよ。大人も子どもも『読めない自分』を認め合えば、気持ちがラクになって読書のハードルはグッと下がるものです」(印南さん)

読書の悪口ゲームのやり方は簡単。家族でテーブルを囲み、じゃんけんで順番を決めたら、ひとりずつ読書の悪口を言っていくというもの。

「書記を決めて、記録をとっておいてください。録音でもいいですよ。最終的には一番ひどい悪口が言えた人が勝ちです!」(印南さん)

<読書の悪口ゲーム>
1・家族でテーブルを囲み、じゃんけんで順番を決める

2・ひとりずつ、「読書の悪口」を吐き出していく

3・書記を決めて記録をとる

4・最終的には、一番ひどい悪口を言えた人が勝ち!

この読書の悪口ゲームの目的は、「読書は高尚なものである」というようなお堅いイメージや、自分の内部に沈殿している「本はこう読まなくてはいけない」という固定観念をぶち壊すことにあると、印南さん。

「そのために本を擬人化し、悪者に仕立てあげるのです。『読む気があるのに、めんどくさいんだよ』とか、『おまえ、えらそうにしてるけど、ただの本じゃん!』とか、『難しいことばっかり書いてあってつらいんだよ……』などなど、本に対して存分に文句を言います」(印南さん)

読めるようになるにはどうするのか

一見バカバカしいと思うかもしれませんが、このゲームにはあなどることのできない効果があります。

「まずは家族で、読めない気持ちを共有する。本を読めないことに劣等感を感じる必要はないんです。そして最後に『これからどうするべきか』を家族で話し合ってみましょう」(印南さん)

家族で悪口を言って盛り上がって終わりではなく、そこから発展させるのが重要なポイントです。

「例えば、『読む気はあるのに読めない』のなら、『本が読みたくなる環境づくり』について話し合ったり、『難しくって読みたくない』のなら『読みやすそうな本を探してみよう』だったりと、家族でいろいろなアイデアを出し合います。

本は有意義なものであるという大前提を失わないまま、読書について『もっとカジュアルに、気楽に考えよう』という気持ちを共有することができるわけです」(印南さん)

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