2021.01.27

えがしらみちこ 「はじめました えほんやさん」第5回

著者:えがしら みちこ

※この記事は、講談社絵本通信(2018年12月)掲載の企画を再構成したものです。
 

こんにちは。絵本作家のえがしらみちこです。
前回は「えほんやさん」をつくるにあたって、本の仕入れや什器について書きました。
今回は、もうちょっと突っ込んだ内容を書きたいなと思っています。

本の選び方

「えほんやさん」で取り扱っている絵本は、すべて私が目を通して、「素敵だな」「好きだな」と思った絵本を置いています。
それらは、絵本作家として、お母さんとしての目線で読み、より多くの人に触れてほしいと思った絵本たちです。

心配だった点は、私のひとりよがりになってないか?傾向が偏ってしまうのではないか?ということでした。
なので、絵本に関してはそれほどマニアックでない妹や夫と相談しながらバランスを見て選書しています。
子どもが女の子なので、無意識に女の子寄りな絵本を選びがちでしたが、妹の子どもが男の子なので、くるまや電車などの乗り物系絵本についてアドバイスをもらえたりして助かっています。


絵本の並べ方は、作家別、出版社別には並べていません。
大テーマ、小テーマと2つテーマを決めて、それに沿った絵本を並べ、目立たせたいものや原画展をしている作家さんの絵本を、お店にはいってすぐ目にはいる場所に配置しています。

テーマについては、季節感を重視して決めています。

絵本をつくるとき、どういうイメージの本にするか、どういうタイミングで読んで欲しいかなど、季節に合わせて内容を考えることが多いです。
例えば、夏の暑い時に温泉の絵本を読むより、冬の寒い時期に読んでほかほかな気分になってほしいなど、絵本を作るときそうするように、生活に密着した絵本を紹介したいなと思うのです。


絵本たちは、並べ方によって見え方が変わってくるので、たびたび棚を触ってレイアウトを変えています。
いつも同じ絵本が同じ場所にずっとたたずんでいるのを見つけると、悲しくなることってありませんか?
お店に遊びに行くたびに表情が変わって見えるよう、テーマによって入れ替えたり工夫をしていきたいなと思っています。

いま、「えほんやさん」の目立つ場所には、『からすのぱんやさん』があって、新刊の『みずとはなんじゃ?』(絵を担当された鈴木まもるさんは同じ静岡県内の伊東におすまいなのです!)
やグッズも一緒に並べ、ちょっとしたかこさとしさんコーナーが出来ていますよ^^

お店の内装について

手前に絵本コーナー、奥にカフェというのは最初からイメージにありました。
お店の外からのぞいた時に、本がずらっと並んでいる様子が見えるのが好きだからです。

本屋さんとカフェは別空間にしたいと考えていました。カフェと本屋が一緒になった混ぜ混ぜスタイルは、できた当初は新しいと感じたけれど絵本は大事に扱うというケジメをつけたかったのです。
「えほんやさん」で扱っている本は、返本ができないので飲食で汚れてしまうのは困る、ということもありましたが、返本OKだから汚してもいい環境をつくるというのは少し違和感がありました。

最初にデザイナーさんに渡したイメージ図

絵本コーナーとカフェスペースが決まって、おはなし会や街の情報が入手できる情報スペースの場所を決めたら、おのずとレジの場所も決まりました。
お客さんの出入りは把握しつつ、適度な距離感で絵本を楽しんでもらえる感じになったのではないかなと思っています。

レジの内側の様子。思っていた以上に必要なものが多くて、引き出しがいくつあっても足りません。

POPについて

「えほんやさん」は規模が小さく、絵本の種類も150〜200点くらいなので、当初は全部の絵本におすすめポイントを書いたPOPをつけようかと考えていました。
でも、立っている人が気軽に読めるくらいの文字数でキャッチーな言葉を全部の本につけることも難しいし、かと言って、数冊だけを選んでPOPをつけるのも違うなぁ(どの絵本も全部好き)と思って、なかなかPOP制作に踏み込めずにいます。

絵本の並びもころころ変えるので、POPをどこにつけようか…と悩んでいるというのもあります。
いまのところ「絵本の表紙には力があるので、それに引き寄せられて手にとる出会いを大切にしてほしいな」という結論に至って います。

でも、好きな絵本について語りたい!という気持ちもあるので私の個人インスタグラムやフェイスブック、ブログで「#えがしらみちこのおすすめ絵本」と称してゆっくり投稿しています。

いつか、10年後くらいとかに「えほんやさん」で取り扱っているぜーんぶの絵本を紹介しきれたら面白いな…と企んでいるところです。

グッズやZINEについて

今はインターネットなどで欲しいと思ったものをダイレクトに買うことができる時代です。(しかも手元に届く期間も早い!)

ネットにはなくて「えほんやさん」でしか買えないものって何かなぁと考え、まずはオリジナルグッズを作りました。
これまで個展やイベントなどで販売していたポストカードや一筆箋に加え、マスキングテープやミニカード、トートバックもつくりました。

私の絵のグッズしかないのも嫌だなぁと思って、知り合いのイラストレーターさんたちがポストカードやZINE(小規模な刊行物)を作っていることを知っていたので、声をかけて、販売させてもらうことにしました。
どの方の絵も、私が個人的に大好きで、お店に置けたらいいなあと思っていたので、みなさんに快諾してもらえてほんとうに幸せです。

こうして、好きな作家さんのポストカードやZINEが買われたりすると、「わ!うれしい!」「そうそう、この作家さんいいですよね」と心の中でつぶやいたりして
心を込めて商品を取り扱って販売するっていいなとしみじみ感じている今日この頃です。

えがしらみちこの絵本

お気に入りのワンピースきて、あたらしいおくつをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。 春のそよ風がふくいちにちに、おさんぽで出会ったのは? たんぽぽ、ちょうちょう、やさしい風……季節感がみずみずしいタッチで描き出されます。春のおさんぽに出かけたくなる絵本。

『はるかぜさんぽ』
作:江頭路子 講談社

お気に入りのかさもって、ながぐつはいて、カッパ着て、じゅんびできたよ、いってきまーす。かえるやあじさい、おたまじゃくしと女の子のかわいらしい出会いが、楽しげな雨音とともに繰り広げられます。 ちいさな女の子の雨の日を追いかけた、ちょっぴりファンタジックなお話。雨音の楽しさや、雨に濡れた景色の美しさが、透明感あふれる水彩画で表現されています。

『あめふりさんぽ』
作:江頭路子 講談社

おひさまがさんさんと照る、夏のいちにち。あーちゃんがおさんぽで出会ったのは? おひさまさんさん降りそそぐ中、どんなおさんぽになるのでしょう。 リズム感あふれるお話に、まばゆいほど夏の季節感いっぱいの絵。夏が待ち遠しくなる絵本です。

『さんさんさんぽ』
作:江頭路子 講談社

秋のつめたい風のなか、おさんぽで出会ったのは、どんぐり、みのむし、まっかなおちば……。季節感がみずみずしいタッチで描き出されます。秋のおさんぽに出かけたくなる絵本。『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』につづく、人気シリーズ。


『あきぞらさんぽ』作:江頭路子 講談社

お気に入りのマフラー巻いて、帽子にてぶくろ、ブーツをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。 雪がいちめんに降ったある日、おさんぽで出会ったのは、どんな音? 冬のつめたい空気や透明感がみずみずしいタッチで描き出されます。雪の日が待ち遠しくなる絵本。


『ゆきみちさんぽ』作:江頭路子 講談社

「ねえママ、おばけの音が、きこえるの」夜、こうちゃんは、おばけがこわくてねむれません。チクタク、チクタクの音は、なんのおばけ? カタカタ、カタカタの音は、なんのおばけ? ヒューヒュー、ザワザワの音は、なんのおばけ? するとママが、おばけたちのことを教えてくれます。おばけたちと仲良くなって、ぐっすり眠りにつくまでのお話。


『ねんねのうた』作:江頭路子 講談社

著者紹介

えがしら みちこ えがしら みちこ

1978年、福岡県生まれ。熊本大学教育学部卒業。水彩を使用した透明感のある画風が特徴。絵本に『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』『ねんねのうた』『いちねんせいの1年間 わたし、もうすぐ2ねんせい!』(文・くすのきしげのり)『せんそうしない』(文・谷川俊太郎)『はこちゃん』(文・かんのゆうこ 以上すべて講談社)、『おたんじょうケーキをつくりましょ』(教育画劇)、『なきごえバス』(白泉社)、『いろいろおてがみ』(小学館)、『しいちゃんおひめさまになる』(アリス館)、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことが だいすき』(原案・西原理恵子 KADOKAWA)など、装画と挿絵に『あかりさん、どこへ行くの?』(フレーベル館)、『さくら 原発被災地にのこされた犬たち』(金の星社)などがある。雑誌や教科書などの挿絵も多く手がけている。静岡県三島市在住。