2021.07.30

子どもに一生ものの「考える力」を! 教育研究者の「子育てヒント」

まんが こども六法 開廷! こども裁判「親権」「少年法」

2020年児童書部門ベストセラー1位(日販・トーハン調べ)、累計売上69万部の『こども六法』(弘文堂)。異例の大ヒットとなり、コミカライズ版も刊行されました。『こども六法』著者で漫画版『まんが こども六法 開廷! こども裁判』(講談社)原案の山崎聡一郎さんに、家庭でできる法教育や子育てのヒントについて聞きました。

『こども六法』著者で漫画版『まんが こども六法 開廷! こども裁判』(講談社)原案の山崎聡一郎さん

山崎聡一郎
教育研究者・俳優・写真家。慶應義塾大学SFC研究所所員。
慶應義塾大学総合政策学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。修士(社会学)。
研究テーマは「法教育を通じたいじめ問題解決」。著書に「こども六法」(弘文堂)がある。
法と教育学会正会員、日本学生法教育連合会正会員。

――『こども六法』がこれだけヒットしたことについて、どのように思いましたか?
 「法律のことを知りたい」と思っていた人がこれだけいたことに驚きましたね。僕は法律を小さいうちから必ずしも知っておくべきだとは思っていません。でもそういった知識が人生に思わぬ形で役立つこともある。
人生を生き抜くための「選択肢」は多ければ多い方がいい。だから法律の知識が、その一つになってくれるといいなと思っています。

――今回の漫画版を出したのはどういった思いだったのでしょうか。
『こども六法』はわかりやすく書かれてはいますが、条文が書かれた「辞書」のようなもの。
法律の解説は極力避けていたので、漫画版でその限界を超えたかった。ただ、単に「法律で禁止されているからNGです」と伝えるだけにはしたくない。法律が何を守ろうとしているのか、その先まで感じてほしいと思って作りました。

『まんが こども六法 開廷! こども裁判』

――大人の方からも反響はありますか?
連載中に「子どもと一緒に読んでいます、勉強になります」といった声もたくさん頂きました。本にするにあたって解説やコラムも足しているので、更に法律を深く知れる内容になっていると思います。
実際、学校で習う法律は最低限なので、大人が法律を知らなくても当然ですよね。この機会にお子さんと一緒に読んでもらえると嬉しいです。

――特におすすめの回はどれでしょうか。
民法の「親権」をテーマにした回でしょうか。「親権」は親が子に教育やしつけをする「権利」であると同時に、子どもを愛情深く育てる「義務」でもあります。
この回は仕事で忙しい母親と寂しい気持ちを隠している子どものお話です。こういったことは、もちろんどの家庭でも起こると思うし仕方ない面もある。でも、もう一度法律的な観点から親子の関係を見直すきっかけになるといいと思って作った回でした。

『まんが こども六法 開廷! こども裁判』

――何気ない子どものイタズラが犯罪になるかもしれない、というテーマを扱った回も印象的でした。

『まんが こども六法 開廷! こども裁判』

少年法をテーマにした回ですね。「20歳未満の子どもは罪を犯しても許される」というのは大きな誤解です。これは大人でも誤解されている方がいらっしゃいます。
14歳未満が犯罪にあたる行為をしても刑罰は与えられないのは刑法で決まっていますが、深刻な事件で14歳以上であれば大人と同じ対処もあり得るし、14歳未満であっても少年審判(大人でいう裁判)にかけられて、教育や指導のために少年院に入る可能性もある。
軽はずみにした行動がどんな結果を生むか、親としては子どもにできる限り想像力を持たせたいですよね。

『まんが こども六法 開廷! こども裁判』

――意外と普段の生活にも、法律が関わっていると感じました。
民法は人々の生活に密着しているので、特に身近に感じられる法律だと思います。単行本化にあたり追加した「物の貸し借り」のお話はぜひ読んで頂きたいですね。
契約は契約書を交わさないと成立しないと思っている方は多いですが、実は片方が「こういう契約をしたい」を持ちかけて相手が了承すれば、口頭だけでも「契約」になります。
だから「買います」「売ります」と合意するだけで成り立つ普段の「買い物」も契約の一つだし、「物の貸し借り」や「プレゼント」も契約の一つなんですよね。だから1週間後までに返すと約束して借りた漫画を返さないと、それは契約を破ったことになります。

『まんが こども六法 開廷! こども裁判』

――山崎さんは「こども六法スクール」の運営もされていますよね。どういったことをされているのでしょうか。
法律の基本的な考え方のレクチャーや、実際にどう使うのかのワークショップ、コミュニケーション力を鍛えたりメディアリテラシーを学んだりする授業をしています。
これらは全て子どもたちに「考える力」を身に付けてほしいというところから始まっています。継続して自分の頭で考える経験をさせる場所を作りたかった。情報を集める、整理する、考える、発信する、その繰り返しこそが訓練になります。

――家庭でもできる法教育はありますでしょうか。
例えば法律に関わるニュースについて、親子で一緒に調べて話して考える、ということでもいいと思います。
これを継続すれば「考える力」がつくと思います。自分の人生を自分の責任で考え、決められる大人に育つよう手助けする、それが子育ての一番の目標だと僕は思っています。

まんが こども六法 開廷! こども裁判

まんが こども六法 開廷! こども裁判

原案・山崎聡一郎
まんが・伊藤みんご
監修代表・飯田亮真
講談社
価格:1320円(税込)
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