2021.11.06

「子どもとゲーム」守れるルール作りとは?ゲーマー児童精神科医に親子取材

関正樹先生にインタビュー”ゲームと子どものホントの関係”#2

小中学生の子育ての悩みトップは勉強や受験。勉強とゲームを関連づけたくなるのは、悩みの大きさと比例しているのかも?
写真:アフロ

なぜ、親はゲームをしている姿を見て冷静でいられないのか

保護者はなぜ、ゲームや動画に没頭している我が子の姿が、「それしかしていない」ように見えてしまうのでしょうか。

そして、いてもたってもいられず、ついつい頭ごなしに「やめなさい」と口を出してしまうのでしょうか。結果、親も子もイライラして、家庭内の雰囲気が悪くなる負のスパイラルへ……。

たしかに、生活に影響が出るほどゲームを手放せない状態は、「ゲーム障害」(*1)という病気である可能性もあります。「子どもとゲーム」の関係を考えるとき、不安をあおる情報はたくさんあっても、印象が良くなる情報は現状ではほとんど見当たりません。

「子どもがゲーム障害だったら」という想像は、子どもの人生が終わるのではないかという絶望的な不安を呼び起こすので、口にするのも恐ろしい災厄のように感じられてしまいます。

かといって、「ゲームも動画も一切禁止」とすることもためらわれます。今の保護者の子ども時代には必須アイテムではなかったゲームも動画も、今の子どもたちには大切なコミュニケーション手段だったり、自分を表現する手段だったりするのは、親の目から見てもある程度理解できる現実ではないでしょうか。

やはり、3人の息子たちがゲームと動画にどっぷりの母ライターが、NHK Eテレの『ウワサの保護者会』にも出演した児童精神科医の関正樹先生に、親子で話を聞きました。

*1ゲーム障害……2019年、WHO(世界保健機関)は、ゲーム障害を「ICD‐11」という国際疾病分類に正式に認定した。ざっくり言えば、生活上の利益や日常的な活動よりもゲームを優先して、学業や仕事、健康にマイナスの影響が出ていてもやめない、エスカレートする状態が12ヵ月以上続くというのが基準。

「約束」の前に「関係性」はつくれていますか?

前回、親がゲームを知ることで、ゲームにハマる子どもたちによりよいアプローチができる可能性があると関先生は教えてくれました。

今回は、より具体的な親の意識改革の方法へと話は進んでいきます。ゲーム&YouTube大好きな小6息子と母ライターによる親子インタビューは続きます。

関先生のトークは、親の不安を丁寧にほぐすように穏やか。

――子どもの遊びの中でも、ゲームが関係してくると、親が冷静でいられなくなる部分はあるかもしれません。関先生がおっしゃるとおり、そもそも親がゲームについて理解していないから、「ゲーム」と聞くといっしょくたに抵抗感を覚えてしまうのかもしれません。
ゲームとの関わり方について、親が子どもにしてしまいがちなNG項目はありますか?


 はい、3つのNG項目があります。

ひとつ、「ゲームと成績(勉強)を結びつけて話す」

ふたつ、「ゲーム機やコントローラーを隠す」

みっつ、「ゲームについての約束を親主体で決める」

この3つです。

ゲームやネット利用などの時間と成績に関する調査はいくつかあります。

最近だと、オーストラリアの子どもたちを対象に、ゲームやネットが学業成績に与える影響を調べた論文が2020年に公開されています。

また、ニュースにもなったのでご存じの方も多いかと思いますが、香川県ではネットやゲームの利用時間を規制する条例(*2)ができましたよね。これは平成30年度の「香川県学習状況調査」が根拠とされ、その中ではスマホの利用時間と学習成績について報告されています。

誰にとっても、1日は24時間しかありませんから、ゲームやネットをする時間が長くなれば、それに比べて学習時間が少なくなり、したがって成績が下がる……これは当たり前と言えば当たり前の話なのかもしれません。

*2香川県の条例……「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」のこと。2020年1月に香川県議会の議長が議員提案として提出、3月18日に可決・成立、4月1日に施行。ゲーム依存症対策に特化し、ネットやゲームの利用時間を規制する日本初の条例。

ただし、いずれの調査も、ゲームやネットの利用が原因となって学習成績が下がったということを検討する内容ではありません。また、まったくゲームをしない子どもより、平日に1時間以内ゲームをする子どものほうが進学率が高い傾向がある、といった調査結果もあります。

むしろ、成績が上下することは、それぞれの子どもの自己管理能力と関係しているのかもしれません。

――ゲームやネットが直接的な原因となって成績を下げている……とまでは、現状では言えないということですね。

 そもそも、「ゲームをすること」と「勉強を好むこと」は、本来、まったく別の事柄ですから、結びつけて話すこと自体、いいことがないと思います。

保護者としては、「ゲームと成績」を、つい結びつけたくなるところですが、「ゲームすると成績が下がる!」という言って、その子が勉強するようになるかというと、むしろ親さんの期待とは反対に勉強が嫌いになるだけですよね。

そして何より、そうしたコミュニケーションをすることで親子関係にいい影響が出るはずもありません。

ゲーム機やコントローラーを隠すのもそうです。大好きなものを取り上げられることで信頼関係が壊れてしまいますし、子どもは隠れてやるようになりますから、かえって子どもの様子が把握できなくなりかねません。

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