子どものゲーム障害は大丈夫か?ゲーマー児童精神科医に親子で取材

関正樹先生にインタビュー”ゲームと子どものホントの関係”#1

くりもと きょうこ

子どもたちをとりこにするゲームや動画。
写真:アフロ
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ゲームにハマる息子を持つ私が、関先生に話を聞きに行くまで

脳に悪い、目に悪い、依存症になる、犯罪に巻き込まれる……と、大人の不安をあおる話に事欠かない「子どもとゲームの関係」。

2019年にはWHO(世界保健機関)が「ゲーム障害」(*1)を「ICD‐11」という国際疾病分類に正式認定したことで、「子どもにゲームをやらせていいのか」という親の不安はますます高まっています。

かく言う筆者も3人の息子の母。息子たちはご多分に漏れず、ゲームやYouTubeにどっぷりです。「まったく使わせないのは無理だけど、どうすれば正解?」と悩んでいた時に出会ったのが、1本の講演会動画でした。

「子どもたちはネットやゲームの世界で何をしているんだろう」というタイトルは、まさに私が求めていたもの。

アシンメトリーな髪形がよく似合っている、穏やかな語り口のその人こそが、児童精神科医の関正樹先生でした。『スーパーマリオブラザーズ』(昭和に出た初期のヤツです)ワールド1の2面で挫折した私には、目からウロコの内容だったのです。

自らもゲーマーで、Eテレ『ウワサの保護者会』のゲーム特集にも出演した関先生に、ぜひ直接お話を伺いたいと、インタビューを敢行。小6長男も「取材に参加したい」ということで、母ライターと息子の親子取材となりました。

*1ゲーム障害……2019年、WHO(世界保健機関)は、ゲーム障害を「ICD‐11」という国際疾病分類に正式に認定した。ざっくり言えば、生活上の利益や日常的な活動よりもゲームを優先して、学業や仕事、健康にマイナスの影響が出ていてもやめない、エスカレートする状態が12ヵ月以上続くというのが基準。

親が抱えてしまう不安の根っこはどこに?

関正樹先生は自室からオンラインでインタビューに答えてくれた。

関先生へのインタビューは時節柄、オンラインで行いました。 

――子どもとゲームの関係を不安視する悩みは、先生の診察室でも聞かれますか?

 2020年はコロナ禍により、全国の学校で一斉休校になりましたよね。当時、私の患者さんである子どもたちの親さんから、ゲームやネット、生活リズムに関する相談は大きく増えました。親さんの不安は非常に大きかったです。

小学校高学年のお子さんをお持ちの、ある親さんは、

「気がつけばいつもYouTubeやゲームばかり……時間はどれくらいが適切でしょうか?」
「思うように勉強をさせられないことで、自分も不安になってしまう」

といった不安を、診察室で話してくれました。

また、ある中学生の親さんは、「子どもとケンカばかりしてます」という相談を寄せられていました。

お子さんが朝起きられなくなってしまって、「23時にはゲームをやめて寝なさい」と注意したそうなのですが、「学校がないんだからいいじゃん。友だちもやっているのに、なんで?」と、逆にお子さんが怒るんだそうです。このような一斉休校中の悩みを話してくれました。

学校という大きなタイムスケジュールがなくなり、親子がずっと一緒にいることで、子どもさんは生活リズムが乱れ、親と離れて自分のペースで遊ぶことができなくなりました。

その一方、親は親で、普段だったら気にしないでいられることが気になり、ささいなことでたびたびケンカになっている様子です。

とくにお子さんの遊ぶ姿が目につくようになった結果、ゲームやYouTubeをやりすぎているのではないか? という不安が大きくなっていったのでしょう。

――そうした親御さんたちは、どのようにその不安を乗り越えていかれたんでしょうか?

 別の中学生の親さんのケースですが、私が、「子どもさんがゲームをしている姿を見て、何かいいところ、いい面はありますか?」と尋ねたんですね。

そうしたら、「あんまり学校のことは話さないから心配していたんですが、友だちとゲームのボイスチャットで楽しそうに雑談している様子から、けっこう好かれていて、頼りにされていることが分かって、よかったなって思いました」と、話してくれました。

こんなふうに、「ゲームにもいいところがあるんだ」と、折り合いをつけて乗り越えていかれている様子も、親さんから実際に聞いています。

――そもそも親がゲームに関心がない、ゲームを知らないことが親子の間ですれ違う大きな原因なのでしょうか。

 「親はゲームを知らない」と言うと語弊があるかもしれませんね。お子さんがゲームやYouTubeが好きなのはご存知ですよね? 

でも、どういうゲームが好きなのか、そのゲームにはどういった特徴があるのか、お子さんが好きなユーチューバーさんはどんな人で、どんな動画をアップしているのか……。そういうことをあまり知らないというのが、表現として正確なところではないでしょうか。

なぜそうなるかというと、大人が忙しくしている時間に子どもがゲームをしていることが多いからです。大人と子どもがそれぞれ独立した時間の中でゲームやネットに触れているので、親さんからしてみたら、ゲームを知ろうとしても限界があると言ったほうがいいかもしれませんね。

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