2021.02.23

人気料理研究家・植松良枝が「初めての子育て」でわかった「食育」 未来編 

料理研究家・植松良枝さんインタビュー 第3回

寄稿家:植松良枝

人気料理研究家・植松良枝さん。ご自宅でお料理教室も開催中(オンラインレッスンのときもあり)
撮影 葛西亜理沙

本当に美味しい日本の食を知ってもらいたい

食育に関して、どんなことを発信していきたいとお考えですか?

「今の子どもたちが本当に美味しいお出汁の味を知っていないと、さらに次の世代へ伝えることが難しくなります。実際、味噌汁がわからない子どももいるとも聞きました。また1人暮らしの大学生の常備調味料からお酢が消えたそうです。お酢は日本の伝統調味料なのに、と歯がゆい気持ちになります。逆にお味噌汁は完全食になると見直されていて、この流れが一過性のものにならないよう、願うばかりです。

今は新しい食材がたくさん流行っていますが、なかには日本人の体質に合わないものもあります。それらをきちんと理解し、日本の味をつなげていきたいと思っています。日本人である根っこの部分となる体質はそう簡単に変わるものでもないですから。

ただ一方で、昔よりも今の方が、実は食に対する意識は高まっているのではないかと感じることも。例えば意識的に家庭菜園で野菜を作ったり、無農薬野菜にこだわる方も多いですよね。飲食店でも今は”〇〇さんの有機野菜です”と、きちんと作り手の顔が見えるお店も多く見かけるようになりました。逆に私が子どもの頃はジャンクフードがブームで、食に対する意識が今より薄かったですね」

意識の高い人と意識していない人との差が極端ですよね。ひと昔に比べて、得られる情報や選択肢が広がったからでしょうか。

「そうですね、食に対する意識の差が大きいのかなと思います。今はネットで何でも買えるようになったし、世界中の料理の情報や食材が簡単に手に入りますから。だからこそ、日本の食について知り、語れるようにならないと、国際化しても食のアイデンティティが失われてしまう。『あなたの国では何を食べているの?』と聞かれたときに答えられるように」

植松さんご自宅のお庭。この小さなテーブルでよくプチピクニックも。環境を変えて食事をするのも食育のひとつです。
撮影 葛西亜理沙

火を知らない子どもたち? キャンプなどで食に触れる体験を

子どもたちが食文化に触れるワークショップなどを開催されてはどうでしょうか?

「やりたいですね。食材の知識や食文化について、子どもに伝えたいというお母さんからの声もよく聞きます。農業体験のワークショップや、自治体でやっている家庭菜園も人気ですし、お子さんと一緒に作って味わいたい親御さんが多いんでしょうね」

ちなみに、植松さんが開催しているお料理教室の内容は、どのようなものですか?

「和食だけではなく、多国籍の料理で四季の暦ごはんを提案します。例えば土用って夏以外にも年に4回あるんですよ。その4回に合わせた献立を組んだりしています。また今後は親子向けの料理教室もやりたいと思っています。というのも、今は高層マンションだとIHのところが多くて、普段は火を見たことがないという子がいるそうです」

“子どもに火を見せる”というのは、意識しないと気が付かないことですね。

「だから、私は子どもにできるだけ火に関わらせたいと思っていて、家ではロウソクの火もつけさせます。キャンプもいいですよね。我が家は料理が上手な男性のご家族とのキャンプにご一緒させてもらっています」

息子さんがまだ幼いときのキャンプ風景。
写真提供 植松良枝

自然のなかで味わうのも食育のひとつ。
写真提供 植松良枝

植松さんお気に入りのお手軽フード

最後に、最近の食に関するトレンドについて教えていただけますか?

「注目しているのは『ミツカン』のZENB。オリーブオイルと野菜だけのペーストなのですが、ずっしり濃厚で、薄めると野菜の味がしっかりするソースになります。牛乳や豆乳でのばせばポタージュになるし、クッキーに練り込んでもいいですよ。枝豆とビーツ、トウモロコシ、カボチャ、パプリカがあって、どれも皮やさわまで入っています。離乳食にもいいのではないでしょうか。同じシリーズで、黄えんどう豆の麺などもあります。

【野菜をぎゅっと濃厚ペーストにした『ミツカン』ZENB】
皮や芯、種など普段食べられていないけれど栄養が詰まった部分をすべてペーストにしたZENB PASTE。同じ『ZENB』シリーズの黄えんどう100%で作られた麺と合わせれば、たんぱく質&食物繊維もたっぷりのひと皿に。
撮影 葛西亜理沙

『やまにく』のパリパリ焙煎いりこもお気に入りですね。わたや頭を取ってあるのでこのまま食べるのはもちろん、炊き込みご飯にも使えます。同じく『やまくに』の黒いにぼしふりかけや煮干しふりかけは子どもも好きでよく食べています。

【『やまくに』のふりやけや焙煎いりこ】
香川県にて明治20年創業の『やまくに』。いりこの選別から解体まですべて手作業で行っている。
撮影 葛西亜理沙

あとは『川口納豆』のフリーズドライにした乾燥納豆も大好き。もともと離乳食から幼児食への移行のときに試しに買ってみたものだったのですが、お味噌汁やキムチスープなどにささっと適量入れられる使い勝手のよさといったら! 今や手放せません。納豆をちょっとだけ食べたい時やこのまま入れて納豆チャーハンにも。私もおやつにパクパク食べています」

【『川口納豆』のフリーズドライタイプの納豆】
『川口納豆』乾燥納豆は、「なくなると困る!」というほど植松さんのお気に入り。
撮影 葛西亜理沙

素材の味そのままのペーストやおやつを通して、子どもたちには本当の美味しさを知ってもらいたいですね。植松さん、ありがとうございました。

取材・文 山田祥子

寄稿家紹介

植松良枝 うえまつよしえ

料理研究家。四季に寄り添った、季節感あふれる食と暮らしの提案をしている。野菜づくりを長年ライフワークとし、旬の野菜をたっぷりと使った料理や、これまでに旅をしてきた世界各国のエッセンスを取り入れた料理に定評がある。旬の食材を使った料理教室の主宰のほか、雑誌、テレビなどでレシピや暮らしの提案も。その他2017年に代々木のベトナム料理店「ヨヨナム」のメニューをプロデュース。2021年3月に野菜料理の本を出版予定。  
【主な著書】
「育てて楽しいはじめてのハーブ」「ルクルーゼでおいしいムダなしレシピ」家の光協会/「おもてなしと持ちよりレシピ」主婦の友社/「ホットサラダ」文化出版局/「バスクバルレシピブック」誠文堂新光社/「とれたて野菜レシピ」NHK出版/「温かい野菜料理」オレンジページ/「らくうま 鍋レシピ」エイ出版社/「春夏秋冬土用で暮らす」主婦と生活社「デリおかずの人気レシピ」成美堂出版 /「春夏秋冬ふだんのもてなし」KADOKAWA
instagram @uematsuyoshie
YouTube 料理研究家 植松良枝