2021.02.10

人気料理研究家・植松良枝が「初めての子育て」でわかった「食育」 離乳食編

料理研究家・植松良枝さんインタビュー 第1回

寄稿家:植松良枝

気が進まない離乳食は米粉との出会いで一変

料理研究家・植松良枝さん。料理専門誌やテレビなどで活躍中。
撮影 葛西亜理沙

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植松さんはもうすぐ3歳になる男の子のママ。さぞや、お子さんの離乳食もこだわって作られたのでは? 

「料理研究家という職業の割に、そこまで離乳食に希望を持てなかったんですよ。面倒くさいな、と思ってしまって(笑)。美味しい食感のものをわざわざドロドロにしてあげる、という作業も気が進みませんでした。離乳食をできるだけ遅らせたいな、って思っていたんです」

あら、意外ですね。実際に離乳食を始めたのはいつ頃からですか?

「生後7〜8ヵ月でしょうか。その頃、私より先に出産した親戚がいて、彼女の子育てがとてもストイックで。1歳8ヵ月でまだご飯と塩とミルクくらいしかあげてなかったんです。面倒くさいからじゃなくて、ちゃんと理由があると話していて。それを聞いたら『引き伸ばしてもいいんだな』って思いました。どうせこの後、長い人生でいくらでも食べるようになるんだし(笑)。そうやって伸ばしに伸ばして7~8ヵ月になり、やっと始めた感じです。

その頃​家に遊びに来てくださったスタイリストさんに『離乳食楽しいよ~。なんでも美味しそうに食べてくれてかわいいよ』と言われて。この言葉でようやく火が付きました。“離乳食って面白いんだ”って。今思えば、このころは好き嫌いがほとんどなく何でも食べてくれましたね」

最初は何からあげました? やっぱりおかゆ?

「友人から『おかゆじゃなくて米粉がいいよ』って聞いて、“お米農家やまざき”さんの米粉を取り寄せました。原料は国産米。その米粉を少量の水で練って火にかけ、さらに何度か水を加えながら好みの濃度にのばしていくだけです。その方法なら自在に濃度を変えられるし、少し多めに作って冷蔵庫に保存して食べきれちゃう。なので、おかゆの冷凍保存はしなかったです。

ただ、冷凍の野菜ピューレを使ったり、外出の際は割りきって市販品に頼ることもありましたよ。そこまですごくこだわっていたわけではありませんでしたが、この米粉との出会いは大きかったですね。SNSにアップすると『私もそうすればよかった』ってよく言われました」

【タイ製の石鉢・クロック】
米粉にもお世話になりましたが、このタイの石鉢・クロックにも助けられました。蒸し鶏や茹で野菜など、なんでも来いの破壊力。サイズ感も離乳食作りにピッタリでした。ちなみに離乳食用に購入したわけではなく、産前から愛用していているチェンマイ旅行の戦利品。スパイスやナッツ、にんにくなどを一撃でつぶせてタレまで作れる優秀な台所道具です。
写真提供 植松良枝​

お出汁できちんと美味しさを伝える

米粉とか冷凍野菜とか、植松さんも便利なものを利用されていたと聞くと、ちょっと安心します(笑)。ここだけはこだわった、という点はどんなところですか?

「お出汁だけはちゃんと取りました。お出汁は元から冷凍ストックをしていたので、自分たちの分プラス、味を少し薄くしたものを作って。離乳食だからといって味をつけないのではなく、美味しさとしての塩分は少量だけ入れました。米粉を練ったものの上に、お出汁を張ると二層になってキレイなんですよ。スプーンでブレンドしながらあげていましたね」

【煮干し昆布出汁】
出汁は味覚の基本なのでできるだけ本物をと意識していました。こんなふうに小瓶に子どもの分だけ煮干しと昆布の水出汁をとることもありました。一晩冷蔵庫に置けば、翌日極上の煮干し昆布出汁として使えます。
写真提供 植松良枝​

【自分で作っていたカボチャの冷凍ストック】
すでにペースト状になって冷凍されている市販のかぼちゃのペーストを使っていましたが、自分で作ってみたりもしていました。
写真提供 植松良枝

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【かぼちゃのピュレ ほうれん草のポタージュ】
こちらはある日の離乳食。マッシュしたかぼちゃのペーストに冷凍ほうれん草をベースに出汁と混ぜたほうれん草のポタージュを合わせたもの。せっかくなら離乳食も楽しんで作りたかったので、見た目もフレンチレストランのような<米粉のピュレやポタージュ(またはスープ)とペースト(ピュレ)の組み合わせ>が気に入り、離乳食はほぼこのスタイルでした。
写真提供 植松良枝​

徐々に食べられるようになればOK! のんびり進めるのが成功の秘訣

離乳食中は初めて食べる食材に慎重になりますね……。ほかに苦労したことはありますか?

「あまりないんですよ。青菜をよく食べてくれたので安心しちゃって。人参も食べてくれたし、あとは徐々に食べられるようになればいいかな、と思っていました。ピーマンとかは嫌がりますけど、『それはそうだよね、私もそうだったもん』と思いながら(笑)。あれもこれも絶対に食べさせなきゃ、っていうのはなくて、のんびりやったのが良かったのかもしれないですね。むしろ自我が出てくる2歳を過ぎてから好き嫌いが激しくなりました」

料理家さんらしいこだわりと、便利なアイテムを活用するワザで、離乳食を順調に進めた植松さん。もうすぐ3歳になる息子さんの現在の食事について、2歳児編でお聞きします。

取材・文 山田祥子

寄稿家紹介

植松良枝 うえまつよしえ

料理研究家。四季に寄り添った、季節感あふれる食と暮らしの提案をしている。野菜づくりを長年ライフワークとし、旬の野菜をたっぷりと使った料理や、これまでに旅をしてきた世界各国のエッセンスを取り入れた料理に定評がある。旬の食材を使った料理教室の主宰のほか、雑誌、テレビなどでレシピや暮らしの提案も。その他2017年に代々木のベトナム料理店「ヨヨナム」のメニューをプロデュース。2021年3月に野菜料理の本を出版予定。  
【主な著書】
「育てて楽しいはじめてのハーブ」「ルクルーゼでおいしいムダなしレシピ」家の光協会/「おもてなしと持ちよりレシピ」主婦の友社/「ホットサラダ」文化出版局/「バスクバルレシピブック」誠文堂新光社/「とれたて野菜レシピ」NHK出版/「温かい野菜料理」オレンジページ/「らくうま 鍋レシピ」エイ出版社/「春夏秋冬土用で暮らす」主婦と生活社「デリおかずの人気レシピ」成美堂出版 /「春夏秋冬ふだんのもてなし」KADOKAWA
instagram @uematsuyoshie
YouTube 料理研究家 植松良枝