2021.05.04

失敗しない保活のコツ! 園選びの優先項目作りは必須

株式会社リクルート・保活総研 酒田絵美さんインタビュー 第2回 保育園はどう選ぶ?

2016年頃から内閣府が行う企業主導型保育事業などをはじめとした、国や各自治体の施策によって、東京23区などの都市部では減少しつつある待機児童数。​一方で、都市部の周辺地域では待機児童数が増加しているなど、いまだに「保活」の現状は厳しそうです。保育施設にもいくつかの分類があり、園によって特徴もさまざま。今回も、多くのワーキングファザー&マザーが働く『株式会社リクルート』で、保活相談窓口『保活のミカタ』を立ち上げ、「保育園に入れない!」という声に耳を傾けてきた酒田絵美さんに、保育園を選ぶ際のポイントについて解説してもらいました。

ポイントは「子どもを安心して預けられること」

ーー各園によって特色もさまざまですね。選ぶときのポイントは何かありますでしょうか?

酒田「一番のポイントは子どもを安心して預けられるかどうかです。安心の中には、教育方針や先生たちの対応、保育園の環境も含まれます。私は子どもが3人いて、現在中学生の長女は私の転勤などもあり、私立の認可保育園、幼稚園、公立の認可保育園と3つの園に通いました。

一番長く通ったのは公立の認可保育園。あくまで私見になりますが、公立の認可保育園は先生が公務員なので、3~5年と長く担任として子どもの成長を見ていただける安心感があります。その一方、細かなルールも多いので準備などは必要でしたね。シーツは手縫いのものに自分の子どものマークを刺繍しなくてはいけませんでしたし、時間外保育も枠が限られているので、急にお願いすることもできませんでした。ただ、施設は広く、園庭もあるので、環境的には満足でした。
下の2人のときには長女のときの経験もあったので、いくつかの園を見学に行きました。今は社会福祉法人が運営をしている私立の認可保育園に通っています。そして、実は現在4人目の子どもがお腹の中にいて、私も2022年度入園の保活現役世代です!」

――それはおめでとうございます! 本当にリアルな情報を知っていらっしゃるということですね。そんな酒田さんが上のお子さんたちの保育園を決めた「決め手」はどんなことだったのですか?

酒田「今、下の子2人が通園している園は、保育経験の長い先生と若い先生のバランスがすごくいいんです。先生たちに余裕があり、0歳児クラスのケアがとても手厚いのもよかったですね。また3~5歳クラスは異年齢保育をしているところも気に入っています。保育園を大きなおうちのように感じて育ってほしいという保育方針を知り、保育環境を実際に見てから選びました。

ちなみに真ん中の子は待機児童期間が長く、1年ほど私立の認可外保育園に通っていたことがあったのですが、その認可外保育園も温かくてとても良い雰囲気でした。
例えばハロウィンのときは、周辺のお店などにあらかじめお菓子を渡しておいてくれて、子どもたちがお散歩で行くとそのお菓子がもらえるようなイベントを開催してくれるなど、よい経験をさせてもらいました。
保育園の見学の際には、園行事なども聞いておくといいかもしれませんね。新設される園については見学できないので、私立園の場合は、同じ運営主体がやっている別の園に見学に行くのもいいと思いますよ」

写真:アフロ

保育園の見学は5月〜6月ごろがおススメ

ーー新設園だと慣れていない先生も多く、トラブルにあったケースもたまにあると聞くので、運営している他の保育園がある場合は見学しておくと安心ですね。

酒田「経験豊富な園長先生が新設園を任されると、早くから保育が軌道にのることが多いです。さらに、運営主体に余裕があれば、園長先生が頼れる保育士を連れていくこともあると思うので、新設園でも安定した運営が可能になるのかもしれません。余裕がないところだと、新規雇用の先生にお願いする形になるので、1年目は落ち着かないところもあるようです。

現在は保育園見学ができない場合もあるとは思いますが、もし見学に行けるのであれば、行くタイミングは5、6月がおススメです。保育園に通う子どもたちは、ゴールデンウィーク明けから6月くらいには新しい環境に慣れて落ち着きはじめるんです。この時点で落ち着いている園は、おそらく子供たちが安心してすごせているのかなと思いますね。

チェックするポイントとしては、新しい学年になった子どもたちも、新しく入園してきた子どもたちも落ち着いて先生の話を聞けているかどうか。子どもに対する先生たちの試行錯誤の結果が見られるのはその時期だと思います。ただし、その年度からスタートした新設園などは5、6月で落ち着くのは難しいので、見学は秋頃をおすすめしています」 

ーー環境やカリキュラムはもちろんですが、自宅からの距離も保育園を選ぶ際には大切ですか?

酒田「もちろん距離も重要です。“保育園をどうやって選んだらいいの”と相談されたときには、入園、復職の時期と立地。家からの近さや保育料、設備環境と保育内容、先生の雰囲気に利用日など……、総合的に判断するようアドバイスしています。

ご家庭によって、保育園に求める条件はさまざまですよね。残業が多い方なら延長保育が何時までなのか、土曜保育があるかなども重要なポイント。”マスト”な条件と”あれば嬉しい”という条件を整理してリスト化して、1人では決めずにパートナーや家族、同居されている方はおじいちゃん、おばあちゃんなど、一緒に子育てをしてくれる人と相談して候補を選ぶと納得のいく保育園選びができると思います」

家庭の優先順位の設定項目例

話し合う際のポイント
①何をおいても最優先の項目は何か?
②6~7年間通うことを想定しているか?(転園、転居、保育料、お迎え)
③子どもを安心して預けられる場所か?

――夫や祖父母など、育児を共にする人と話し合うことは大事ですよね。共働きだと送り迎えをするのはお母さんだけではないですから。

酒田「客観的に比較して、それぞれの園のメリット、デメリットを出していくと総合的な判断ができると思います。通わせたい園の条件を考えた上で、最終的に見学したほうが良いかなと思いますね。特に初めてのお子さんだと“こんな子に育ってほしい”という気持ちが強くなり、教育面を重視したくなるかもしれませんが、保育園ですべて叶えられるものではありません。保育園は私たちの日々の生活や、仕事と育児の両立を支えてくれる場所なので、0歳児からの約6年間通うからこそ家族と一緒に考えてほしいと思います」

第3回では、”保活”の肝とも言われる情報収集の方法など、具体的な進め方について教えてもらいます。

保活総研
「ライフステージが変化しても、希望通りの働き方ができる」という未来のアタリマエに向かって、保育園入園に関するこれからを企業横断で考えていく場。企業の人事担当者に向けた「従業員の保活支援」ノウハウや保育園入園に関する最新情報の共有などさまざまな取り組みを行っている。

取材・文 石本真樹

さかた えみ

酒田 絵美

株式会社リクルート 横断人事統括室・人事統括室・ダイバーシティ推進部在籍。
従業員向け保活支援『保活のミカタ』起案者 。3児...