ヨモギに潜む虫の生態とは?アリを操るアブラムシの驚きの共生関係

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】昆虫研究家・伊藤弥寿彦先生が見つけた生きもののふしぎ (2/2) 1ページ目に戻る

昆虫研究家:伊藤 弥寿彦

トビイロケアリ

このアブラムシの群れの中にアリがいました。「トビイロケアリ」のようです。
甘露をもらうトビイロケアリ①
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このアリはアブラムシを獲物として襲うのではありません。触角でアブラムシの体をチョンチョンと触ります。するとアブラムシのお尻から珠のような水滴が出て来て、アリはそれをコクコクと飲み始めたのでした。
甘露をもらうトビイロケアリ②
この液体は「甘露」とよばれ、草の汁を吸ったアブラムシのオシッコのようなものなのですが、糖分が含まれていて甘いらしいのです(甘露はあまりに小さくて私は舐めて味見できませんでした)。アリはこのご馳走をもらう代わりにナナホシテントウなどのアブラムシの天敵が来たら追い払ってあげる、つまり持ちつ持たれつの間柄にあるのですね。
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アブラムシが出す「甘露」の秘密とは?

この「共生関係」のことは、以前から知られていましたが、最近になって驚くべき研究発表がありました。アブラムシの出す甘露には、甘い糖の他に「ドーパミン」という化学物質が含まれていて、これを飲んだアリは興奮し、天敵をより攻撃しやすくなる、というのです。なんとアブラムシはアリの行動をコントロールしていたのでした。

身近な足元でも注意して観察すると、奥深い、いろいろな世界が広がっています。
写真提供/伊藤弥寿彦
この記事は2024年6月に執筆したものです。

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伊藤 弥寿彦
いとう やすひこ

伊藤 弥寿彦

Ito Yasuhiko
自然番組ディレクター・昆虫研究家

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクター・昆虫研究家として世界中をめぐる。NHK「生きもの地球紀行」「ダーウィンが来た!」シリーズのほか、NHKスペシャル「明治神宮 不思議の森」「南極大紀行」MOVE「昆虫 新訂版」など作品多数。初代総理大臣・伊藤博文は曽祖父。

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクター・昆虫研究家として世界中をめぐる。NHK「生きもの地球紀行」「ダーウィンが来た!」シリーズのほか、NHKスペシャル「明治神宮 不思議の森」「南極大紀行」MOVE「昆虫 新訂版」など作品多数。初代総理大臣・伊藤博文は曽祖父。