プリンターで骨がつくれる!?

人体には200個以上の骨があり、それによって私たちは体をささえたり、内臓を守ったり、運動したりしています。
しかし、生まれつき一部の骨がうしなわれていたり、病気や怪我によって骨の形がかわったりして、生活するのに困難がともなう場合があります。そのような場合、これまでは自分の足や腰から、骨を切り出して、形を整え、移植する、という方法がとられてきました。自分の骨なので、ぴったりとくっつきますが、骨を切り出すことが体の負担になったり、必要な大きさの骨を確保できないなどの問題点がありました。
自分の骨ではなく、人工的につくられた骨を移植する、という方法もありますが、体が人工骨を受けつけず、ぴったりとくっつかなかったり、炎症などをおこしてしまうことがありました。

このような問題点がほとんどない、新しい方法があります。それは「3Dプリンター」で骨をつくることです。

プリンターとは、印刷をする機械のことです。学校や家庭にあるプリンターは、紙に、文字や絵を印刷します。一方、3D(3次元)プリンターは、立体的なものをつくりだすことができる機械です。設計図さえあれば、どのような形のものでも、内部が複雑な構造をしていても、細かく正確につくりだすことができるのです。

この3Dプリンターを使えば、骨の材料である「リン酸カルシウム」をもとにして、一人一人の患者にあった、大きさ・形の骨を自由自在につくることができます。こうしてつくられた骨は、人体の骨にぴったりとくっつき、また人体がもともともっている骨をつくる力によって、いずれは自分の骨におきかわります。
これまで、日本国内では、3Dプリンターでつくられた骨の安全性などをたしかめる試験がおこなわれてきました。そして、平成26年(2014年)4月には、人体で使っても安全であると正式に認められました。今後は、日本をはじめ世界中で実際に治療に使われるようになる見こみです。
このような技術の進歩によって、これまで骨に問題をかかえていた人たちが、自由に歩いたり、食べたり、運動したりできるようになるとしたら、とても画期的なことですね。

■関連:「人体のふしぎ」20-23ページ