大迫力! 世界初公開の「チベットケサイ」に注目! 伝説の化石ハンターを体感できる『化石ハンター展』に潜入!

ワニ・恐竜が大好きな大阪在住のMOVEラボ研究員・助手のはるきがレポート

チベットケサイ 全身骨格復元標本 国立科学博物館蔵

世界初公開となる大型の哺乳類「チベットケサイ」の全身骨格復元標本や、生体復元モデルを展示!

伝説の化石ハンターであるロイ・チャップマン・アンドリュースと、彼が率いた「中央アジア探検隊」の軌跡をたどる特別展「化石ハンター展 〜ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣〜」が、2023年は大阪南港ATCギャラリーにて9月24日まで開催中。

2022年に国立科学博物館(東京・上野)で開催された同展がいよいよ大阪にやってきた、ということで、大阪在住のMOVEラボ研究員・はるきが、待ちに待った大阪会場の様子をレポートします。

ワニの研究を自身でも行う、MOVEラボ・助手のはるきがレポート!

MOVEラボ研究員・助手のはるき(中2)
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メンバーは現在24名! 中学生以上は「助手」として活動しているよ!
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驚きと発見がいっぱいの『化石ハンター展』(大阪)は9/24まで!

大阪の南港にあるATCギャラリーで開催されている、特別展『化石ハンター展』に行ってきました。世界初公開チベットケサイの全身骨格の復元があるとポスターやチラシで見ていたので楽しみにしていました。

伝説のロイ・チャップマン・アンドリュースさんの中央アジア探検隊100周年記念の特別展だそうです。アンドリュースさんの名前は図鑑や恐竜の本によく出てきているので、知っていました。

映画『インディ・ジョーンズ』のモデルにもなったと言われる人物で、アンドリュースさんにちなんだ名前の生物がたくさんあります。本展では、ゴビ砂漠で恐竜の化石を発掘するに至るまでの歴史について詳しく展示されていました。展示が多かったので、僕が気になったものを少しご紹介します。

バクトロサウルス ・ジョンソニ

ハドロサウルスの仲間で、口先の幅が狭く、丸いのは原始的な特徴です。
子どもから大人まで、6体分の骨が発見されたそうです。ハドロサウルスのなかまは種類が多く、さまざまなエリアで繁栄していたので、見分けることがとても大変です。バクトロサウルスには原始的な特徴があり、とても大事な化石であることがわかりました。
バクトロサウルス ・ジョンソニの全身骨格標本と。

プシッタコサウルス・モンゴリエンシス

モンゴルのオシー盆地でほぼ完璧な状態で発見されました。
最初は角竜とは考えられておらず、小型で二足歩行の鳥脚類の仲間と考えられていましたが、後々にプシッタコサウルスの上顎の先端に、角竜類の特徴である吻骨が発見され角竜類となりました。
ミイラ状の化石。
上写真の化石は中国で発見され、ミイラ状になった化石です。プシッタコサウルスもまた、ほぼ完璧な状態で見つかったとのことなので、恐竜について研究するためのとても大事な化石であることがわかりました。顔が大きくてとても可愛らしかったです。

ネメグトマイア・バルスボルディ

頭骨は穴だらけ!
ネメグトマイアは、小林快次先生のお話の中でもよく聞く、ゴビ砂漠での調査の最終日に発見したという恐竜です。

オビラプトルのなかまで、ほぼ完全な頭骨と下顎、首から胴への背骨や骨盤などが発見されました。トサカが発達していて、前縁が垂直になっていることや、前上顎骨が上から見ると隠れることなどで新種とされたそうです。
頭骨がすごい穴だらけで、この化石を初めて見たときはかなり驚きました。さぞかし頭が軽かったのだろうと思いました。軽量化されているから、走るのも速かったのでしょうか……?

ピナコサウルス

世界で初めて発見された喉の化石。
ピナコサウルスは、世界で初めて「喉頭骨」という喉の化石が頭骨の中に残されていたのが発見されました。その喉の研究により、鳥類のような声を発していたかもしれない、恐竜の声がわかるかもしれないと、つい最近ニュースにもなっていました。

アジアで最初に見つかった鎧竜で、子どもの化石が集団で発見されているため、群れで生活していたと考えられています。
3Dプリンターで作られた喉頭骨化石
展示には喉の研究で使われた化石を3Dプリンターで作ったものがありました。これは化石の形がとてもわかりやすく、細部まで鮮明に作られているのでよく見ることができて勉強になりました!

プラティベロドン・グレンジャーイ

長い下顎が特徴的なプラティベロドンの化石。
哺乳類の展示の中に、とんでもなく変わった、ものすごく気になる形の骨がありました。

その一つ目はプラティベロドンです。約1300万年ほど前のモンゴルに生きていた生きものです。とても長い下顎の先は四角くスコップのような形の前歯があって、最初に見たときはびっくりしました。上顎の形と牙と比べて、一体どうやってこの下顎がセットになっているのか、よく考えても想像ができません。

復元画を見たら、下顎でショベルカーのように下顎を使って食べ物をすくえそうでした。川や湖などの水辺で水草などの植物をすくい取って食べていたと考えられているようです。

しかし、僕はいまだにシャベルのように使っていたことが信じきれないです。なぜならこんな大きな下顎が顔についていたら動きづらくて不便でしかないと思ってしまうからです。きっとプラティベロドンはモンゴルで、植物などを食べるために進化したような下顎を器用に使いながら頑張って生きていたんじゃないかなと思いました。

エンボロテリウム・アンドリューシ

エンボロテリウムの化石。大きなツノがすごい!
僕が気になった化石の二つ目は、エンボロテリウムです。

明らかに、ものすごく目立つ骨が目の前についています。この目立つものは鼻骨で、大きく平たいツノです。ブロントテリウムの仲間は北アメリカでしか発見されていませんでしたが、アンドリュースさんたちがこのエンボロテリウムをモンゴルで発見したそうです。

エンボロテリウムは現在2種類発見されていて、それぞれアンドリュースさんやグレンジャー博士の名前をとって、エンボロテリウム・アンドリューシ、エンボロテリウム・グレンジャーイと名づけられています。アンドリュースさんたちがモンゴルでエンボロテリウムを見つけたことによって、エンボロテリウムの新しい生態がわかったので、これはとても大きな発見だったのだと思いました。

アンドリューサルクス・モンゴリエンシス

アンドリューサルクスの下顎の化石。
僕が気になった3つ目の化石はアンドリューサルクスです。

もうここまでくると、アンドリュースさんの名前だらけです。アンドリューサルクスはよく聞きますが、実はまだ、この頭骨1つしか発見されていないそうです。鋭い歯や下顎を閉じる筋肉がつくところが発達しているため、陸上に住む哺乳類で最大の肉食獣とされています。

近くで見るとかなり大きかったです。大昔にこんなに大きな哺乳類が生活していたということは、大型の生物が生きやすい環境だったからと予想できます。

いつかゴビ砂漠からこの下顎が発見され、もっといろんなことが判明して、どんな生きものだったか詳しく研究されてほしいです。

チベットケサイの全身復元標本

チベットケサイ 全身骨格復元標本 国立科学博物館蔵
展示の最後には、この『化石ハンター展』のメインでもあるチベットケサイの全身骨格復元標本と、生体復元がありました。

特に、生きている様子を再現した映像にチベットケサイの子どもが出てきて、とてもかわいかったです。親のケサイが子どもを助けているところを見ていると、子どもを守りながら集団で行動をしていた様子が想像できます。映像もとても勉強になりました。

チベットケサイの全身骨格を復元するのはとても大変だったそうです。木村由莉先生の本や、『化石ハンター展』の図録にどうやって復元していったかが載っていて、この目の前にある標本ができ上がるまでにはたくさんの人の苦労や努力があって、今回の特別展があるのだと感じました。
チベットケサイ 生体復元モデル 国立科学博物館蔵

古代の哺乳類について学べる『化石ハンター展』

僕は恐竜が好きで、いろんな恐竜のことをあちこちで学んできましたが、古代の哺乳類については恐竜ほど知ってることが少なく、この『化石ハンター展』で古代の哺乳類について学ぶ機会ができたのでとても楽しかったです。目の前で伝説の化石ハンターや、今現在化石を発掘して研究している人たちの様子も知ることができて刺激的でした。

チベットケサイの復元等に携わっておられた木村由莉先生にもぜひお会いして、いろいろなお話を伺ってみたいです。今回を機にこれからは恐竜だけでなく、さまざまな古代の生物についても学んでいこうと思います。

参考/化石ハンター展図録
取材・文・写真提供(一部のぞく)/横井はるき

9月24日(日)までの期間、来場者全員に「たこるくん×化石ハンター展」特別ステッカープレゼント企画も実施中!

ロイ・チャップマン・アンドリュースの中央アジア探検 100 周年記念
特別展「化石ハンター展~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」


【会期】2023年7月15日(土)~9月24日(日)※会期中無休
【会場】大阪南港ATCギャラリー
https://kaseki.exhn.jp/