大迫力! 世界初公開の「チベットケサイ」に注目! 伝説の化石ハンターを体感できる『化石ハンター展』に潜入!
ワニ・恐竜が大好きな大阪在住のMOVEラボ研究員・助手のはるきがレポート
2023.09.13
世界初公開となる大型の哺乳類「チベットケサイ」の全身骨格復元標本や、生体復元モデルを展示!
2022年に国立科学博物館(東京・上野)で開催された同展がいよいよ大阪にやってきた、ということで、大阪在住のMOVEラボ研究員・はるきが、待ちに待った大阪会場の様子をレポートします。
目次
ワニの研究を自身でも行う、MOVEラボ・助手のはるきがレポート!
〈MOVEラボ研究員とは?〉
MOVEラボ研究員は、厳正な選考によって選ばれた、生きものや自然科学に興味のあるMOVE読者の代表です。研究員は、MOVEラボの活動に参加し、フィールドや博物館、動物園などをリアルに楽しみます。また、ラボの研究員は、自分たちの研究レポートをMOVEラボのサイト上で発表します。
メンバーは現在24名! 中学生以上は「助手」として活動しているよ!
https://lab.zukan-move.kodansha.co.jp/
驚きと発見がいっぱいの『化石ハンター展』(大阪)は9/24まで!
伝説のロイ・チャップマン・アンドリュースさんの中央アジア探検隊100周年記念の特別展だそうです。アンドリュースさんの名前は図鑑や恐竜の本によく出てきているので、知っていました。
映画『インディ・ジョーンズ』のモデルにもなったと言われる人物で、アンドリュースさんにちなんだ名前の生物がたくさんあります。本展では、ゴビ砂漠で恐竜の化石を発掘するに至るまでの歴史について詳しく展示されていました。展示が多かったので、僕が気になったものを少しご紹介します。
バクトロサウルス ・ジョンソニ
プシッタコサウルス・モンゴリエンシス
ネメグトマイア・バルスボルディ
オビラプトルのなかまで、ほぼ完全な頭骨と下顎、首から胴への背骨や骨盤などが発見されました。トサカが発達していて、前縁が垂直になっていることや、前上顎骨が上から見ると隠れることなどで新種とされたそうです。
頭骨がすごい穴だらけで、この化石を初めて見たときはかなり驚きました。さぞかし頭が軽かったのだろうと思いました。軽量化されているから、走るのも速かったのでしょうか……?
ピナコサウルス
アジアで最初に見つかった鎧竜で、子どもの化石が集団で発見されているため、群れで生活していたと考えられています。
プラティベロドン・グレンジャーイ
その一つ目はプラティベロドンです。約1300万年ほど前のモンゴルに生きていた生きものです。とても長い下顎の先は四角くスコップのような形の前歯があって、最初に見たときはびっくりしました。上顎の形と牙と比べて、一体どうやってこの下顎がセットになっているのか、よく考えても想像ができません。
復元画を見たら、下顎でショベルカーのように下顎を使って食べ物をすくえそうでした。川や湖などの水辺で水草などの植物をすくい取って食べていたと考えられているようです。
しかし、僕はいまだにシャベルのように使っていたことが信じきれないです。なぜならこんな大きな下顎が顔についていたら動きづらくて不便でしかないと思ってしまうからです。きっとプラティベロドンはモンゴルで、植物などを食べるために進化したような下顎を器用に使いながら頑張って生きていたんじゃないかなと思いました。
エンボロテリウム・アンドリューシ
明らかに、ものすごく目立つ骨が目の前についています。この目立つものは鼻骨で、大きく平たいツノです。ブロントテリウムの仲間は北アメリカでしか発見されていませんでしたが、アンドリュースさんたちがこのエンボロテリウムをモンゴルで発見したそうです。
エンボロテリウムは現在2種類発見されていて、それぞれアンドリュースさんやグレンジャー博士の名前をとって、エンボロテリウム・アンドリューシ、エンボロテリウム・グレンジャーイと名づけられています。アンドリュースさんたちがモンゴルでエンボロテリウムを見つけたことによって、エンボロテリウムの新しい生態がわかったので、これはとても大きな発見だったのだと思いました。
アンドリューサルクス・モンゴリエンシス
もうここまでくると、アンドリュースさんの名前だらけです。アンドリューサルクスはよく聞きますが、実はまだ、この頭骨1つしか発見されていないそうです。鋭い歯や下顎を閉じる筋肉がつくところが発達しているため、陸上に住む哺乳類で最大の肉食獣とされています。
近くで見るとかなり大きかったです。大昔にこんなに大きな哺乳類が生活していたということは、大型の生物が生きやすい環境だったからと予想できます。
いつかゴビ砂漠からこの下顎が発見され、もっといろんなことが判明して、どんな生きものだったか詳しく研究されてほしいです。
チベットケサイの全身復元標本
特に、生きている様子を再現した映像にチベットケサイの子どもが出てきて、とてもかわいかったです。親のケサイが子どもを助けているところを見ていると、子どもを守りながら集団で行動をしていた様子が想像できます。映像もとても勉強になりました。
チベットケサイの全身骨格を復元するのはとても大変だったそうです。木村由莉先生の本や、『化石ハンター展』の図録にどうやって復元していったかが載っていて、この目の前にある標本ができ上がるまでにはたくさんの人の苦労や努力があって、今回の特別展があるのだと感じました。
古代の哺乳類について学べる『化石ハンター展』
チベットケサイの復元等に携わっておられた木村由莉先生にもぜひお会いして、いろいろなお話を伺ってみたいです。今回を機にこれからは恐竜だけでなく、さまざまな古代の生物についても学んでいこうと思います。
参考/化石ハンター展図録
取材・文・写真提供(一部のぞく)/横井はるき
9月24日(日)までの期間、来場者全員に「たこるくん×化石ハンター展」特別ステッカープレゼント企画も実施中!
ロイ・チャップマン・アンドリュースの中央アジア探検 100 周年記念
特別展「化石ハンター展~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」
【会期】2023年7月15日(土)~9月24日(日)※会期中無休
【会場】大阪南港ATCギャラリー
https://kaseki.exhn.jp/