擬態の名人ナナフシはどこにいる? 不思議だらけの昆虫 ナナフシの七不思議とは?

【ちょっとマニアな季節の生きもの】昆虫研究家・伊藤弥寿彦先生が見つけた生きもののふしぎ

昆虫研究家:伊藤 弥寿彦

あれ? ナナフシはどこにいる?

どこかにナナフシがいるよ!
体の色や形をまわりの環境に溶け込ませて天敵の目から逃れる昆虫はたくさんいますね。
コノハチョウ、キノハダガ、尺取り虫(クワエダシャクの幼虫など)、キリギリスの仲間などなど……みなさんは、どんな昆虫を思い浮かべますか?

数あるカムフラージュ名人の中でも有名なのはナナフシ(ナナフシモドキ)でしょう。

2021年の6月15日、埼玉県小川町のウメ畑でモモチョッキリという虫を探していたら、見事に枝に化けたナナフシがいました。今までたくさんナナフシを見つけてきましたが、その中でもトップ3に入る雲隠れぶりで思わず写真を撮りました。

さて、どこにいるかわかりますか?

正解は……?

正解はここ! 見つかるかな?
これは難しいね!

ところで、ナナフシってどんな生きもの?

「ナナフシの七不思議」を紹介します。
 
1)ナナフシモドキとナナフシって同じなの?」
図鑑によってはナナフシモドキと表記されていますが、実はナナフシとナナフシモドキは同じ種類です。なんでモドキなの? 私も子供のころから疑問に思っていました。どうやら、そもそもナナフシ(七節)というのは、「たくさん節がある枝」という意味で、木の枝そのものを表す言葉だったようです。そうすると木の枝のようで木の枝でない=モドキ、ということらしい。

ややこしいので、わたしはナナフシという名前が良いと思います(笑)。

2)メスだけで増える
普段見つかるナナフシの99%以上はメスです。メスはオスと交尾しなくても卵を産んで、ちゃんと幼虫がふ化します。こういう昆虫は他にもいろいろなグループで見られますが、不思議ですよね。

3)それなのにナナフシにはオスがいる
これまた不思議です。ナナフシのオスは、これまで日本で10数匹しか見つかっていません。メスよりも触角が長く、小型で細い体です。見つけたら大発見なので探してみてください。

4)卵も植物そっくり
ナナフシがいたら飼ってみてください。サクラやエノキ、バラなど、いろいろな葉を食べますから与えてみてください。産卵するかも知れません。卵は地面にポトリと落としますから、糞と間違いそうです。拡大してよく見ると植物の種そっくりです。

5)幼虫は脚がちぎれても再生する
卵からかえった幼虫は5〜6回脱皮をして成虫になりますが、幼虫の時は脚がちぎれても脱皮ごとに再生してしまいます。おそるべきナナフシ。ただ成虫はもう脱皮しないので、成虫の脚は再生できません。

6)緑色と茶色とナナフシ
ナナフシには、緑色と茶色のナナフシがいるのも不思議ですね。どのような要因で色が変わるのでしょうか? 是非誰か解明してください。

7)外国にはど派手なナナフシがいる
外国には、真っ赤や真っ青の派手な色をしたナナフシがいます。枝や葉っぱにまぎれ込むための姿と色をしているはずなのに、なぜ目立つ色に進化したのか?不思議です。

ナナフシの仲間は日本に18種類。どんなものがいるのか調べてみると良いでしょう。
ラオスの森で見つけた巨大ナナフシ

写真提供/伊藤弥寿彦

いとう やすひこ

伊藤 弥寿彦

Ito Yasuhiko
自然番組ディレクター・昆虫研究家

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクタ...