【古生物学者調査記】アンモナイト化石を見つけるコツは?イギリスの化石産地を巡る旅

【古生物学者・相場大佑先生が見つけた古生物のふしぎ】イギリス編① (2/3) 1ページ目に戻る

古生物学者:相場 大佑

お目当ての化石を探すコツ

さて地層の説明が長くなってしまいましたが、そろそろ化石探しの話を始めたいと思います。

地層から落ちてビーチにゴロゴロ転がっている岩石のブロックをハンマーで叩いて割ってみます。チョーク質の石灰岩は、思っていたよりは硬く、でも力いっぱいハンマーを当てると簡単に割れるくらいには柔らかい、化石探しにはちょうど良い硬さの岩石でした。
二枚貝「イノセラムス」の化石(長さ約8cm)
いくつか岩石を割っていると、イノセラムスと呼ばれる二枚貝の化石が見つかりました。イノセラムスは日本でも北海道や岩手県でよく見つかる化石で、地層の年代を決める重要な「示準化石」のひとつです。

イノセラムスが入っている岩石をハンマーで割ってみましたが、出てくるのは二枚貝ばかりで、肝心のアンモナイトはなかなか見つかりません。
異常巻アンモナイト「スキポノセラス」の化石と生体復元図
しばらく岩石を割り続けていると、割った岩石の隙間に奇妙な棒が入っていました。これは一体何でしょうか?
実はこれはスキポノセラスと呼ばれるアンモナイトの一種です。アンモナイトと言えば渦巻き状に巻いた殻をイメージすると思いますが、中には巻きが解けてしまったものもいるのです。

このような種類を「異常巻」と呼んだりします(異常巻と言っても病気などではありません。詳しくは以前書いたこちらの回をご覧ください)。
スキポノセラスが入っていた岩石をよく観察して、二枚貝(イノセラムス)が入っていた岩石とも比べてみました。すると、岩石の特徴がわずかに異なることに気がつきました。二枚貝(イノセラムス)が入っていた岩石は色が白いのに対して、スキポノセラスが入っていた岩石はわずかにクリームがかった色をしています。

その後、「少しクリーム色っぽい岩」を選んでハンマーで割ってみると、アンモナイトが次々に見つかるようになりました。化石採集とはこういうもので、最初の一個を見つけることがとても重要です。

そして最初の一個を見つけたら、その岩の質感を覚えて同じ特徴をもつものを探す、というのがお目当ての化石を探すコツなのです。
見つかったアンモナイトを順番に紹介!
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