パンダのような白黒のカラス! かわいらしさがたまらない「コクマルガラス」とは?
【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】サイエンスライター・柴田佳秀先生が見つけた生きもののふしぎ
2024.02.06
サイエンスライター:柴田 佳秀
カラスは黒とはかぎらない
白黒のカラスの正体とは?
これまで日本で記録があるカラスのなかまは、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ミヤマガラス、コクマルガラス、ニシコクマルガラス、ワタリガラスの6種です。そのうち、ハシブトガラスとハシボソガラスは日本に一年中いる鳥で街中でみられる鳥です。ミヤマガラスとコクマルガラス、ワタリガラスの3種は、冬限定の渡り鳥のカラス。ニシコクマルガラスだけは、日本に数回だけ迷った鳥が現れたことがあるレアなカラスです。カラスを研究している自分としては、すべてをコンプリートしたいのですが、ニシコクマルガラスだけはまだ出会っていません。
カラスというと、真っ黒な鳥と普通は思いますよね。でも、なかにはパンダみたいな白黒のカラスもいます。その1つがコクマルガラスです。色もすてきですが、体のサイズもハトくらいしかなくて、「キュン、キュン」と鳴き、とってもキュート。
夏は中国東北部や極東ロシアなどで繁殖し、日本には冬越しのためにミヤマガラスと一緒に日本にやってくる渡り鳥です。今から30年くらい前に、私はこのカラスがどうしても見たくて、九州の鹿児島まで探しに出かけ、ようやく出会えた思い出深い鳥でもあります。
ところが、その後はだんだんと越冬する地域が広がり、現在は日本各地で見られるようになっています。私が住む関東地方にもそれほど数が多くはないのですが、毎年渡ってくる地域があり、わざわざ九州まで出かけなくても会えるカラスになっています。先日も、家から車で30分ほどの田んぼにいることを知って、見に行ってきました。
やっぱりかわいらしさは格別で、時間が経つのも忘れて見入ってしまいました。他のカラスと違って街中にいることはなく、広大な田んぼにいるカラスなので、なかなか見つけるのは難しいと思いますが、日本にもこんな白黒のカラスがいるということを知ってもらえれば嬉しく思います。
柴田 佳秀
元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。
元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。