ウルトラアイを着眼してウルトラセブンに変身するモロボシ・ダンにはもちろん、日本じゅうの子どもたちがウルトラ警備隊の一員になりたい、とあこがれる社会現象を巻き起こした伝説の作品だ。今にいたるまで、その人気は冷めやらない。
その人気のひみつにせまる『ウルトラセブン』考察シリーズ、今回は「その後のウルトラセブン」!
『ウルトラセブン』最終回のその後で
振り返って、1967年の時点でTBSと3クールの予定で制作が進められていた『ウルトラセブン』は、その反響の確かさから1968年にはいって10本の追加制作が決定、全49話(現在、第12話は欠番)でその世界観を燃焼し尽くしました。
肉体的な消耗による命の危険を賭して地球を守り抜いたセブンは、仲間との信頼やアンヌとの情愛を完結させぬまま地球を去ることになります。
金城哲夫の脚本は、物語として見事な帰結点を見いだしていますが、この思い半ばの雰囲気は、熱心な視聴者に不完全燃焼的なイメージを抱かせたとしても、それも仕方のないことだったといえるでしょう。
ウルトラセブンのゲスト出演はなぜ多いのか?
『ウルトラファイト』での登場は、スーツのコンディションを含み、直近のヒーローだからという意味合いもありますが、『帰ってきたウルトラマン』第18話、『ウルトラマンA』第44話、『ウルトラマンタロウ』第5話などでの客演は、『ウルトラマン』最終回に登場したゾフィーを彷彿とさせる、特別感のある扱いです。
そこに、かつての「強いセブン」という印象が働いていることは間違いなく、もしかすると制作スタッフ内にも、無意識に不完全燃焼を感じていた人がいたのかもしれません。
絶えることのないウルトラセブンの連鎖
1974年放送の『ウルトラマンレオ』において、モロボシ・ダンが宇宙パトロール隊MACの隊長として、レギュラーで登場することになりました。ダンの登場は演じる森次晃嗣の熱意ゆえでしたが、ウルトラセブンに変身しなくてもモロボシ隊長の存在感は大きく、アンヌ(に瓜二つの女性)の登場を含め、ダンにとっても実りのあるシリーズになっています。
そんなウルトラセブンの人気は、その後も衰えず、『ウルトラマン80』では妄想ウルトラセブンを生み出し、ついに1993年には、放送局を超越することになりました。NHK総合テレビジョンの90分枠、「土曜ドラマ」にて、2週にわたって『私が愛したウルトラセブン』が放送されたのです。
これは、市川森一が脚本を担当した『ウルトラセブン』に関わるスタッフ・キャストの青春期といったノリのメタドキュメンタリードラマで、一般層へのセブン人気の浸透ぶりを感じさせるいい機会になりました。
ウルトラセブンの新たな挑戦
これは、通産省(当時)のバックアップによって「太陽の日」をアピールするためのドラマで、『ウルトラセブン』と地続きの世界観においてソーラーエネルギーを巡るSFが展開されるもので、やはり満身創痍で登場するセブンが、そのキャラクター性を再び際立たせていました。
その好評により、10月にはダンが登場する続編が放送され、やがて、この2本のビデオソフト化を担当したバップと円谷プロダクションの間で、特番の設定を継続させて50分ほどの『ウルトラセブン』をオリジナルビデオとして制作することが決定します。
このシリーズは、かつての『ウルトラセブン』の設定と精神を受け継ぎながらも1990年代の諸問題も盛り込んだ、大人層も考慮した作劇で、『誕生30周年 3部作』として1998年にリリースされ、その好評ゆえにスケールアップを図った6部作が1999年にリリースされました。
これらビデオ版のシリーズ構成を担当した脚本家、武上純希は、1999年の『最終章 6部作』にて「ノンマルト事件」に踏み込み、それは2002年の『EVOLUTION 5部作』では地球と宇宙を巡る「正義」という主題につながり、セブンの新たな展開は再びの完結を迎えることになるのです。
ウルトラセブンは永遠に!
このシリーズは1クールながら、巨大戦をCGやデジタル合成のみで処理するなど、技術的にも新時代に対応することを目指していて、低予算ながらも斬新な映像を実現した点や本格SFとしての文芸面で評価できるシリーズとなりました。
このように、かつての不完全燃焼感を埋めるべく、ウルトラセブンは長きにわたって活躍して、息子のウルトラマンゼロまでが生まれているのですが、セブン誕生50周年にあたる2017年には、『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』にて、風来坊・クレナイ ガイが変身するウルトラマンオーブのピンチに、ウルトラマンシリーズの“元祖 風来坊”ダンがふらりと現れ、共闘する展開が用意されていました。このときは、関係者も視聴者も、まだまだ完全燃焼には至っていないのだなぁと思ってしまったものです。
しかしそれゆえに、これからもウルトラセブンの活躍は続くことでしょう。まだその雄姿を見続けることができるのが、楽しみでなりません。
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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