放送55周年 ウルトラセブンはなぜ地球人のために戦うのか?

『ウルトラセブン』55周年スタート 特別記事

テレビマガジン編集部

1967年10月1日に、円谷プロとTBS製作の「空想特撮シリーズ」第3弾として放送が始まった『ウルトラセブン』。

ウルトラアイを着眼してウルトラセブンに変身するモロボシ・ダンにはもちろん、日本じゅうの子どもたちがウルトラ警備隊の一員になりたい、とあこがれる社会現象を巻き起こした伝説の作品だ。今にいたるまで、その人気は冷めやらない。

その人気のひみつにせまる『ウルトラセブン』考察シリーズ、今回は「ウルトラセブンが戦う理由」!
第6話ではペガッサ星人との友情が芽生えるが、ペガッサ市の消滅を知った星人は、闇に消えていく。  ©円谷プロ

ウルトラマンが警察官だとしたら ウルトラセブンは?

企画書の記述によると、『ウルトラセブン』の基本的な世界観は、激化する宇宙人同士の恒星間戦争に地球が巻き込まれているというものです。そのような状況があるため、さまざまな宇宙人たちが地球に対し、半ば競うように「侵略」という強硬策に出てくるということなのでしょう。

金城哲夫が決めたこの前提からして、相当にSFマインドがあふれるものです。前作でのウルトラマンの戦いは「秩序」を乱す者を排除するためのものでしたが、ウルトラセブンの戦いの目的は、このような状況下での地球防衛にあります。問答無用で攻めてくる相手にいかに立ち向かい、どうしのぐのか、そこに立ち会う者の葛藤を描くドラマという意味で、『ウルトラセブン』は極めて優秀なのです。

ウルトラマンは、ある種の警察官ですから正義のために戦うことがはっきりしており、そこがブレることはほぼありません。それに対し、ウルトラセブンの戦いの動機は、混沌とする情勢のなかで「地球人を守らなければ」ということなのです。あくまでも個人的な理由を発端とし、宇宙軌道図の作成という本来の目的を志半ばとするような形で地球にとどまったのです。

その動機ゆえ、『ウルトラマン』とはまた異なる意味で、ドラマの中にさまざまなテーマを盛り込むことができたのです。
超兵器R1号の実験が生成した放射能を、地球でまき散らすギエロン星獣。セブンは、アイスラッガーでとどめを刺した。花畑に飛び散る黄色い体液も放射能を帯び、セブン=ダンにもダメージを与える。  ©️円谷プロ PHOTO/講談社

ウルトラセブンは誰のために戦うのか

ウルトラセブンは、第6話において前提条件ゆえの矛盾にぶち当たります。

宇宙空間都市ペガッサ市がコントロールを失って地球への衝突コースをたどるとき、ダン=セブンはペガッサ星人の地球への避難を強く望みながらも、地球防衛軍の爆撃艇の出動をやむなしとします。そして第26話では、ダンが実験に強硬に反対した超兵器R1号が招いた悲劇、ギエロン星獣の復讐に対し、星獣を倒すことでピリオドを打つことになります。

この2作はどちらも若槻文三の脚本ですが、若槻はセブンが、地球人を守ることを目的に戦っているために飲み込まなくてはならない矛盾を見事に描きます。そしてその図式は、第42話において金城自身の脚本によって、より明確に突きつけられるのです。

現在の地球人の侵略によって深海に追われたと主張する一団、太古の昔の本来の地球人を名のるノンマルトの海底都市をウルトラ警備隊は壊滅させますが、ダン=セブンは葛藤を抱きつつもノンマルトが差し向けた怪獣、ガイロスを粉砕するという形でウルトラ警備隊に加勢しているのです。真市少年から伝えられたノンマルトの主張の真偽は定かではないものの、地球人を守るセブンの戦いには、必ずしも正義だけでは割り切れない、本当にその行為が正義を貫いたことになったのか(?)という問題提起は明らかです。
イギリスの原潜、グローリア号を奪ったノンマルトは、復権を願って地上を攻撃する。正義はどちらにあるのか?  ©️円谷プロ

ウルトラセブンの善意と葛藤

ウルトラセブンの戦う目的に潜む「隙」、それを第43話において、監督の実相寺昭雄も突いてきました。第四惑星のロボットによる人類への恐怖政治を目の当たりにしたセブンは、冷徹な機械文明への嫌悪感から戦闘に至るのです。

セブンは、ロケット発射基地に集結したロボットたちの地球侵略部隊の戦闘艇を破壊しますが、特殊技術の高野宏一は実相寺の呼吸を理解したのでしょうか、セブンが強烈な感情にまかせているような戦いを見事に演出しています。それは、もしかしたら、彼の戦いのいっぽうの真実なのかもしれません。

セブンの戦いは善意に端を発するものであり、決して使命ではないからなのです。それゆえ、セブンの内部には、さまざまな葛藤が芽生えているはずなのです。
さまざまな感情が交錯しながらも、悪夢の第四惑星のロケット発射基地で、地球侵略部隊を攻撃するセブン。  ©️円谷プロ

金城哲夫が作品に仕込んだ想い

今回語った例とはまた違うニュアンスにおいて、金城が仕込んだであろうセブンの戦いの特性が生かされているエピソードは、まだまだあります。

各脚本家や監督がそれぞれの思惑で描こうとした個性的なセブンの戦い、そして、そこに込められた戦いに対する「思想」とでもいうものを見つけてみるのも、55周年を迎えた『ウルトラセブン』を鑑賞するひとつの楽しみではないでしょうか。

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