ウルトラアイを着眼してウルトラセブンに変身するモロボシ・ダンにはもちろん、日本じゅうの子どもたちがウルトラ警備隊の一員になりたい、とあこがれる社会現象を巻き起こした伝説の作品だ。今に至るまで、その人気は冷めやらない。
その人気のひみつにせまる『ウルトラセブン』考察シリーズ第1弾!
ウルトラセブン 奇跡のヒーロー像
ウルトラマンという巨大ヒーローは、たちまち人気を得て「怪獣ブーム」はさらにパワーアップ、「空想特撮シリーズ」を不動の地位へと押し上げたのです。
TBSは当然ながら、最高視聴率42.8%を記録することになるこの大人気シリーズの継続を望み、撮影スケジュールの都合から『ウルトラマン』の放送終了が決まると、6ヵ月のインターバルを置いて1967年10月から放送する新ヒーロードラマの企画を円谷サイドに依頼します。
脚本家の金城哲夫が統括する円谷プロの文芸部は、かねてより新番組においては、物語の舞台を宇宙にまで広げることで「怪獣ブーム」の次にきたるべき「宇宙ブーム」の先鞭を担うことや、『ウルトラマン』よりも上の視聴者層もカバーできる内容にすることを意図しており、巨大ヒーローの登場しない『ウルトラ警備隊』という企画書を作成していました。
そのあと、新番組に関する円谷プロとTBSの会議を経て、『ウルトラ警備隊』の企画を練り直した形の『ウルトラアイ』と題された企画案を作成します。
この企画は地球人とR星人のハーフである諸星 弾少年が、地球防衛軍・ウルトラ警備隊のスーパーカーの運転手を務めながら、「レッドマン」として活躍するという内容でした。
ここでの主人公の年齢は、『ウルトラマン』のハヤタと比べるとだいぶ低く設定されています。
それは、母を探して地球にきた思春期の若者を主人公として設定することで、視聴者層の上の部分との年齢差を小さくし、弾の地球の少女への恋心などを描くことで、ティーンに対してアピールすることも意図されていたとみられ、続く『レッドマン』企画案にも、その旨の一文が入れられています。