ウルトラアイを着眼してウルトラセブンに変身するモロボシ・ダンにはもちろん、日本じゅうの子どもたちがウルトラ警備隊の一員になりたい、とあこがれる社会現象を巻き起こした伝説の作品だ。今にいたるまで、その人気は冷めやらない。
その人気のひみつにせまる『ウルトラセブン』考察シリーズ、今回は「ウルトラ警備隊の誕生」!
地球防衛の要、ウルトラ警備隊誕生!
その重厚な軍事組織の存在は、物語の骨子を宇宙人の「侵略」に置いたことから生まれた必然的なものでした。宇宙人の「侵略」にダイレクトに対応するチームを置くことが、ドラマを組み立てていくうえでもっとも自然だったからです。
そんなウルトラ警備隊は、近未来に設定された地球防衛軍の極東基地に編成され、地球を宇宙人の魔の手から守るために尽力するエリートチームであり、キリヤマ隊長以下6名で構成されています。
その在りようは、『ウルトラマン』において国際科学警察機構に属する機関であった科学特捜隊をスケールアップしたものと理解してもよく、『ウルトラセブン』の物語を広げるうえでも、ウルトラ警備隊は欠かせないものだったのです。
深海へ! 地底へ! 宇宙へ! GO、ウルトラ警備隊!
その組織のスケール感は大きく表現されており、富士山麓の地下に建設されている極東基地の巨大さと先進的なイメージは、各種メカの格納施設の映像などを通じて第1話の冒頭付近で紹介されており、これから展開されるであろう超科学戦への期待をいやがうえにも盛り上げる構成になっていました。
地球防衛軍内の組織という背景をもつウルトラ警備隊の設定は、初期の企画書「ウルトラ警備隊」からのテーマであった、宇宙を描くことを容易にするためのものであり、主人公たちの活躍の場を海底や地底などに広げるための手段でもありました。スケールの大きい組織なればこそ、宇宙を駆け、地底や深海に潜る超科学メカを多数登場させることができたのです。
超科学装備充実の秘訣はマーチャンダイジング?
そして『ウルトラセブン』では、「イマイ科学」の『サンダーバード』キットに刺激され、メカ関連のプラモデルや動力玩具などがマーチャンダイジングの中核に加わります。全話を通じて『ウルトラセブン』にメカが多数登場する背景には、多額の制作費を回収するための手段をさまざまに仕込んでおくという意図がまったくなかったわけではないでしょう。
ウルトラ警備隊の登場がドラマに新たな流れを吹き込んだ!
そして、宇宙戦闘用のウルトラホーク2号に大型多目的攻撃機の3号、高性能潜水艦のハイドランジャーやドリル戦車のマグマライザーといった多彩なメカ群の活躍は、各話の前半パートをおおいに彩ることになります。そして、ウルトラセブンの危機を救うことも、たびたびありました。
そんな本格的な軍事組織に寄って立つウルトラセブンを巡る物語は、『ウルトラマン』より高い年齢層を意識するという当初からの狙いもあり、自然にハードなエピソードへと傾斜することになります。
そして、そんな世界観を支えるバックボーンが、ウルトラ警備隊の隊員たちのプロフェッショナルな佇まいでした。さらに、『ウルトラマン』ではあえて抑えていたレギュラーメンバーの内面に踏み込むエピソードも、今回は意図的に展開され、人間として成長する隊員たちも描かれていきます。
そのような作劇面での動きは、本来ならば超越した存在であるはずの宇宙人ヒーロー、ウルトラセブンの内面までをも描くという作劇の挑戦に至ることになるのです。
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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