「大画面で観て良さそうなのを選びました」円谷映画祭 2023 庵野秀明氏トークイベントレポート

円谷映画祭2023 Part1 4K版『ウルトラセブン』セレクト上映 庵野氏トークイベントレポート!

テレビマガジン編集部

「円谷映画祭2023」公開を記念し庵野秀明氏がイベントに登壇!

劇場の大画面でウルトラマンシリーズの名作が観られる!
円谷プロダクション創立60周年を記念して、円谷プロの代表的な作品をセレクトし、劇場で上映する「円谷映画祭2023」が2023年11月17日(金)から開催。庵野秀明氏がセレクトした作品が劇場で上映されます。

2023年11月30日まで上映されるPart1では、4K『ウルトラセブン』より第4話「マックス号応答せよ」、第8話「狙われた街」、第14話「ウルトラ警備隊西へ 前編」、第15話「ウルトラ警備隊西へ 後編」が上映。そして、その初日である11月17日(金)に庵野氏が登壇するトークイベントが開催されました。今回は、トークイベントの模様をお届け。各話をセレクトした理由や、イベントで語られた庵野氏のウルトラマンシリーズとの思い出をレポートいたします!

「雑誌で前情報を得ていた」と少年時を語る庵野氏

イベントに登壇した庵野秀明氏
イベントは、庵野氏がセレクトした4エピソードの上映終了後にスタート。4K画質の『ウルトラセブン』が劇場の大画面で上映され、観客の皆さんからは大きな拍手が巻き起こっていました。そんな興奮冷めやらぬ会場に登壇した庵野氏。スクリーンを見て「4:3なのが残念なんですが(笑)」と会場を笑わせながらトークイベントがスタートします。

1960年生まれで、まさに『ウルトラマン』世代の庵野氏。『ウルトラQ』や『ウルトラマン』ももちろんリアルタイムで視聴されており、『ウルトラセブン』は当時講談社が発行していた雑誌「ぼくら」の表紙などで事前にチェックしていたとのこと。「ウルトラセブンは赤い」という事前情報をキャッチしていた庵野少年でしたが、ご自宅のテレビは白黒テレビだったようで、「なんか、黒っぽい人だな」というのが最初にセブンを見たときの印象だったと思い出を語っていました。

現在は大人も楽しめるメッセージ性を内包した作品として、高く評価をされている『ウルトラセブン』ですが、当時小学2年生だった庵野少年は、「難しいな」と感じていたそうです。それでも、「『ウルトラマン』とは違うものをやろうとしているなというのが、ひしひしと伝わってきた」と当時から感じていたようでした。また、ウルトラマンと違いセブンは人間大のサイズにもなることに、衝撃を受けたと語っていました。

『ウルトラセブン』は子どものころにリアルタイムで観たときと19~20歳くらいの大人になったときとで別の面白さを感じたようで、子どものころにはあまり好きではなかったチブル星人のエピソード(第9話「アンドロイド0指令」)も、現在では「これは良い! 夜のデパートの階段を赤い人(ウルトラセブン)が駆け上がって敵を追い詰めるんですよ」「あのエピソードのいいところは、セブンになられたら(チブル星人とアンドロイド少女ゼロワンは)もう逃げるしかないんですよ。セブンに攻撃されたらすぐに死んじゃうんです。あれはやっぱり、大学生くらいにならないと(良さが)わからなかったですね」と大人になって気づいた『ウルトラセブン』の魅力を語っていました。
第4話「マックス号応答せよ」

セレクトされた4エピソードについて

全49話あるエピソードから、4話がセレクトされた今回の映画祭。その選定理由については、「(4話を選ぶのは)難しいんですけど、今回は大画面で観て面白そうなのを4本選びました。エピソード性とかではなく、特撮が大画面向きとか、そういうところですね」と語っていました。

第4話「マックス号応答せよ」については、「ビラ星人(第5話「消された時間」)と迷ったんですけど、悩んでゴドラ星人。ゴドラ星人との殺陣が面白くてですね。(セブンが)大きくなったり小さくなったり、バラエティに富んでて、明るくて良いんですよ」「ウルトラホークの発進シーンは子どものころにびっくりしました。かっこいい!ってなりましたね」
第8話「狙われた街」
第8話「狙われた街」については、「実相寺さんの変なアングルが面白い。これも子どものころにはよく分からなかったのですが、大学生になって『あっこういうものか』と。あと、(カメラの)レール移動が多いのがいいですよね」と、実相寺監督の特徴的なアングルについて言及。有名な、ダンとメトロン星人がちゃぶ台をかこむシーンについては「あれも、大学生になってはじめて良さが、ひしひしとわかりました。子どものころは、それよりも襖を開けたらその向こうが宇宙船というのに、あっ、かっこいい!と衝撃を受けましたね」と語っていました。
第14話「ウルトラ警備隊西へ 前編」、第15話「ウルトラ警備隊西へ 後編」
そして、『ウルトラセブン』初の前後編である第14話「ウルトラ警備隊西へ 前編」、第15話「ウルトラ警備隊西へ 後編」については、「これは本当に特撮が豪華なので。ロケもちゃんと神戸に行って撮ってますしね。あの車(ポインター)を神戸に持っていって走らせているのは、これはかっこいいなと」

第14話は、セブンがキングジョーに馬乗りにされたところで物語が終了します。このことについては、「いや~あれは興奮しましたね。ここで終わるんだって。あらゆる超兵器が通用しない。そういうシチュエーションは、今で言う「萌え」ってやつなんですよね」

一方、第15話の冒頭シーンでは、セブンから反撃を受けたキングジョーが分離して逃走してしまいます。このことについて、「前編であれだけ引っ張ったのに、(キングジョーがセブンによって)倒れたら、分離して終わりっていう、あれは解せなかったんですけど(笑)。でも、終盤の神戸港(での戦闘シーン)は良いんですよ。あのシーンが、今回、大画面での上映に向いているんじゃないかと」

また、このエピソードで、神戸ポートタワーと京都国際会議場をはじめて知った庵野少年は、そのかっこよさにも興奮していたとのことでした。
幼少期から観ていた特撮作品が、自分の創作活動の原点であると語る庵野氏。なかでも『ウルトラセブン』から受けた影響について「侵略をテーマにした作品に惹かれたのが『ウルトラセブン』からかなと思います」

「一番大きなインパクトは、やっぱり、最初の『ウルトラマン』になっちゃうので、『そこから外そう、外そう』という、作り手の皆さんの苦悩みたいなのも含めて僕は『良いな』と思っています」「僕は今は、(巨大化しない)人間大のセブンのほうが好きなんです。(第9話「アンドロイド0指令」での)夜の街に、真っ赤な人がぽっつり立ってる画っていうのは、本当に良いなぁと思いますね」と語っていました。

イベントの最後には、「本当に、ウルトラシリーズは面白いんですよ。機会がありましたら、円谷さんのサブスク(TSUBURAYA IMAGINATION)で観れますので、ぜひご覧いただければと思います」「ウルトラシリーズ以外にも、『ミラーマン』とか面白いですよ」と、ウルトラマンシリーズや円谷作品へのアピールをされ、イベントを締めくくられていました。

Part2も12月1日から開催!

現在上映中のPart1は、2023年11月30日(木)まで公開。円谷映画祭2023後半となる、2023年12月1日(金)から上映開始のPart2では、同じく庵野氏がセレクトした『ウルトラマンタロウ』の4エピソードが上映。ウルトラマンタロウやウルトラ兄弟の活躍が劇場の大画面で描かれます。ぜひこちらもチェックをお忘れなく!
【円谷映画祭 2023】開催概要
■Part1 2023年11月17日(金)~11月30日(木)[2週間限定]
■Part2 2023年12月1日(金)~12月14日(木)[2週間限定]
■上映劇場
札 幌:札幌シネマフロンティア
宮 城:TOHOシネマズ仙台
東 京:TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズ池袋、TOHOシネマズ錦糸町
神奈川:横浜ブルク13、川崎チネチッタ
愛 知:109シネマズ名古屋
大 阪:TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば
兵 庫:OSシネマズ神戸ハーバーランド
京 都:TOHOシネマズ二条
広 島:広島バルト11
福 岡:T・ジョイ博多
※全15劇場(予定)
© 円谷プロ

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テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。