自分だからこその、隊長と副隊長
黄川田
ぼくは、まったくありませんでしたね。ウルトラマンの世界を大切するという意味では、学ばなきゃな、というのはあるけど、隊長としてどうあるべきか、みたいな部分は、ぼく自身でつくるんだという思いが強くて。
この役は、誰でもできるよねというのでなく、黄川田でなきゃムラホシは成立しないねという、ぼくの中でそういうムラホシをつくっていった感じですね。
役に寄っていくというより、役を呼び寄せるというか……、今回は「呼んだ」気がします。
それで自分の中にあるものを最大限、ムラホシの中にガッと入れて。で、逆に足りないものはムラホシからいろいろ学び、ということをやったんじゃないかなあ。
黄川田
んー、それはそんなに意識はしてないですね。
自分がまさか、隊長をやるとは思わないじゃないですか。自分は、中身がすごくのんびりしてるんですよ。
で、お話をいただいたときに「ん? おれがなんで隊長なんだろうって。隊長っぽくないよね~」って。そういう感じだったんですよ。
でも、冷静に考えたら、「いやいや、おまえはもう隊長を演じる年齢だぞ!」と。だから、今までいろんな現場で経験させていただいたことを、この役を通してやれるのかなあと。今の年齢だからこそできることに、チャレンジしてみようというのは、ありましたね。
宮澤
そうですね。わたしも、過去の歴代の隊長や隊員は、全然意識してないですねえ。
『デッカー』も、今をどう生きるかを考える作品なので。過去の作品の人がこうだったからとか、前の人がこうだったから、とかじゃなくて、「わたしだったらこうする」という、今の自分に向き合って役作りをしました。
これが、シリーズの2作目とかだと、意識したかもしれないけど、ウルトラマンは、長い時間つづいているシリーズだから。
黄川田
そうそう。だから、逆に意識しなくても……
宮澤
すんだのかもしれないですね。
謎の液体シャカシャカ
黄川田
あるあるー! すみません。軽くて。これが素の自分なんです(笑)。
宮澤
雅哉さんがどれを言うかわかんないけど、雅哉さんのすること、けっこう知ってます(笑)。
黄川田
いつも飲んだり、食べたりしているのが、コーヒーと、あとグミ……。
宮澤
それと、なにかの液体。シャカシャカするやつですよね。
黄川田
!!!!! よう見てんな! よう見てんな!(絶句したあとに、急にあわてふためいて、なぜか関西弁になってしまう黄川田さん)
宮澤
なんかいっつも謎のシャカシャカを飲んでました。わたしは、ビタミンなんじゃないかと思ってたけど、そこには一度もツッコまず、撮影が終わり。出会って約1年経ちますが、なんなのか知らないんです(笑)。
黄川田
だだ、だって、おれも見られてるって思ってないから。(しどろもどろになっている黄川田さん)
宮澤
プロテインとかじゃないんですか。
──載せちゃって大丈夫なモノですよね?
全然、大丈夫!(キッパリ!)
宮澤
ひょっとして、美容系ですか?
黄川田
ううん、全然。そういうんじゃなくって。
宮澤
じゃ、体にいいんですか?
黄川田
それ以外に、コーヒーも、ずっと飲むし。グミは、ただ好きなだけなんです。(話をそらす黄川田さん)
宮澤
でも、好きな味がありますから、雅哉さん。わたしが言います。ソーダとか、コーラとか、あと、エナジードリンク味みたいなの大好きですよねえ。
黄川田
んー、今日はコーラしか持ってないです(笑)。
宮澤
ブドウとか、たぶんフルーツ系も好きなんだと思うんですけど、でも、気づいたら雅哉さんは、そっち系の味のものをよく食べてました。
黄川田
すげー観察してんね(笑)。
黄川田
撮影がうまくいってないとか、現場がピリピリしてるとか、そういうんじゃないです。とりあえず、美味しいものを口に入れているとハッピーな気分になるじゃないですか。「自分の機嫌は自分でとりまーす!」ということです。
宮澤
あー、なるほど。
黄川田
それで持ち歩いてます。
黄川田
あ、やっぱり、シャカシャカ、気になりますよね(笑)。自分でつくるんです。割って入れるんです。それで、シャカシャカしてつくる。
宮澤
おもしろい(笑)。
黄川田
佐江ちゃんはー?(やっぱり話をそらそうとする黄川田さん)
宮澤
わたしは、ストレッチですかねえ。すごく緊張すると呼吸が浅くなっちゃうんですよ。なので、すごく朝がはやくても、家か現場で、ストレッチと、肋骨を指でごりごりやって、肋骨を下げるという作業をして、空気を吸いやすい体をつくってます。
どうやって?
宮澤
こうやって、肋骨をごりごりするだけです。肋骨が上がっちゃうと、人間って息ができなくなっちゃうらしいんですって。ここをほぐしてあげると、肋骨が下がって、背中まで空気が入るから、これは、かならずやってましたね。(実際に、肋骨に指をあてて、実演してみせる宮澤さん)
ウルトラマンの撮影時もそうですが、ミュージカルやバラエティも、人前に立って緊張しちゃいそうなときには、息が上がらないようにストレッチをしますね。
黄川田
でも、たしかに撮影前によく言ってたかも。あのナースデッセイ号のセット、楽屋がみんないっしょだから、衣装を着替えるところくらいしか個室がなくって。だから、ストレッチしたいなあとは、よく言ってた。
塩を撒いて浄化させる
黄川田
ぼく、塩を持ち歩いてるんです。
宮澤
あー、たしかにたしかに。それ、言ってましたねー。
黄川田
スタジオとかって、やっぱり、いろんな人の「気」がある気がするんです。で、ムラホシはセリフが難しいので、ちょっと止まっちゃったり、言えなくなっちゃったりしたときに、あ、これはきっと誰かにいたずらされてるなあって。
宮澤
そうそう。そうやって人のせいにするのも大事ですよね~(笑)。
「んー、誰だ、誰だー?」って周りを見渡して。そういうときに、塩をちょっとこう、パァーンと振って「よーし!」とリセットするみたいな。
宮澤
ほんとは、なんも見えてないのに(笑)。
黄川田
イチカ役の優香ちゃんから、撮影のときに、「なんか、ここらへん、こわくないですか?」って聞かれたことがあって、「(ひそひそ声で)大丈夫。おれ、塩持ってるから」って。
宮澤
やばいですよ。やばい人ですよ、それ(笑)。
黄川田
これは、すごく信じているというよりも、そういうことでなにか気を紛らわすというか、集中をそっちのほうに向けるというか。
宮澤
浄化ですね。
黄川田
そうそう。浄化です。
宮澤
そうですねえ。うーん。なんだろう?
(けっこう、考え込んだあとに)必ずやってるゲン担ぎみたいなものはないです。ストレッチさえすれば、なんとか役に入っていけます!
〈まだまだ、話をお聞きしたかったのですが、ここで時間になってしまいました〉
──今日は、お忙しいなか、楽しい話を聞かせていただき、ありがとうございました。
取材の日は他社のインタビューも詰まっていていたものの、疲れも見せずに盛り上げていただいて、ありがとうございました。おふたりの息もぴったりで、チームワークの良さが自然に伝わってきて、これからの放送も見逃せません!
黄川田雅哉(きかわだ まさや)
1980年6月生まれ。埼玉県出身。1999年のデビューから映画、ドラマ等に多数出演。『ウルトラマンシリーズ』では『ウルトラマンX』(2015年)に出演。趣味は加圧トレーニング、ビリヤード、旅行、映画鑑賞。
宮澤佐江(みやざわ さえ)
1990年8月生まれ。東京都出身。映画やドラマ、舞台など幅広く活躍。「ウルトラマンシリーズ」では映画『ウルトラマンサーガ』(2012年)に出演。趣味はスキューバダイビング、ファッション、字を書くこと。
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga