6月5日 戦争で怪獣ツチケラとなった人間がウルトラマンガイアに救われる

今日は何の日? 「ウルトラ怪獣日和」 6月5日(1999年)

テレビマガジン編集部

『ウルトラQ』『ウルトラマン』の放送が開始され、ウルトラ怪獣が登場した1966年以来、半世紀以上にわたって脈々と続くウルトラマンシリーズ。作品ごとに子どもたちは、現実とフィクションとを一体に感じ、日々、ウルトラヒーローや怪獣たちに夢中になっていた。

あの日、あの時、胸躍らせて目撃したのは何だったのか? 今回取り上げるのは「6月5日」(1999年)。
ツチケラの触手に自由を奪われるウルトラマンガイア V2  ©円谷プロ PHOTO/講談社
“平成ウルトラマンシリーズ”第3作の『ウルトラマンガイア』は、天才的な知能を持った人間たちの科学者ネットワーク「アルケミー・スターズ」の一員、高山我夢(がむ)が地球の大地の光を手にしてウルトラマンガイアに変身。海の光を手にした藤宮博也=ウルトラマンアグルとともに、地球を破滅に導く根源的破滅招来体と戦う物語だ。

名連村を訪れた我夢は、その村にある沼で現金輸送車襲撃事件の犯人が行方不明になったという話を聞く。その沼には妖怪「ツチケラ」が棲んでいると伝えられていた。我夢はその沼を守る平野という老人と出会う。ツチケラの正体は、かつて旧日本軍の人体実験によって研究員の男性が変貌した姿だったのだ。
「ウルトラ怪獣日和」、今日は何の日?

妖怪が住む沼

1999年6月5日は『ウルトラマンガイア』第39話「悲しみの沼」が放送された日です。1ヵ月前、地下1500メートルで眠る地殻怪地底獣 ティグリスに、環境汚染や地殻破壊の恐れがある地底貫通弾が撃ち込まれた(第38話「大地裂く牙」)。我夢は、地底貫通弾による地質汚染の影響を調査するため、名連村を訪れた。

我夢は地元の子どもたちから、名連村にある土沼には「ツチケラ」という妖怪がいるという話を聞く。さらに、我夢の前に刑事たちが現れた。ツチケラの伝説があり、人が寄りつかない沼に、最近発生した現金輸送車襲撃事件の犯人が潜伏している可能性があるらしい。

刑事たちとともに沼にやってきた我夢だったが、彼らはその沼を管理している平野という老人に追い返されそうになる。しかし刑事は、沼に大量の1万円札が浮かんでいるところを発見。話を聞くために、平野を連行しようとする。すると、突然沼から触手が伸び、刑事を沼に引きずり込もうとしはじめた。

平野老人はオルゴールを取り出し、その音色を聴かせながら「やめるんだ! 近藤、やめるんだ。チエちゃんのためにも」と訴える。すると、触手は刑事を離し、沼の中へと消えていくのだった。

特捜チームXIG(シグ)によって本格的に沼が調査されることになり、我夢は平野に事情を聞いた。平野と、彼が言っていた近藤という男性は、太平洋戦争中に軍の秘密研究所で細菌兵器の研究をしていた。戦争に勝てば平和が戻ると信じていたのだ。

しかし、ある時偶然に人間を生物兵器に変貌させる人工細菌を作り出してしまう。近藤はその危険な研究を中止するよう仲間たちに訴えるが、軍の上層部は人工細胞の即時使用を指示。そして、研究に反対した近藤は人体実験の最初の被験者にされてしまう。

実験によって怪物化した近藤。その近藤は誰にも止めることはできず、平野だけを残して、その場にいた研究者と軍人を殺害。人工細菌を破壊して沼に逃げ込んだのだ。
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