『ウルトラアイ』から『レッドマン』そして『ウルトラセブン』へ
弾の出自による成長物語的な側面は前景から退き、ティーンの視聴者を考慮した展開の第一義は、宇宙を背景とした重厚なSF性としっかりした物語に置かれることとなり、ヘルスセンター勤務という設定だった友里アンヌとのロマンスはそれなりに描かれるものの、二義的なニュアンスを帯びることになるのです。
設定の微調整はありましたが、おおむねこのイメージで4話分の脚本が『レッドマン』のタイトルを冠して制作されます。そして、続いて制作された放送第1話の脚本にて、タイトルが『ウルトラセブン』となり、深紅の超人、ウルトラセブンの物語がいよいよ紡がれていくことになります。
この『ウルトラセブン』が革新的だった点は、洗練されていたウルトラマンのキャラクターイメージを継承しつつも、その人格を明確に表現していたことが挙げられます。
ウルトラマンとはあくまでも別個体であったハヤタと違い、モロボシ・ダンはイコール、ウルトラセブンという図式であるため、宇宙人の侵略を中核に置く物語に対して、ウルトラセブンは、彼自身の主観による反応を、否応なくきちんと示すことになります。
それが、さらに物語に深みを与え、その深みが次なる物語に密接に結びついていく。そんな循環が、『ウルトラセブン』の世界に生まれていくようになるのです。
偶然か? 必然か? 完成されたヒーロー『ウルトラセブン』
『ウルトラマン』での経験を踏まえてスピーディーなアクションを強化する一方で、SF性の広がりと複雑化する物語に応じて、内心の葛藤までをもさらけ出す。そして、二義的だったはずの友里アンヌとのロマンスはシリーズを通じて深まっていくようになり、シリーズの接着剤にもなっていきます。
やがて、これらの諸要素は見事な化学反応によって矛盾なくかみ合って、作品を最高潮のまま終結させることになるのです。
ウルトラセブンは、戦いの物語のなかに感情、または情念を組み込んだヒーローであり、そこに孤高の宇宙人という属性が加わることで追随を許さない個性を得た存在です。
偶然なのか必然なのか、以上の特性を奇跡のバランスで体現したヒーロー、それが我らのウルトラセブンなのではないでしょうか。
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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