トットちゃんの「点字つきさわる絵本」制作レポート その1

『点字つきさわる絵本 映画 窓ぎわのトットちゃん ストーリーブック』制作秘話を担当編集がレポート! (3/3) 1ページ目に戻る

「点字つきさわる絵本」を作るのははじめてのことで、まず、私は福音館書店に話を聞きに行きました。『点字つきさわる絵本 ぐりとぐら』は、絵本『ぐりとぐら』を、もとに作られた、福音館書店はじめての点字絵本です。
『てんじつき さわるえほん ぐりとぐら』 (なかがわりえこ/作 おおむらゆりこ/絵) 福音館書店
すべての画像を見る(全9枚)
みんながよく知っている絵本の点字絵本化ということと、本のつくりが『トットちゃん』に向いているのではないかという共通点がありました。

対応してくださった田中健一さん、寺久保未園さん、高木理恵さん、中村悠子さんが、作り方の手順とご苦労、こだわったポイントなどを詳しく教えてくださって、帰り際には「がんばってください!」と励ましてくださいました。

自分が進もうとしている道の険しさ、遠さを思い、不安でいっぱいでした。
点字絵本の作り方には、大きく分けて2通りの形式があります。1枚の紙を折って本にするタイプと、製本するタイプです。

講談社ではじめて出した点字絵本『点字つきさわる絵本 あらしのよるに』は、1枚の紙を折って作っているジャバラ式の絵本。広げるとびろーんと1枚の画面になります。

グラフィカルな作品に向いていて、あべ弘士さんのダイナミックな絵が大きな画面で楽しめること、裏面は絵本とは別の用途に活用できるメリットがあります。
『点字つきさわる絵本 あらしのよるに』 (きむらゆういち/文 あべ弘士/絵 )講談社
通常の絵本と異なり、点字や絵がつぶれてしまわないように、1枚の紙をジグザグに折った「ジャバラ式」の絵本。
しかし、このジャバラ形式はページ数の多い本には不向きなため(広げたときすごい長さになってしまうので)、文字の分量が多い『トットちゃん』は、ふつうにページをめくるタイプの本にすることにしました。

『ぐりとぐら』の点字絵本は、私の教科書になりました。
─・─・─・─・
こうしてようやく方針が決まったはじめての点字絵本づくり。次回は「文字数の壁」についてです。

担当編集/山田智幸野

【『点字つきさわる絵本 映画窓ぎわのトットちゃん ストーリーブック』制作秘話は全3回。第1回となる今回は、「点字絵本」づくりのスタートについてのお話、続く第2回では「文字数と絵」についてのお話、最後の第3回では「点字読者のアドバイスを経て完成まで」の物語です】
点字つきさわる絵本 映画 窓ぎわのトットちゃん ストーリーブック

点字つきさわる絵本 映画 窓ぎわのトットちゃん ストーリーブック

黒柳 徹子(原作)  八鍬 新之介(その他)  鈴木 洋介(その他)  シンエイ動画(その他)

発売日:2025/04/02

価格:定価:本体4500円(税別)

この記事の画像をもっと見る(9枚)

前へ

3/3

次へ

29 件