
【第67回講談社児童文学新人賞】885作の頂点は「忍者×青春」現役・図書館職員が受賞 3年ぶりの佳作も選出
講談社児童文学新人賞 贈呈式レポート
2026.10.01
数多くのベストセラーを送り出し、児童文学作家の登竜門として知られる「講談社児童文学新人賞」。
斉藤洋氏、柏葉幸子氏、森絵都氏、はやみねかおる氏らを輩出してきた歴史ある同賞の第67回贈呈式が、2026年9月30日、東京都文京区の講談社にて開催されました。
応募総数885作品の頂点に輝いたのは、森 名子(もり・なこ)氏の『生き延びよ!忍者同好会』。「忍者修行」に情熱を傾ける一風変わった女子高生とクラスメイトたちの、等身大の悩みや友情を描いた青春ストーリーです。
森氏には賞状と記念品のほか、副賞として賞金50万円が授与されました。受賞作は今後、単行本として刊行される予定です。
新人賞を受賞した森氏は現役の図書館職員。受賞者スピーチでは「この賞を目標にずっと書き続けてきた」と振り返り、
「受賞のご連絡をいただいたときは肩の力が一瞬抜けたのですが、その後すぐにドキドキ、ワクワクして『これからもお話が書き続けられるんだ』という喜びでいっぱいになりました。この気持ちをずっと忘れず、自分が楽しいと思える作品はもちろん、たくさんの子どもたちに楽しんでもらえるお話を書き続けたいです」
と、作家としての第一歩を踏み出す喜びを語りました。
佳作には、個性あふれる2作品が選出
新人賞に続き、選考委員から高い評価を受け佳作に選ばれたのは、瀬戸かなた(せと・かなた)氏の『死神ホネルのほねおりクリスマス』と、入江真理子(いりえ・まりこ)氏の『ゴッホの桜』の2作品です。
新米死神がクリスマスイブに奮闘するユーモラスな物語『死神ホネルのほねおりクリスマス』を描いた瀬戸かなた氏。
スピーチでは「この賞に応募するために試行錯誤を重ねてきた」と明かし、主人公について「自分が書いてきた物語の中でも一番愛着があります」と、涙で声を詰まらせながら受賞の喜びを噛み締めました。
帰国子女が抱える葛藤と成長を描いた『ゴッホの桜』で佳作を受賞した入江真理子氏は、演劇という自身のバックグラウンドに触れつつ、初めて挑戦した作品で賞を獲得できた感動を伝えました。
さらに、AIや動画配信が普及する現代において作家となる意義を見つめ直し、「自分のやるべきことを考えている」と今後の展望を語りました。
ユニークな視点と豊かな表現力で選考委員を魅了した佳作2作品(副賞各20万円)の今後の展開にも、大きな期待が集まります。
第67回(2026年度) 講談社児童文学新人賞の選考経過と選考委員
第67回(2026年度)児童文学新人賞には885作品の応募がありました。
応募者の年齢層は、最年少10歳から最年長88歳までと幅広く、平均年齢は44.8歳でした。
一次・二次選考を経て最終候補の6作品が選出されたのち、同年8月25日に最終選考会を実施。
今年度より新たに選考委員へ就任した工藤純子氏、福田隆浩氏、吉野万理子氏(五十音順)の3名に講談社・児童図書編集長を加えた4名で選考が行われ、厳正なる審査の結果、新人賞1作と佳作2作が決定しました。
贈呈式では、選考委員から受賞者へ温かい祝辞と選評が述べられました。
工藤純子氏は出版状況や世界情勢に触れ、先行きが不透明な現代において、児童文学は子どもの心の土台を作るために不可欠なものであると説き、出版関係者や作家が一丸となって子どもたちへ本を届けていこうとエールを送りました。
福田隆浩氏は、自身が40代で同賞を受賞した際のエピソードや、その後の執筆活動を回想。受賞者たちへ、手にした貴重なチャンスを逃がさぬよう、実体験に基づいた具体的で力強いアドバイスを語りました。
吉野万理子氏は、デビュー後に周囲と比べて思いどおりに執筆が進まない時期があっても、書き続けていれば必ず次の道が開けると話し、「マイペースに、楽しみながら書き続けることが何より大切」と受賞者を優しく励ましました。
受賞作品
◆新人賞
正賞 賞状・記念品 / 副賞 50万円・単行本として刊行
『生き延びよ!忍者同好会』
森 名子(もり なこ)
◆佳作
正賞 賞状/副賞 20万円
『死神ホネルのほねおりクリスマス』
瀬戸 かなた(せと かなた)
『ゴッホの桜』
入江 真理子(いりえ まりこ)
撮影/市谷明美































