選評(五十音順)
工藤純子先生
「生き延びよ! 忍者同好会」新人賞おめでとうございます! 三部形式の構成が巧みで、人物の書きわけもうまい。和泉と陽菜、そして忍者そのものの魅力をもっと引き出せたら、さらに物語が深まると思います。
「ゴッホの桜」子どもが読む表現になっているか、時代設定をどうするかなど課題もありますが、人物が魅力的な作品。改稿が楽しみです。
「死神ホネルのほねおりクリスマス」子どもにわかりにくいギャグもありますが、弱腰の死神のキャラがおもしろい。ぜひシリーズに!
「マリィの肖像」冒頭の主人公の思いが、今を生きる若者の悩みにぴたりとはまるようで、ぐっときました。マリィさんの人生や思いも深堀していくと、違うラストになるのでは。
「ロケットと死神」未来と死神というアンバランスさが面白い。西暦三千年の世界に生きる若者の思い、現代との違いをもっと知りたいです。
「この海のおよぎかた」吃音や不登校などは、ラストでバタバタと解決できるような問題ではなく、書き急いだ印象。物語作りより、それぞれの思いや生き方を書き込んでください。
最終選考まで残った作品は、どれも本になる可能性を秘めています。入選しなくても、そのあと作家になった人はたくさんいるので(私もその一人)、決してあきらめずに書き続けてほしいと思います。
福田隆浩先生
『生き延びよ!忍者同好会』は関係描写の巧みさと構成力の高さが際立った。悩める子ども達に届けたい物語。
『死神ホネルのほねおりクリスマス』はリズミカルな文体とサービス精神が見事。ラストはやや投げやりか。さらに一工夫!
『ゴッホの桜』はツッコミ所満載ながら、ぐいぐい読ませる不思議な魅力あり。改稿に期待。
『マリィの肖像』は緻密なロリィタ描写に引き込まれたが、物語の盛り上がりに活かし切れずに残念。
『ロケットと死神』は文章力、SFシーンの表現も秀逸。反面、設定の粗が目立つ。子どもに響く等身大の実像を描いてほしかった。
『この海のおよぎかた』は独特の世界観と豊かな感性が光るが、多くの事柄を置き去りのまま物語を畳んだ点が惜しまれる。
※蛇足ながら。病気や障がいを扱う際には最新の文献にあたり、支援システムのリサーチを。そうした下調べが新しい物語を生み出します。そして、児童文学を書くのだという覚悟を決めること。子ども向けだしこれでいいよね、という考えは捨てましょう! 自戒をこめて……。
吉野万理子先生
『この海のおよぎかた』は文章の佇まいが美しい作品です。しかし物語を動かしている実質の主人公は、男の子に見えます。ヒロインが全体的に受け身で残念です。
『ロケットと死神』は常に動きがあるエネルギッシュな作品。あとは西暦3000年がどのような時代か、世界観をしっかり構築してもらえたらと思いました。
『マリィの肖像』は文章が巧みで描写力もあります。ただ、男性とヒロインが密室などで過ごす場面は、十代の読者に届けるにはふさわしくないのでは、と気になりました。
新人賞『生き延びよ!忍者同好会』は3人の主人公のつながり方、構成が鮮やか。さりげなく盛り込まれたメッセージも胸に響きます。
佳作『死神ホネルのほねおりクリスマス』は読者を楽しませたいという著者の思いが伝わり、好感を持ちました。
同じく佳作『ゴッホの桜』は物語の展開よりも、ただこの文章を読み続けていたいと思わせる独特の文体が魅力で、ぜひ推したいと強く感じました。
































