
「ウクライナの戦争を想って書いた」あさのあつこが語る『NO.6再会#3』の真実 ついに暴かれるネズミの過去と、予測不能な紫苑の未来
『NO.6[ナンバーシックス]再会#3』著者あさのあつこインタビュー (2/2) 1ページ目に戻る
2026.06.04
ライター:山口 真央
紫苑にとっては父親より目の前のネズミが大事
あさの もう1曲、ネズミが碧石に「最後の歌」として教えた歌は、伝承歌をイメージしたんです。ネズミが歌う曲はきっと凝った言い回しの歌ではなく、伝承歌として歌い継がれてきた、人の想いがこもった歌だと思いました。
私にはネズミの歌のメロディーはわかりません。だからネズミ役の細谷佳正さんや古田一紀さんがアニメやミュージカルでネズミの歌を披露してくださったときは感動しましたし、嬉しく思いました。
──ネズミと繫がりが生まれた一団ですが、その後、悲惨な状況に陥ることになります。
あさの ネズミも作中で「狩る者と狩られる者」の話をしていますが、世の中には92パーセントの大多数と、そこからこぼれ落ちてしまう8パーセントの人がいます。その8パーセントの人に私たち人間が繰り返してきた「残酷さ」を、私たちは忘れてはいけません。
「NO.6[ナンバーシックス]再会」シリーズを書き始めたとき、この惨劇を過去の話ではなく生々しい現実としてあることを書きたいと思っていました。
切り捨てられた人たちがどう足搔いていくのか、そして92パーセントの人たちが彼らを人間として認められるかどうかは、『#3』に関わらずこのシリーズの大きな根幹を成しています。
──今後の展開も楽しみです。『NO.6[ナンバーシックス]再会#3』の後半には、紫苑の父、来懼(らいく)が登場しました。どのような思いで書かれましたか。
あさの 『NO.6 beyond[ナンバーシックス・ビヨンド]』の「ネズミの日々」で紫苑の父親について触れてからずっと消化不良のまま残っていたので、いつか絶対出てくるだろうとは思っていたんですけど。意外に紫苑はさっぱりしていましたね(笑)。
──本当に! 紫苑のリアクションの薄さには少し驚きました。
あさの 自分の人生に一切関わってこなかった人間だから、どうでもいいのかもしれません。それよりもこれから関わっていきたい、一番大切な人であるネズミが目の前にいるのですから。
来懼という人物が紫苑の戦うべき相手なのか、どこかでまた反転するかわかりませんけれど……、彼が登場することで、紫苑もネズミも「これから大変だな」と思いながら書いていました。
──「NO.6」ファンとしては、紫苑、ネズミ、イヌカシ、力河が久しぶりに顔を合わせるシーンも胸熱でした。最後に今後の展開について、ヒントを教えてください。
あさの 4人が集まるとやっぱり面白いですね。4人の関係を武器に、紫苑がどう戦っていくのかしらと思うけれど、紫苑は反転するかもしれない。これから先のいろんなシーンが浮かんだり、セリフが聞こえたりするんです。まだ繫がりは見えないけど、それらを拾い集めると「この子、わからないな」と改めて思います。
私の中でネズミは、意外と軸があってブレないんです。心が揺れているけれど、生き方の指針はあまり変わらない。私にとっては紫苑のほうが、得体の知れない存在。だけど「死んでおしまい」にはしたくないという気持ちはすごくあります。紫苑とネズミにはちゃんと生き延びてほしいと願っている。あとは、紫苑さん次第です(笑)。
あさのあつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991年『ほたる館物語』で作家デビュー。97年『バッテリー』で第35回野間児童文芸賞、2005年『バッテリーⅠ~Ⅵ』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説までさまざまなジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。
シリーズ累計230万部超え、2人の少年の友情を超えたディストピア小説の傑作
![NO.6[ナンバーシックス]再会#3](https://d34gglw95p9zsk.cloudfront.net/item_books/images/000/436/923/medium/c6b50dff-3519-4af0-947e-93935fa262f2.jpg?1776409828)
![NO.6[ナンバーシックス]再会#1](https://d34gglw95p9zsk.cloudfront.net/item_books/images/000/436/924/medium/8fec4679-c68b-49fe-be16-1217b20086dc.jpg?1776409829)
![NO.6[ナンバーシックス]再会#2](https://d34gglw95p9zsk.cloudfront.net/item_books/images/000/436/925/medium/aa157866-d6e9-4f20-b276-edd32d9d3ed2.jpg?1776409830)
シリーズ累計230万部超え、2人の少年の友情を超えたディストピア小説の傑作
・『NO.6再会#1』発売告知後、即Xでトレンド1位!
・『NO.6再会#1』Amazon1位(SF・ホラー・ファンタジー6月6日調べ)
・『NO.6再会#1』ジュンク堂池袋本店総合1位(2025年6月2日調べ)
・『NO.6再会#1』トーハン週間ベストセラー文芸書2位(2025年6月3日調べ)
崩壊した理想都市の瓦礫から新都市をつくる、真っ直ぐな少年たちの熱い戦いの物語! 過酷な荒野を生き抜くネズミと、新国家の再建に挑む若きリーダー・紫苑。NO.6を狙う陰謀とともに荒野の圧倒的な美しさと、人間の業の恐ろしさが描かれる本作。2人が選択した道とは? 少年たちの友情を超えたディストピア小説の傑作。言ったけれど、ぼくにとっては、きみこそが謎だ。確かに存在しているのに決して手に入らない。
●「NO.6」シリーズ読者からの感想
「たくさん本は読んできたけれど、これ以上面白い本に出会ったことがない」
「呼吸を楽にしてくれた本」
「死にたくなったらネズミの言葉を思い出します。逃げずに前へ進め! 現実を見ろ!
どんなに現実が辛くても光を見いだせる人になりたいと思います」
「泣きたくなった夜に読みます。おまえはどうありたいんだ? いつでも自分にできることを問いかけ、動きつづけたいと思います」
●あさのあつこさんからのメッセージ
声を聞きました。ネズミの声です。
「生きる場所も死ぬ場所も自分で決める。あんたじゃなくおれが決める。余計なお節介は止めてもらおうか」と。
そうか、彼らはすでに出逢い、運命を紡ぎ始めているのか。
だとしたら、わたしも、もう一度だけ、本当にもう一度だけ、彼らに手を伸ばそう。この手で彼らの生に触れてみよう。
『NO.6』の作者として戦ってみよう。あれほど恋い焦がれた少年たちに挑んでみよう。
今はただ、それだけを考えています。
14年の時を経て、あなたに再び『NO.6』を届けます。
撮影/柏原力(講談社写真映像部)

あさの あつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。



































山口 真央
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。