
お年玉と一緒に贈りたい“お正月の絵本”3選[絵本専門店の書店員が選出]
子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #9~お年玉と一緒に~ (4/4) 1ページ目に戻る
2025.12.21
ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀
親子のやり取りが愉快な【名作落語】の絵本
最後にご紹介するのは、『落語絵本 はつてんじん』(クレヨンハウス)。絵本作家・川端誠さんの落語絵本シリーズでは、『じゅげむ』や『まんじゅうこわい』など数々の名作落語が絵本化されていますが、中でも『はつてんじん』は、新年にぴったりのお話。落語の高座でも定番の演目で、私も大好きです。
年が明けて、初めて天満宮へお参りに行くことになったお父さんと息子の金坊。
途中の屋台店で、金坊は綿菓子やカルメ焼き、たこ焼きなど、おいしそうなものを見つけては「かって」とねだるのですが、そのたびに「あれは、どくだ。」「あれは、どくだ。」と、お父さんにごまかされてしまいます。ついに根負けしたお父さんは、結局、金坊に大きな凧を買ってあげるのですが……。
ふたりのテンポよく、ほのぼのとしたやり取りがおもしろいこと! 笑いどころが随所にちりばめられていて、思わず大笑いしてしまいます。最後にはしっかりとオチも用意され、裏表紙に描かれた、ふたりが手をつないで家路につく後ろ姿にもほっこり。人間味あふれる普遍的でわかりやすいお話なので、お子さんにもきっと楽しんでいただけますよ。
私も昔よく落語を聞きにいったのですが、落語家さんのキャラクターや声質、間の取り方によって、おもしろさが何倍にも膨らむのが落語の魅力だと思います。お子さんに読み聞かせるときは、ママさんパパさんの腕の見せどころ。ぜひ落語家になった気分で読んでいただきたいです。
べらんめえ口調をマネてみたり、間の取り方を工夫したりして、本気でお子さんを笑わせるつもりで読むと、盛り上がること間違いなし! そんなユーモアあふれる親子の時間をプレゼントできる一冊です。
取材・文/星野早百合
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星野 早百合
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。






















































































茅野 由紀
1万冊を超える絵本を取り揃えた、子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」(東京・神保町)店長。2005年から絵本の世界に携わり、20年。新聞などのメディアで書評やコラムを連載するほか、教育機関で講師も務める。2児の母。 ●ブックハウスカフェ
1万冊を超える絵本を取り揃えた、子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」(東京・神保町)店長。2005年から絵本の世界に携わり、20年。新聞などのメディアで書評やコラムを連載するほか、教育機関で講師も務める。2児の母。 ●ブックハウスカフェ