「100万円払ってでも引きこもりをなおしたい」悲痛な親の叫びから生まれた日本初“区営駄菓子屋”とは

シリーズ「令和版駄菓子屋」#1‐1 「よりみち屋」東京都江戸川区 ~区営駄菓子屋オープンの経緯~

ライター:遠藤 るりこ

子どもも大人も嬉しい駄菓子。来所するお客さんは0歳から90歳までと幅広い。  写真:遠藤るりこ

他区や他県からの問い合わせも 注目の業態に

オープンから半年が経とうとしている今(2023年6月取材時)、「引きこもり当事者だけでなく、街の方々も多く集い活気にあふれています」と櫻井さんは語ります。

「『駄菓子を買いに来たついでに、ちょっと誰かと話してみようかな』と、人とつながるひとつのきっかけになればいいですね」(櫻井さん)

江戸川区の「よりみち屋」事業開始後、他区や他県からの問い合わせや、視察の依頼も絶えません。

「当初に想定していた以上に、たくさんの方から反響がありました。駄菓子屋居場所のあり方については、今後も検討を続けていきたいと思っています」(櫻井さん)

近年子どもたちにとっても、学校や家庭ではない、第三の居場所=サードプレイスの必要性が叫ばれています。

公営の居場所に駄菓子屋があるという江戸川区の駄菓子屋居場所「よりみち屋」が、そんなサードプレイスのモデルケースになる日も近いのかもしれません。

昭和レトロなコイン落としゲームに大人も子どもも盛り上がる。  写真:遠藤るりこ

よりみち屋のスタッフとして実際に働く方の中には、10年以上引きこもっていたという経験を持つ、元・当事者の男性もいます。

次回は、よりみち屋のスタッフたちに、利用者との日々の交流について伺います。

【取材協力】

●江戸川区駄菓子屋居場所 よりみち屋
東京都江戸川区瑞江2丁目4番3号プラウド瑞江102号
営業時間:11時~17時
定休日:土日祝

●江戸川区 福祉部生活援護第一課ひきこもり施策係
※江戸川区では「ひきこもり」と、ひらがな表記をしています。

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えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe