「友だちは無理して作らなくていい」理由とは 『若おかみは小学生!』令丈ヒロ子が伝える「心をすり減らさない考え方」

君に贈る「物語の処方箋」

児童文学作家の令丈ヒロ子さん
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「みんなうまくいっているのに、どうして私だけこんなにダメなんだろうって。かつては友だちとスムーズに会話できませんでした」

そう語るのは、世代を超えて子どもたちの心に寄り添い続ける児童文学作家、令丈ヒロ子さん。

アニメ化や映画化もされた大ヒット作「若おかみは小学生!」シリーズや、言葉をテーマに子どもの悩みを解決する『なんとかなる本』シリーズなど、数々のヒット作で読者の心に温かい光を灯してきました。

かつて体が弱く自分に自信が持てず、周囲とうまく会話ができなかった令丈さんが、創作という「世界」で友だちと繫がることができたきっかけとは?

作家の軌跡を紐解き、今を生きるヒントを探る連載企画「君へ贈る物語の処方箋」。今回は、作家の令丈ヒロ子さんにお話を伺います。

病弱だった子ども時代「うまく友だちと会話できなかった」

──令丈さんの代表作「若おかみは小学生!」シリーズは、主人公のおっこちゃんをはじめ、幽霊のウリ坊、美陽、魔物の鈴鬼など、魅力的な人物がたくさん登場しますね。個性豊かなキャラクターを考えたきっかけを教えてください。

▲事故で両親を亡くし、温泉旅館「春の屋」で暮らすことになった小学6年生の「おっこ(関織子)」が主人公。ユーレイのウリ坊やライバルの真月に助けられながら、若おかみとして奮闘する姿をえがいた超人気作。(左:シリーズ1作目『若おかみは小学生!(1)』、右:シリーズ最終巻『若おかみは小学生!(20)』)
▲事故で両親を亡くし、温泉旅館「春の屋」で暮らすことになった小学6年生の「おっこ(関織子)」が主人公。ユーレイのウリ坊やライバルの真月に助けられながら、若おかみとして奮闘する姿をえがいた超人気作。(左:シリーズ1作目『若おかみは小学生!(1)』、右:シリーズ最終巻『若おかみは小学生!(20)』)

令丈ヒロ子さん(以下、令丈):おっこちゃんは私の憧れのキャラクターです。私は幼いころ体が弱くて、しょっちゅう、学校を休んでいました。体も小さかったので、体格のいい同級生に気後れしてしまうこともあって。だから自分の気持ちを表に出したり、腹が立ったときにパッと怒ったりすることができない子どもでした。

そんなときに出会ったのが小説家・佐藤愛子先生の書かれた「娘と私」シリーズです。愛子先生と娘さんの日常や旅を描いた大好きなエッセイで、小学生の高学年くらいから中学生くらいに熱心に読んでいました。

本のなかの愛子先生は感情をストレートに表現していて、クールな娘さんに嗜められるとすぐ反省する素直なところもあって。ずっと「こんな人いいな」と憧れを持っていました。おっこちゃんは、エッセイに登場する愛子先生をイメージして描いているんです。

そんなおっこちゃんは、両親を事故で亡くして心に深い傷を負っています。彼女のいつもそばにいてくれる友だちがいたら読者もホッとするし、おっこちゃんも頑張れると思って書いたのがウリ坊や美陽、鈴鬼です。彼らはおっこちゃんの100パーセント味方でいてくれる存在として登場してもらいました。

読む人から「書く人」を志すようになったきっかけ

──たしかにおっこちゃんは凄絶な境遇におかれているけれど、ウリ坊たちがそばにいてくれるから安心して読めました! 令丈さんが子どものころは、引っ込み思案なタイプだったのですね。

令丈:そうそう、とにかく体が弱くて学校で頻繁に鼻血を出したり、遠足に行ったあと学校を2日休んだこともありました。

そのころの私は自分以外の人がみんなうまくいっているのに、どうして私だけこんなにダメなんだろうってよく考えていました。勉強は頑張ったらある程度報われるけれど、体が強くないって努力で変えられることじゃないからなって。だから友だちと話すときも緊張してしまって、ぎこちなくなる。

でも人とうまく関われなかったけれど、気持ちがいつも暗かったわけじゃないんです。なぜなら、ものすごくたくさんのエンタメ作品を読んでいたから。漫画でも小説でも、とにかく楽しいお話が大好きで、いつからか自分も漫画やお話を書くようになっていました。

「人と人はいろんな繫がり方がある」新刊に込めた想い

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