
「お金をかけず子どもの“非認知能力”を伸ばしたい!」親が“家庭で今日から”できること〔専門家が解説〕
#2 島根太郎氏に聞く「学童と非認知能力」~家でできる非認知能力の伸ばし方~
2025.08.19
株式会社東急キッズベースキャンプ代表取締役社長 社長執行役員:島根 太郎
●家庭でできる非認知能力の伸ばし方【日常生活編】
・家事を一緒にやる
「子どもは大人への憧れを持っています。お料理、洗濯物のたたみ方、アイロンのかけ方など、『やりたい、やりたい』と言って興味を持ったときこそ、チャンスです」
思わず、『そうは言っても島根さん、やらせると時間がかかって大変です』という心の声がもれそうになりますが……。
「もちろん、その気持ちもよくわかります。ただ、長期的には子どもの自立につながりますから、『こっちがやったほうが早い』と思うところをちょっと我慢して、部分的にでもまかせてみましょう。
例えば、料理は創造性や集中力、判断力、時間管理する力など、『自分軸』の非認知能力を伸ばしてくれる絶好の体験です。実際、きょうだいがたくさんいて、下の子の面倒を見ながら保護者の手伝いをしているお子さんは、家事力がすごい。自立も早い。
料理教室などの習い事にお金を払って学ばなくても、子どもは普段の暮らしの経験の中でできるようになっていくのです」

・子どもに自分で計画を立てさせる
「普段の1日の計画、夏休みの計画など、子どもに決めてもらいましょう。大事なのは、自分で計画し、自分で約束したことを達成する経験。これがその子の自信を育みます。
親が『こうしろ、ああしろ』と言うのではなく、『自分で決めたことだよね』と言えるような環境を作ることが大切です」
家庭でできる非認知能力の伸ばし方【コミュニケーション編】
・身近な疑問から学びにつなげる
日常の中で、子どもたちが発する『なぜ?』を活用することも非認知能力の成長につながると島根さんは続けます。
「例えば、子どもと銭湯に行ったとき、コインランドリーが隣にあるのに気づいたとします。
そこで、『なんで、お風呂屋さんの隣にあるんだろう?』と質問。『脱いだらすぐ洗える!』『するどい! もう1つヒントを出すから、考えてみて。コインランドリーに来るお客さんとお風呂屋さんに来るお客さんは同じタイプの人なんだけど……、どんな人かわかるな?』『広いお風呂が好き!』『おお、それも正解』『ほかには……』と、そんなふうに会話を交わすこと自体が学びになります」
・日常生活をゲーム化する
「楽しいものと組み合わせることで、日常生活の中で子どもの興味を引きながら必要なことを身につけさせていきましょう。クイズにしてみたり、タイムトライアルにしてみたり、ゲーム要素を入れたりすることで、子どもの自発的な取り組みを促すことができます」
・ニュースを一緒に見て議論する
「テレビやネットでニュースを一緒に見て子どもがどう思ったかを聞いてみる。買い物に行った先でニュースを絡めてお金の話や経済のことを話し合ってみる。そんなことも子どもたちの非認知能力を伸ばす学びになります」
いつもより少しだけ子どもとのコミュニケーションの時間を長くしてみようと決めてのぞむと、心に余裕を持って一緒に考えることができます。