【登校して学校から即連絡】子どもの困った行動が劇的に変わる親の考え方と接し方〈発達行動小児科学の専門家が伝授〉

我が子の困った行動が大きく変わる 親の考え方と接し方 #1

興味が湧いたことに食いついて、それしか目に入らなくなる子はいます。  写真:twds/イメージマート
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登校したのに学校から「来ていませんよ」の連絡が こんな子にはどうしたらいい?

子どもの中には、親がいくら手本を見せても、アドバイスをしても、困った行動を繰り返す子もいます。

たとえば朝、元気に学校に向かったのに、登校途中にある公園で遊んでしまい、学校から「お子さん、来ていませんよ。お休みですか?」という連絡をたびたび受けている家庭もあります。

自分の興味のあるものに飛びつき、没頭してしまう子は多いものですが、こういった親の声がなかなか届かない子には、どうすればいいのでしょうか。

「この場合は、学校に行くまでの間に注意がそれる場所があるのですから、気がそちらに向かないような工夫をすればいいのです。

たとえば、通学路に信号があるなら『信号は何秒で変わったのかな?』とか、『学校の隣にあるお家のお花は咲いたのかな?』など、親御さんが通学路で面白そうなところを見つけて、子どもが学校から帰ってきたら聞いてみるといいでしょう。

そして、お子さんが今日の通学路の状況を教えてくれたら、『教えてくれて、ありがとう』といってあげてください。

これを繰り返していると、子どもは公園などに気が向くことがなくなって、まっすぐ学校に行けるようになるはずです」(宮尾先生)

子どもの困った行動が日常や学校生活に影響するなら専門家を頼っても

親御さんが我が子に向けてアドバイスをしても、困った行動を繰り返し、それが日常生活や学校生活に影響している場合は、専門家を頼るという選択肢もあります。

「たとえば、他人とのコミュニケーションがとれないことはないけれど、一方的に自分のことだけ話したり、興味のない話は上の空だったりするなど、独特の傾向が子どもに見られ、それがおさまる気配がない場合は発達の専門家を頼るのも手です。

現在の医療現場は、本人が来なければ診ることができない(アドバイスもできない)ので、子どもと一緒に親子で受診してみてください。

子どもを専門家に連れていくときは、たとえばコミュニケーションが苦手な子なら、『お友だちにしっかりと説明ができるんだね。ただ、相手の話を聞く姿勢は惜しいから、上手なやり方をママ(パパ)と一緒に教えてもらいに行こうか』など、ポジティブな点に目を向けてから、マイナスな点を淡々と話して受診につなげてみてください」(宮尾先生)

子どもの困った行動の中には、発達障害や発達障害の傾向にあるグレーゾーンの特性もありますが、そうでないこともあります。いずれの場合でも、子どもに合った具体的なサポートを受けることができるでしょう。


次回は、子どもの困った行動が親子関係から発生したケースを紹介。宮尾先生が子どもと親御さんに実際に行ったアドバイスも解説します。

取材・文/梶原知恵

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◆宮尾 益知(みやお ますとも)
どんぐり発達クリニック名誉院長、医学博士
徳島大学医学部卒業。東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックを開院。専門は発達行動小児科学、小児精神神経学、神経生理学。

発達障害・グレーゾーンのあの人の行動が変わる言い方・接し方事典』『発達障害と人間関係 カサンドラ症候群にならないために』(いずれも講談社刊)など、著書・監修書は多数。

【我が子の困った行動が大きく変わる 親の考え方と接し方】の連載は、全3回。
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みやお ますとも

宮尾 益知

Masutomo Miyao
どんぐり発達クリニック名誉院長、医学博士

徳島大学医学部卒業。東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックを開院。専門は発達行動小児科学、小児精神神経学、神経生理学。 『発達障害・グレーゾーンのあの人の行動が変わる言い方・接し方事典』『発達障害と人間関係 カサンドラ症候群にならないために』(いずれも講談社刊)など、著書・監修書は多数。

徳島大学医学部卒業。東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックを開院。専門は発達行動小児科学、小児精神神経学、神経生理学。 『発達障害・グレーゾーンのあの人の行動が変わる言い方・接し方事典』『発達障害と人間関係 カサンドラ症候群にならないために』(いずれも講談社刊)など、著書・監修書は多数。

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。