
幼稚園の「キンダーカウンセラー」が親を救う! “発達の悩み”を「心の専門家」に相談できるメリットとは
幼稚園にいる心の専門家「キンダーカウンセラー」第1回~成り立ちと取り組み~ (2/3) 1ページ目に戻る
2026.05.27
検索窓に打ち込む「正解のない問い」
「うちの子、もしかして発達障害?」「言葉が遅い気がする」「かんしゃくが強すぎて限界」
安心したくてスマホ検索してみるものの、スクロールするたびに別の心配が増えたり、胸がざわついたり……。子どもへの悩みを探るネット検索は便利な一方で、不安の渦に引きずりこまれる危うさもそなえています。
そんな保護者にとって頼りになる存在が、「キンダーカウンセラー」です。これは「キンダーカウンセラー」と呼ばれる臨床心理士らが幼稚園などを訪れ、子どもを観察したうえで保護者に寄り添いカウンセリングを行う取り組みです。
現在(2026年4月)は自治体(都道府県や市区町村)単位で行われ、大阪府、兵庫県、京都市(京都府)、日野市(東京都)、秋田市(秋田県)などが実施。地域によっては名称が「保育カウンセラー」など異なる場合もあります。
園に専門家が訪れる事業として「巡回相談員」を設けている自治体も多数ありますが、巡回相談員は園の先生の相談や集団保育の質向上に比重をおく傾向があり、保護者個人に比重をおくキンダーカウンセラーとはやや異なります。
大阪で1999年からスタート
キンダーカウンセラーは1999年、大阪府でスタートしました。始めたのは大阪府と大阪府私立幼稚園連盟、大阪府臨床心理士会の三者。大阪府私立幼稚園連盟の運営担当者である、平林祥さんは成り立ちについてこう説明します。
「1995年に当時の文部省が中学校にスクールカウンセラーの配置を決定したことをきっかけに、幼児期の保護者へのサポートも重要だという声があがりました。
その結果、1999年からパイロット版の施策を行い、2003年には大阪府の正式な補助事業としてキンダーカウンセラーがスタートしました。2026年度で24年目になる、歴史ある取り組みです」
今では大阪府内の私立幼稚園・認定こども園418園のうち、約半数の園でキンダーカウンセラーが活動しています。
スタート当時は聞きなじみのない制度に現場では多少の戸惑いも見られたそうですが、キンダーカウンセラーは着実に支持を得て広がっていきました。
「大阪府のキンダーカウンセラーは、子どもの発達支援だけではなく、“保護者の子育て支援”というところが根っこにあります」と平林さんは語ります。
「子どもがすこやかに育つためには保護者と園が協力して見守っていくことが必要です。しかし、連携したい気持ちがあっても、園から子どもの発達について指摘されると、保護者は“せめられた”と不安になりやすく、一方の園側も“伝え方が難しい”と萎縮してしまいがちです。だからこそ、親子と園をつなぐ役割をキンダーカウンセラーが担っています」
ネットで診断名を探る親たち
大阪府では現在、臨床心理士約130人がキンダーカウンセラーとして活躍しています。実際にはどのようなカウンセリングが行われているのでしょうか。
キンダーカウンセラーとして活動する臨床心理士の田近文(たぢか・あや)さんは、最近の相談はスマホ時代ならではの傾向があると語ります。
「最初からネットで調べてお子さんに疑いがあると思われる診断名を持ってくる保護者もいらっしゃいますね。ネットで得られる情報が多いゆえに不安も大きくなってしまっていると感じます。
幼児期は、発達の個人差が非常に大きいのも事実です。そのため、もし誰かに相談したとしても、“まだ判断がつかないのでしばらく様子を見ましょう”と言われることもしばしば。
ただ、その“待っている時間”は、保護者にとって穏やかでいられるものではありません。そんなときに、少しでも心の声を話していただき気持ちをゆるめられるようなサポートができればと考えています」
「園の先生」✕「臨床心理士」の良さ
実際にキンダーカウンセラーを導入している「たちばな幼稚園」(幼保連携型認定こども園/大阪府門真市)の副園長・邨橋(むらはし)智樹さんは、園の先生との役割の違いを語ります。
「保育者(園の先生)と臨床心理士とでは、子どもを見る“レンズ”が根本的に異なっていると感じています。
保育者は、いわば“集団の中での個”をみる専門家です。数十人の子どもたちの中で、どの子がどんな役割を果たし、ルールを学び、他者と関わっているか。社会性の育ちや生活習慣の形成という、広い視点から子どもを見ています。
一方、キンダーカウンセラーを担う臨床心理士は、“個”そのものを深くみる専門家です。その子の内面で何が起きているのか、なぜそのような行動(かんしゃくや沈黙など)をとるのか。その子の特性や心理的なメカニズムに焦点を当て、深く掘り下げていくのではないでしょうか。
この2つの“レンズ”で子どもを見守ることで、さらに子どもが鮮明に見え、理解が進んでいっていると感じています」
では、具体的にどのような状態になったら、キンダーカウンセラーに頼ればよいのでしょうか。






























