「ママ」になったトランスジェンダー 谷生俊美さん　愛娘へ伝える多様性

最後に、映画プロデューサーの谷生さんに、親子で多様性について学ぶのに、おすすめの映画７本を教えていただきました。

〈幼児、小学生向け〉
・『SING／シング』（2016年 米 アニメ映画）、
・『ズートピア』（2016年 米 アニメ映画）、
・『おおかみこどもの雨と雪』（2013年 日本 アニメ映画）
「キャラクターの異なる、さまざまな種類の動物が登場します。『みんな違っていいよね』というメッセージが根底に流れていて、素晴らしい作品だと思います。『おおかみこどもの……』も前述どおりおすすめです」（谷生さん）

〈小学校高学年、中学生向け〉
・『君の名前で僕を呼んで』（2018年　伊・仏・米・ブラジル　T・シャラメ、A・ハマー共演）※PG‐12（12歳未満の子どもが観る場合は、保護者の助言・指導が必要）
「男性同士が恋に落ちる、非常に美しい恋愛映画です」（谷生さん）

・『パレードへようこそ』（2014年 英 B・ナイ、I・スタウントン共演）
「1984年のロンドンが舞台。炭鉱労働者たちがストライキを決行したニュースを見たゲイの青年が、セクシュアル・マイノリティの友人たちと協力し、彼らを守るために活動します。史実をもとにした作品で、プライドパレード（セクシュアル・マイノリティのパレード）の様子も描かれています。当時のイギリスの社会情勢もよくわかるので、学びになると思います」（谷生さん）

〈中学生、高校生向け〉
・『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』（2017年 英・米　E・ストーン、S・カレル共演）
「1973年に、アメリカで実際に行われた男女のテニスの試合を描いた作品です。女子テニスのチャンピオン、ビリーは、待遇など男女格差が大きかった時代に男女の平等を求めて、テニス協会を設立します。そのビリーのもとに、女性への差別的な言動を繰り返す元テニスチャンピオンのボビーが試合を挑みます。非常に感動的な作品で、フェミニズムを総合的に学ぶこともできます」（谷生さん）

・『ドリーム』（2017年　米　T・P・ヘンソン、O・スペンサー共演）
「1960年代の実話をもとにした映画で、NASAの有人宇宙飛行計画（マーキュリー計画）を支えたアフリカ系女性たちの活躍が描かれています。当時の社会で人種差別や女性差別という重層的な差別構造がどういうものとして存在していたのかを知ると同時に、その差別を乗り越えてきた女性たちがいて、今につながっていることを学ぶことができます」（谷生さん）

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人は一人ひとり異なり、家族の形もさまざまある。当たり前のようで意識しないと忘れてしまいそうなことを谷生さん家族から教えてもらいました。

多様な価値観に触れたい、わが子に伝えたいと思ったら、親子で映画を観るところから始めるのも良いかもしれません。

取材・文／畑菜穂子
衣装提供：AnotherADdress